2007年12月5日(水)「しんぶん赤旗」

幹部会への志位委員長の報告


 日本共産党は三日、党本部で幹部会を開きました。志位和夫委員長がおこなった常任幹部会の報告は次の通りです。


 みなさん、おはようございます。私は、常任幹部会を代表して幹部会への報告をおこないます。

 五中総から二カ月半がたちましたが、この時点で幹部会を開いた目的は、つぎの二点にあります。第一は、五中総後の情勢の新しい展開の特徴を、決定にそくして明らかにすることです。第二は、五中総決定実践の現状と活動の強化方向を示し、討論で深めることであります。

一、5中総後の情勢の展開と、日本共産党の役割

 報告の第一の主題として、五中総後の情勢の展開と、日本共産党の役割についてのべます。

安倍「靖国」派政権の崩壊と、自公政治の政治的な行き詰まり

「靖国」派への大打撃――歴史ゆがめる逆流の一掃にひきつづき力をそそぐ

写真

(写真)幹部会で報告する志位和夫委員長=3日、党本部

 まず安倍「靖国」派政権の崩壊と、自公政治の政治的な行き詰まりについてです。

 五中総決定では、安倍・自公政権について「政治的衰退が極まった末期的な姿」とのべましたが、この指摘は、その直後の安倍首相の政権投げ出しで裏付けられました。五中総決定の議論が始まったとたんに政権投げ出しとなり、「五中総決定のいっている通りだ」という議論があちこちでおこなわれました。

 安倍政権の無残な崩壊は、「靖国」派への大打撃となりました。安倍ブレーンの一人が、「我々保守は、反動の時代に備えて頑張るしかない」と嘆くなど、「靖国」派の落胆は大きいものがあります。「美しい国」「戦後レジームからの脱却」といった極端な復古的、反動的スローガンは、姿を消しました。これは内外の良識の成果であり、「靖国史観」「靖国」派政治を、正面から告発、批判してきた日本共産党のたたかいの成果であります。

 同時に、安倍時代の「負の遺産」は残されています。沖縄戦教科書問題、「従軍慰安婦」問題などの清算が必要です。「靖国」派の巻き返しの動きも軽視できません。十一月二十八日、日本会議国会議員懇談会が総会を開き、三つの決議――「沖縄戦教科書への強制記述復活を許さない」、「全国一斉学力テストの結果の全面公開」、「憲法審査会の速やかな設置」を採択するなどの動きが起こっています。歴史をゆがめる異常な逆流を日本の政治から一掃していく課題は、ひきつづく重要な仕事であります。

福田政権――行き詰まった路線を変える意思も、能力も、まったくない

 つぎに、代わって登場した福田政権についてのべます。歴史問題にかかわっては、福田首相自身が、「靖国参拝はしない」と明言するなど、この内閣から「靖国」色は影をひそめました。福田内閣は、国民の厳しい審判の圧力を前にして、政策の部分的な手直し、取り繕いもおこなっています。しかし、自民党政治をここまで行き詰まらせたアメリカ・財界とのかかわりでの政治の基本路線では、それを変える意思も、能力もまったく持たない。そのことがわが党の国会論戦をつうじて浮き彫りになりました。

 ――まず、米国いいなりの政治には、指一本ふれようとしていません。新テロ特措法案を何が何でも通し、派兵を再開する姿勢に固執しています。外交の初仕事も、日米首脳会談(十一月十七日)で、この悪法の「早期成立に全力を尽くす」ことをブッシュ大統領に誓約することでありました。

 ――また、大企業に空前の繁栄をもたらしながら、国民のなかに貧困と格差を広げている「構造改革」路線は、取り繕いをしながらも推進する、というのが基本姿勢です。わが党は、国会質問で、貧困の拡大の根源にある労働法制の規制緩和路線、社会保障費抑制路線、「逆立ち税制」からの転換を迫りましたが、首相の答弁は、従来の国民犠牲の路線から一歩も出るものはありませんでした。

 ――さらに、政治の不正・腐敗に対する鈍感さ、無責任さでも、前任者と変わるところはありません。防衛事務次官という自衛官のトップの汚職事件、日米の軍需大企業、政治家を巻き込んでの一大疑獄に発展しつつある軍事利権疑惑にたいしても、首相として責任をもって真相を明らかにする姿勢はかけらもありません。わが党は、さきの党首会談で、首相としての解明責任を提起しましたが、首相は「私に何をやれというのか」とのべてそれを拒否するなど、政治モラルの欠如ははなはだしいものであります。

