2007年11月30日(金)「しんぶん赤旗」
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日本共産党の志位和夫委員長は二十九日、証人喚問問題での穀田恵二国対委員長の表明を受けて記者会見し、あらためてこの問題での態度を問われ、証人喚問の重要性、なぜ全会一致が重要なのか、今後、軍事利権疑惑にどのように対応するかについて次のように答えました。
―証人喚問についての考えは。
証人喚問の必要性という問題では、額賀福志郎財務相の喚問を求めていくことにいささかのかわりもありません。宴席問題もありますが、「山田洋行」との関係だけでも、「お車代」、パーティー券問題があり、さらに「口利き」疑惑の問題もあります。軍事利権への関与の疑惑の全体を究明するために、証人喚問が必要だという点ではいささかもかわりありません。
―二十七日の参院財政金融委員会での対応について。
今回の議決をめぐって、日本共産党は、証人喚問は全会一致でという立場で対応してきました。大門議員も理事会の場で、全会一致ということを繰り返し提起してきました。ところが最後の局面で多数決という流れになり、そのときに現場で、賛成か反対かのどちらかの選択肢しかないと考え、退席して棄権するという選択肢を考慮の外に置いて採決に加わってしまったわけです。全会一致という方針を主張してきたが、最後の段階になって退席して棄権するというベストの対応がおこなわれなかったのは間違いだったということを、本日、明らかにしたわけです。
―なぜ全会一致が重要か。
証人喚問は、仮に偽証をした場合には、刑事罰に問われるような重要な場ですから、これは国会のルールとして、全会一致で決められるべきだというのが、慣例としてやられてきました。ですから、多数決で決めるというやり方はよくないと考えています。
今回、多数決で議決したことによって、それが今後は慣例になって、証人喚問をどんどん多数決で議決するようなことになると、証人喚問という性格にふさわしい、慎重な取り扱いが必要という点からみて、たいへんまずい先例を残すことになります。
私たちの基本的立場は、与党であれ、野党であれ、国会の民主的ルールや慣例を違えた数の横暴には反対するというものです。民主的なルールを守ってこそ、議会制民主主義がなりたっていくわけですから。今日の穀田国対委員長の会見での表明は、そういう立場からの対応です。
いま、われわれは軍事利権の徹底解明に取り組んでいるわけですが、全会一致という民主的慣例を守るプロセスをきちんと踏んでいかなければ、逆にそれが真相解明の障害となりかねない危険があります。一番まずいのは、多数で議決したことで、報復的な事態が起こり、双方が多数決で議決しあうという、一種の泥仕合のようなことになったら、真相究明のうえで一番まずいと思います。
民主的手続きを尽くす、道理にたった追及をおこなう、そういうことを通じてこそ、はじめて軍事利権の全容究明という国会の責任を果たすことができると考えています。
―十二月三日の証人喚問にはどのような態度をとるか。
いまの段階でいえることは、いったん議決したことだから予定通りおこなうということではなくて、与野党の合意になるような努力を最大限すべきだということです。
―与党の合意が得られない場合は。
無理押しすべきではないと考えます。額賀氏は財務相として答弁席に座っているわけです。宴席疑惑だけでなく、軍事利権につながるさまざまな疑惑があるわけで、そういう問題を一つ一つ明らかにし、与党も喚問に賛成せざるを得ない状況をつくっていき、全会一致にもっていく努力を追求することが何よりも大事だと思います。