 五中総決定は、「政治的衰退が極まった自民党の末期的な姿」と指摘しましたが、自民党政治の行き詰まりは、福田政権でいよいよ深刻になりました。

「大連立」の動き――「二大政党づくり」の正体見えた

 つぎに「大連立」の動きについて、報告します。

 この間、十月三十日、十一月二日と、二度にわたって福田首相と、民主党・小沢代表との党首会談が密室談合の形でおこなわれ、そのなかで「大連立」の動きがおこりました。二度目の会談の後には、小沢代表の「辞意表明」、さらにその「撤回」という騒動もおこりました。「大連立」は、今回の動きについていえば、民主党の側の事情で中断しています。しかし、両党党首がいったんは「大連立」で合意した事実は消えないし、たいへん重いものがあります。これは大きな政治的事件であります。

国民への背信と、その危険な狙い

 第一に、「大連立」の動きは、国民への背信であり、危険な狙いをもっていることを指摘しなければなりません。

 これは何よりもまず、参院選で示された国民の民意に背き、裏切るものです。自民党は、参院選で示された「自公政治ノー」という民意を無視し、間違った政治に固執するために「数集め」に走ったわけですが、これは邪道の政治といわねばなりません。民主党は、「自公政権打倒」といって選挙をたたかいながら、「打倒」すべき相手と手を組み、延命に手を貸そうとしました。これは国民への裏切りそのものであります。この動きへの国民の怒りがわきおこりましたが、その焦点もここにありました。

 何のための「大連立」か。はっきりしていることは、自衛隊を海外に派兵する恒久法をつくる合意があったことです。小沢代表は、「合意文書があった」とまでのべています。この背景には、アメリカの要求があります。今年二月に出された米日超党派アジア専門家グループの報告書「米日同盟―2020年に向けアジアを正しく方向づける」――「第二次アーミテージ報告」では、憲法改定とならんで自衛隊の海外派兵のための恒久法の制定を公然と要求しています。

 さらに、「大連立」を推進している勢力――一部大手メディア、財界からは、消費税値上げの野望を「大連立」に託す発言が繰り返されています。「大連立」推進勢力からは、憲法改定をすすめるためには「大連立」が必要という議論も出されています。

 「大連立」は、自民党や、民主党が、どちらも単独では、国民の怒りが怖くて、なかなか手をつけられない反動的野望――恒久法、消費税増税、憲法改定などを、一気におしすすめる「翼賛体制」をつくろうという危険な狙いと結びついており、その背景にはアメリカや財界の要求がある。ここを正面からとらえ、広く明らかにしていく必要があります。

民主党――自民党との連立政権を選択肢とする政党であることを自ら明らかに

 第二に、この動きをつうじて、「二大政党づくり」の正体が見えたことは、重要であります。とくに民主党が、自民党と「同質・同類の党」であること、自民党との連立政権を選択肢とする政党であることを、自分で証明したことの意味は大きいものがあります。

 小沢代表は、「(『大連立』は)いまでも正しい判断だと思っている」と繰り返し、「大連立」の「効能」を説き続けています。民主党は、小沢代表にたいして、無条件で代表留任を懇願しました。これらの経過は、この党が自民党との連立政権を選択肢とする政党であることを、自ら明らかにするものとなりました。

 民主党は、「大連立」騒動の後、再び「対決戦術」をとりはじめています。しかしその実態をみますと、つぎのような問題点が浮き彫りとなっています。

 ――表面での激しい「対決」の裏で、「政策協議」の名での談合政治が始まり、悪法を自公・民主の合作で強行する動きが開始されています。たとえば、使用者が一方的に労働条件を引き下げることができる労働契約法改悪が、自公と民主の合意で強行されましたが、これは労使の合意原則という労働法制の根幹を崩す重大なものです。

 ――「対決」している問題でも、政治的本質を避けて、表面の問題だけで無理やり中身のない「対決」を作り出す、この特徴があらわになっています。たとえば、軍事利権問題でも、軍事商社の接待の宴席に政治家が同席した問題などは追及しても、この問題が、日米の軍需大企業、軍事・防衛族政治家がかかわった一大疑惑だという立場で本格的追及をおこなう姿勢はみられません。軍事利権の舞台となったのではないかという疑惑がかけられている「安全保障議員協議会」には、自民、公明、民主の国会議員が参加しているという事実も指摘しなければなりません。

 ――こうした中身のない「対決」が、国会の民主的運営を無視した「数の横暴」につながっているということです。十一月二十七日におこなわれた参院財政金融委員会での額賀大臣の証人喚問の多数決での議決は、「証人喚問は全会一致で」という国会の民主的慣例を無視した暴走でありました。

 この問題で、採決にいたる経過をいいますと、わが党は、額賀氏の証人喚問を要求しつつ、「全会一致」の原則を崩すべきではないと主張しましたが、最後に採決の場に出席して賛成するという態度をとりました。これは国会の民主的慣例の順守という原則にてらして間違いでした。退席して棄権すべきでありました。わが党は、間違いを率直に認め、是正をおこないました。わが党の態度表明は、議決の是正へとつながりました。

 それが与党によるものであれ、野党によるものであれ、国会の民主的ルール、民主的慣例を破る「数の横暴」には厳しく反対をつらぬくことが、わが党の基本的立場であり、それを確固として堅持することを教訓としたいと思います。

 わが党は、今後も、国民の利益にかなった内容で野党間の協力をはかるという姿勢に変わりはありません。同時に、自公・民主による国民不在の談合政治、中身のないごまかしの「対決」、国会の民主的ルールを無視した横暴にはくみしません。「大連立」をつうじて民主党の姿が明瞭(めいりょう)になるもとで、こうした姿勢をつらぬくことがいよいよ大切となっています。

日本共産党の役割――「二重の構え」がいよいよ大切に

思い切って国民のなかに打って出て、党の新たな上げ潮をつくる好機

 「大連立」にみられた自民・民主の姿との対比で、日本共産党こそが自公政治にかわる新しい政治の担い手であることが、浮き彫りになる情勢が進展しています。メディアでも「共産党の存在感」ということが注目される状況があります。いま思い切って国民のなかに打って出て、党の支持を広げ、党づくりを前進させる好機であります。

 そのさい、五中総決定が強調した「二重の構え」のとりくみ――(1)直面する熱い焦点で、国民要求を実現し、政治を動かす積極的役割を果たす、(2)綱領と日本改革の方針を広く国民に語り、国民の利益にかなった「新しい政治」とは何かを、国民とともに探求する――を発展させることが、参議院選挙後に展開している情勢のもとでいよいよ大切になっています。

国民の声で政治が動く新しい情勢が展開している

 参議院選挙後の情勢には、両面の特徴があります。

 一面では、国民の声で政治が動く新しい情勢が展開しています。たとえば、十一月一日、インド洋から海上自衛隊が撤収しましたが、国民の声で軍隊を撤収させたのは、日本の戦前・戦後の歴史のなかでも初めての出来事であります。

 被災者支援法の改正も重要です。まだ不十分な内容ではありますが、住宅本体の再建への公的支援が盛り込まれました。阪神・淡路大震災から十三年。その後の地震、水害など、たび重なる災害のなかで国民運動が粘り強く求め続けてきた要求が、一歩ではありますがとうとう実りました。

 政府・与党のなかで、社会保障の負担増の「見直し」の動きがおこっています。母子家庭への児童扶養手当の削減の「凍結」、高齢者の医療費負担の一時的・部分的な「凍結」、障害者自立支援法の「見直し」などであります。これらは、それぞれが選挙目当ての一時的な取り繕いや、いろいろな制約や限界などの問題点をもっていますが、ともかくも国民の怒りの広がりを前にして、自ら決めた制度の矛盾・破綻(はたん)を政府自身が認めたものでもあります。一時的な取り繕いに終わらせないよう、たたかいを広げ、悪法を撤回に追い込むまで力をつくすことが大切であります。

 いま、たたかえば政治が動く。このことを多くの人々が実感し、各分野の国民運動が新しい活力を得て前進しています。この間、沖縄、岩国、座間と連続して、「米軍再編」の名による基地強化に反対する大規模な集会が成功しました。憲法擁護のたたかいでも、六千八百以上に草の根の組織を広げた「九条の会」の全国交流集会が成功をおさめ、早稲田大学で都内の学生九条の会が主催した「ピースナイト9」が千百人の参加で成功するなど、ひきつづくたたかいの発展がみられます。革新懇の全国交流会(石川・金沢市で開催)が、過去最高の参加者で大きな成功をおさめたことも重要です。

 新しい情勢の特徴をとらえ、熱い焦点の問題で、国民要求の実現のために“日本共産党ここにあり”という奮闘が求められています。

財源論をめぐる論戦――消費税増税の大合唱と、日本共産党の確固たる立場

 同時に、もう一面では、本格的に国民の要求を実現しようとすれば、どんな問題でも、大企業中心、アメリカいいなりという自民党政治の政治悪にぶつかる。この政治悪を大本から改革するという政治姿勢がなければ、国民の利益にかなう政治は実現できない。ここを正面からとらえたたたかいが必要です。

 暮らしの問題では、私たちは、どんな問題でも、相手は財源論を持ち出してくると言ってきましたが、実際に政治論戦に踏み込んでいけば、まさにここが熱い争点となってきます。たとえば、わが党は、国会論戦で、政府が、小泉内閣いらい続けている社会保障費抑制路線を転換することを求めてきました。そうしますと、舛添厚生労働大臣なども、「抑制路線はそろそろ限界だ」と認めざるをえないようなこともいいます。ところがそれにつづけていうせりふは、「消費税増税を考えねば」というものです。

 現実にいま、政府・与党がやろうとしていることは、社会保障をさらに削りながら、消費税大増税に踏み込むことです。五中総後、「社会保障財源」を名目にした消費税増税キャンペーンが、大規模に繰り広げられています。「経済財政諮問会議」の「試算」(十月十七日)、「財政制度等審議会」の「意見書」(十一月十九日)、「政府税制調査会」の「答申」(二十日)、「自民党財政改革研究会」の「報告書」(二十一日)など、政府・財界・与党から、あいついで消費税増税必至論の大合唱がおこっています。

 党首会談で、わが党が、「社会保障財源として消費税増税でまかなうのは当然という立場か」とただしたのに対して、首相は「そうせざるをえない」と言明しました。きわめて重大な言明です。

 二〇〇九年度を照準にして、消費税大増税が強行される現実の危険性が生まれています。消費税増税反対の国民運動を大いに強めることを、幹部会としてもよびかけたいと思います。

 日本共産党は、財源問題で確固たる対案を示しています。国民の立場に立って浪費を一掃しつつ、「二つの聖域」にメスを入れるというものです。(1)大企業と大資産家にたいするゆきすぎた減税をただすことで、数兆円規模での財源は可能になります。(2)さらに、年間五兆円にのぼる軍事費に縮減のメスを入れる。とくに、米国の戦争支援のための支出を中止する。また、著しく高い実際価格となっている兵器価格に抜本的メスを入れることです。この道こそ、消費税にたよらないで安心できる社会保障を築く道であり、同時に、国の財政の健全化、国民経済の健全な発展を保障する道であります。

 民主党は、消費税を当面は上げないといいますが、「二つの聖域」にメスを入れる立場はありません。そうなると、どう計算しても財源は出てきません。この党は、参院選の「マニフェスト」で、十五・三兆円の「財源」を暮らしのために捻出(ねんしゅつ)できると宣伝しました。しかし、その内容は、(1)地方への補助金削減や所得税増税などのように、無理やり実施すれば国民に大被害を与えるものが、大きな部分を占めており、(2)浪費の削減も、大幅な重複や水増し計算があり、到底なりたたない現実性のない金額となっていることなど、およそ「財源」論としては荒唐無稽(むけい)というほかないものです。民主党は、もともと消費税増税派ですが、この「財源」論のごまかしが正面から問題にされれば、「やはり消費税増税が必要」ということにならざるをえません。

 財源問題は、総選挙に向けた熱い争点となってきます。異常な大企業中心政治と正面から立ち向かい、大企業中心にゆがめられた税財政をただす立場をもった日本共産党こそ、国民の立場にたった財源論を示すことができます。

新テロ特措法案――アメリカいいなり政治から脱却する立場をもつ党

 平和の問題では、新テロ特措法を焦点として、憲法を破った海外派兵を継続・拡大するのかどうかが、国政の大争点となっています。

 政府・与党は、新テロ特措法案を何が何でも成立させ、戦争支援を再開する構えです。政府の言い分は、「テロとの戦いから離脱していいのか」の一点張りであります。そこでわが党は、党首会談で、「テロ根絶というなら、何よりもアフガニスタンの現実がいま何を求めているかの現実から出発した、冷静な議論が必要」として、カルザイ政権が、「平和と和解のプロセス」を探求していること、アフガン上院が和平をすすめるためにも米軍などによる軍事掃討作戦の中止を求める決議を採択していることを示し、「いま日本がなすべきは、対テロ戦争支援を再開することではなく、アフガンにおける和平を促進する外交努力であり、その障害となっている軍事掃討作戦は中止すべきだということを米国にたいしてきっぱりというべきだ」と提起しました。首相は、「和平の努力は重要」としつつも、「同時並行でタリバン掃討も必要」だとのまったく矛盾した対応に終始しました。軍事掃討作戦をおこないながら、和平交渉とは、だれが考えてもできない相談です。

 このやりとりからも、福田首相には、アフガニスタンの現実から出発して、テロをなくすためには何が必要かを真剣に考える姿勢がまったくない、ただひたすらアメリカから言われたからというだけで、報復戦争の支援を再開しようという、対米従属の姿勢だけがむきだしの形で示されていることを痛感しました。

 他方、民主党は、新テロ特措法案には反対するとしていますが、「対案」としてISAF(国際治安支援部隊)への参加を明言しています。小沢代表は、「自分が政権をとったら参加する」と断言しています。ISAFとは、国連決議にもとづいて創設された部隊ですが、NATO軍の指揮下にある多国籍軍であり、おこなっている活動は、米軍と一体になった戦争そのものであります。ここに陸上自衛隊を派兵するというのが、民主党の「対案」なのです。

 なぜこんな「対案」を出したか。私は、アメリカへのメッセージにほかならないと思います。コーエン米国元国防長官は、小沢提案にたいして、「(日本)政府はこのチャンスを無視してはいけない。意味ある前進で憲法にも抵触しない」と歓迎を表明しました。元首相補佐官で「日米同盟」絶対論にたつタカ派論客である岡本行夫氏は、「小沢提案は立派だ。日本が本来目指すべき道だ」と、自民党に同調をせまっています。民主党は、「対米追随はよくない」というようなことを言いながら、アメリカが大喜びする、さらに危険なものを「対案」として出しているのです。

 政府・与党の立場にも、民主党の立場にも、どちらも根っこには、抜きがたいアメリカいいなり政治があります。

 日本共産党は、日米軍事同盟をなくして独立・平和・中立の日本を築くことを綱領に掲げている唯一の党です。この立場にたってこそ、どんな形であれ憲法違反の戦争支援にきっぱり反対するとともに、アフガニスタンの現実にそくしたテロ根絶の道理ある方途を示すことができる。それは自公、民主のとっている立場との対比でもきわだっています。

国民の切実な願いを実現しようとすれば、綱領に接近・合流せざるをえない

 いくつかの角度からみてきましたが、どんな問題でも、国民の切実な願いを本格的にかなえようとすれば、日本共産党の綱領の示す日本改革の道と接近・合流せざるをえない。そのことが日々の情勢の展開を通じて、こんなに見えやすいときはありません。

 自民党政治の根本的改革の展望を示す日本共産党こそ「自公政治にかわる新しい政治」の担い手であり、この党を総選挙でのばすことこそ「新しい政治プロセス」を前進させる最大の力となることを、大いに広い国民に語りぬこうではありませんか。

二、5中総決定の実践、総選挙勝利をめざす活動の強化方向について

 報告の第二の主題として、五中総決定の実践、総選挙勝利をめざす活動の強化方向についてのべます。

全党の努力で開始された前進――「大運動」、党勢拡大、中間地方選挙

 五中総決定は、党に新鮮な活力をよびおこし、全党の努力によっていくつかの重要な前進がはじまっています。とくに三つの活動についてのべたいと思います。

「大運動」が前進を開始した――政治戦略の基本、党活動の「軸」として位置づける

 第一は、「綱領を語り、日本の前途を語り合う大運動」が前進を開始したことであります。「綱領を語りあう集い」は、十二月三日報告で、全国で、二千五百三十六回開催され、参加者は七万六千人となっています。とりくんだ支部は11・6%です。

 とりくんだところでは、どこでも大きな反響と手ごたえが返ってきています。このとりくみを通じて、どんな国民の要求とも、綱領路線がかみあい、結びつき、共鳴しあうことが、生き生きと実感されています。また、支部を基礎にした「集い」には、普段の演説会などに参加できない新しい層も多数参加し、党のまるごとの姿に初めて接し、共感を広げていることも重要です。前進しているところに共通する教訓として三点を紹介したいと思います。

 一つは、「大運動」を、あれこれの課題の一つではなく、総選挙勝利をめざす政治戦略の基本として、また党活動の全体の「軸」として位置づけてとりくみをすすめているということです。すでに三割以上の支部が「集い」を開催した地区が、全国で十五地区生まれていますが、どこでも五中総決定の最大の眼目が「大運動」にあることを党機関と支部が正面からつかんだことが、支部を基礎とした前進につながっています。

 二つ目に、機関役員、国政予定候補者、地方議員が弁士をすすんでひきうけ、実際の体験をもって、支部を基礎にしたとりくみを促進していることです。十一月末までに、全国の都道府県・地区委員長の52・5%、三千百人をこえる地方議員の34・6%が、「集い」の弁士をつとめ、そこでつかんだ手ごたえ、実感を生かして、支部への援助を強めていることは、たいへん重要であります。「弁士をやってみて、はじめて威力を実感した」という感想が多く寄せられています。

 三つ目に、「大運動」の推進を「軸」としながら、総選挙勝利をめざす諸課題を総合的に推進する、“立体作戦”の経験が各地で生まれていることです。和歌山県では、すでに25・2%の支部が「集い」を開き、全国でもっともすすんでいる県ですが、そのなかでも南地区・西牟婁郡の党組織では、すべての支部で「集い」を開くか、その計画をたて、そのなかで党員を倍加する目標をたて、党員拡大を前進させ、今年の目標の六割を達成しています。読者拡大でも、前回総選挙時比で106%にする町も生まれるなど、積極的前進が開始されています。

 「大運動」のとりくみは、はじまったばかりですが、党の前進の新しい鉱脈をつかんだというのが、みなさんの実感でもあるのではないでしょうか。この運動が、文字どおりの全党的な「大運動」に発展するなら、総選挙勝利への大きな道が開かれることは疑いない。ここに確信をもってとりくみを発展させることを訴えるものであります。

読者拡大、党員拡大での前進――国民の関心・要求と紙面の中身がかみあって

 第二は、「しんぶん赤旗」読者拡大でも、党員拡大でも、まだ端緒でありますが全党の努力で上げ潮をつくりだしていることは重要であります。

 読者拡大は、九月は後退しましたが、全党の大奮闘によって十月、十一月と連続前進をかちとりました。十月は、四十二都道府県と二百四十五地区(77・8%)、十一月は、四十六都道府県と二百八十一地区(89・2%)で前進をかちとりました。全党の大奮闘に心からの敬意をのべるものです。

 この間の特徴は、ここでも国民の切実な関心・要求と、「しんぶん赤旗」の紙面の中身がかみあい、紙面の魅力を語って読者が増える状況が広がっていることであります。この間の記事でも、後期高齢者医療制度問題、日雇い派遣や生活保護など貧困問題の告発、消費税にたよらない財源論、軍事利権の告発などは、「しんぶん赤旗」ならではの先駆的なものであり、とくに反響が強いものです。

 「山陽日日新聞」(十二月一日付)は、一面トップで、「群を抜く『赤旗』の報道」という特集記事をのせています。「『しんぶん赤旗』は『伝えたいこと・伝えるべきこと・伝えなければならないこと』など報道の使命を十二分に果たしている」とし、シリーズ「軍事利権を追う」に注目して、「(この問題の)今後の進展のカギも『赤旗』の報道が握っていると期待せざるを得ない追及ぶり」と評価しています。こうした評価が一般メディアでもあらわれるというのは、いまの情勢を反映していると思います。

 読者拡大のためには、独自追求がどうしても必要ですが、すすんだ党組織の特徴として二つあげられます。一つは、「どんな情勢のもとでも、つぎの総選挙で勝てる強く大きな党をつくりたい」という総選挙勝利の構えをつくることが、独自追求の土台となっていることであります。いま一つは、独自追求の内容としては、一部の力持ちの同志にだけ頼るのではなく、読者拡大に自覚的にとりくむ支部と党員をいかに広げるかに執念を燃やしていることであります。これらも大いに学ぶべきこの間の教訓であります。

 党員拡大でも五中総後、入党者数が月をおって増大し、三カ月間で全党的に二千人をこえる新入党員を迎え、十一月には一千人をこす新入党員を迎えています。

 財政活動の根幹である党費納入も、全党的な努力のなかで、九月、十月とも前月比で当月納入でも、のべ納入でも前進をはじめています。

 もちろん前進をはじめたとはいえ、それは端緒的なものです。読者の陣地は、前回総選挙時比で、日刊紙90・5%、日曜版89・8%であり、一刻も早く前回選挙の勢力を上回る峰を突破できるように奮闘したいと思います。党員を迎えた支部は24・4%であり、これも総選挙に向けてすべての支部が新しい党員を迎えるという目標の達成のために、がんばろうではありませんか。

 全党の努力ではじまった党づくりの前進を、絶対に中断させることなく、十二月、さらに来年も月ごとに、末広がりに発展させるために力をつくしましょう。その促進のために、十一月に開催した機関紙部長会議、組織部長会議、財政部長会議の成果を、機関全体が身につけるようにしていただきたいと思います。

地方選挙での前進――住民の切実な要求と、「住民が主人公」の政治姿勢が共鳴して

 第三は、地方選挙での前進です。参議院選挙後の中間地方選挙で、わが党は、百七自治体に百九十八人が立候補し、百八十三人が当選し、ほかに補欠選挙で二人が当選しました。一部に失敗もありますが、全体として議席占有率を7・93%から8・83%へ0・90ポイント前進させました。これは他党とくらべてもきわだった前進です。わが党の定例選挙での当選者百八十三人に対して、自民党は四十九人、公明党は百五十五人、民主党は五十一人、社民党は二十人です。得票でも、わが党は、60%の自治体の選挙で前回票をのばし、全体の平均で106・0%と前進しています。

 特徴的なのは、都市部でも農村部でも、顕著な前進をかちとる経験が生まれていることです。東大阪市議選では、定数四十六で九人全員が高位当選をはたし、前回票を一万票上回る画期的勝利となりました。長野市議選でも過去最高の得票で六人全員当選、京都・向日市議選でも過去最高の得票で定数二十四で八人全員が当選しました。

 首長選挙では、長野県・南牧村村長選挙でわが党の菊池幸彦前村議が圧勝しました。兵庫県・福崎町長選挙では、党員町長の嶋田正義氏が無投票で四選をはたしました。東大阪市長選では僅差(きんさ)で敗れたものの、党員市長の長尾淳三氏は、前回選挙を一万八千六百票以上上回る得票をえて、大健闘しました。

 こうした前進の流れの背景には、自民党政治――多くの自治体では「オール与党」で担われている政治と、住民との矛盾が限界点をこえ、全国どこでも命と暮らしにかかわる叫びともいうべき切実な要求がよせられ、わが党と保守層もふくむ広い人々との共同がすすみ、党の政策・路線への共感の条件が大きく広がっていることがあげられます。

 無投票で四選をはたした福崎町長選挙では、町議会議長が応援にかけつけ、「嶋田町長は『住民が主人公』を貫いてきた」と激励しました。有力な保守系町議の一人も、「だれが出ても嶋田町長には勝てません。町民は嶋田さんにまかせておけば大丈夫という安心感をもっている」「嶋田町長は、名前の通り正義感があり、一生懸命勉強して、難問を前向きに打開していく姿はすばらしい」との評価をよせています。

 地方政治という舞台でも、住民の切実な要求と、「住民が主人公」の立場で献身するわが党の政治姿勢が共鳴しあい、前進の流れをつくりだしていることは重要であります。

情勢のはらむ新しい可能性をくみつくし、さらに大きな前進を

 「大運動」、党勢拡大、中間地方選挙――この三つの前進に共通するのは、情勢の展開そのもののなかに、わが党の奮闘いかんでは、国民の要求と、党の綱領・日本改革の方針とが接近・合致する大きな客観的条件が存在するということです。

 これらの前進は端緒的なものですが、参議院選挙で、一面では日本の政治にとって新しい局面を開く結果が生まれるとともに、もう一面では悔しい結果が出た。それを冷静に分析し、確信をもつべき点に確信をもちながら、とりくみの弱点にメスを入れて教訓を引き出し、活動方向を大胆に明らかにしたのが、五中総決定でした。この決定にそくして、この二カ月半に、一連の分野で、党の活動が前進に転じていることは、全党の奮闘の重要な成果であって、大いに確信にすべきことです。

 情勢がはらむ新しい可能性をくみつくし、さらに大きな前進をかちとろうではありませんか。そのために幹部会では、経験と教訓を交流するとともに、問題点も討論でぜひ深めてほしいと思います。

総選挙方針の具体化、実践について

新しい選挙方針にもとづく候補者擁立の到達点

 つぎに総選挙方針の具体化と実践について報告します。

 まず、新しい選挙方針にもとづく候補者擁立の到達点についてです。わが党は、十一月中に、比例、小選挙区とも候補者擁立をはかるという方針でとりくみをすすめてきました。

 比例代表予定候補は、十月二十二日に第一次発表として二十四人、十一月三十日に第二次発表として四十九人を発表し、総数七十三人となりました。すべての都道府県において全県的に活動する比例代表予定候補者が決まりました。

 小選挙区での候補者擁立は、五中総の提起にもとづいて、十一月末までに各都道府県で決定し中央が承認した候補者は百十五人となりました。各県が擁立を計画・予定している選挙区は約百四十選挙区であり、その八割強の予定候補者が決まりました。立候補計画は、全体として五中総決定にそくした適切なものであり、予定候補者擁立が未定の選挙区はすみやかに決定するようにしたいと思います。

 都道府県委員会、地区委員会の努力によって、五中総から二カ月半で、候補者擁立という点で、基本的に総選挙をたたかう陣立てがつくられたことは、大きな積極的意義をもつものです。比例代表、小選挙区とも、予定候補者の活動をただちに具体化し、候補者を先頭に大規模な宣伝、組織活動にふみだし、選挙勝利のうねりをつくりだしましょう。

 なお、今後の問題としては、小選挙区の候補者擁立(計画)は、固定的にしないことにします。すなわち現時点で、候補者を擁立しないことを決めた選挙区でも、今後のとりくみのなかで党活動の大きな前進をはかり、候補者擁立の条件が生まれてくることもありえます。その場合には、候補者を擁立してたたかうという選択肢もありうることです。

「六百五十万票以上」という得票目標がどう具体化されているか

 そのうえで、新しい総選挙方針の具体化と実践について、三つの点について問題提起をおこないたいと思います。

 第一は、「六百五十万票以上」という全国的な得票目標がどう具体化されているかという問題です。全国からの報告では、この提起を積極的に受け止め、得票目標達成を正面にすえたところで、積極的な変化がおこっています。

 長野県委員会からは、つぎのような報告が寄せられました。「北陸信越ブロックの議席奪還へ、長野県の得票目標十六万五千を獲得する構えと活動をあらゆる面で貫くようにしている。僅差で惜敗した前回、前々回の雪辱を果たすということだけでは、本当の力を引き出すことにはならない。得票目標を正面にすえなければ、『それくらいなら今回は他の県でがんばってもらったら』などさまざまな消極主義がでてくる。得票目標を正面にすえたことで、後援会活動、選挙区別の地方議員会議の開催、党員拡大などでも、自覚的で積極的な奮闘がはじまっている」。

 東京都委員会からは、つぎのような報告が寄せられました。「前回は僅少差で二議席目を獲得できなかったが、議席増に一番近いブロックとして今度こそ必ず議席増をはかる。そのさい九十万という得票目標を正面から掲げることで、二議席絶対確保はもとより、三議席への展望も開かれることから、より大きな構えで総選挙に立ち向かう責任感と積極性が生まれている。すでにほとんどの小選挙区で予定候補者を決定し、候補者ポスターの張り出し、『東京民報』号外の作成・配布など、広い都民のなかでの宣伝活動にも打って出ている」。

 得票目標の実現を一貫して目指すという大方針を正面から受け止めたところで、議席増の目標と一体になって、積極性、自発性が引き出されているのは重要であります。

 ここで最大の問題は、支部段階でみると、五中総決定を論議して得票目標を決めた支部が、全国平均では44%にとどまっていることにあります。この問題では、中央としての推進にも弱さがありました。この弱点を大胆に打開することは、「支部が主役」で諸課題を本格的に前進させるうえで、要をなす問題です。支部が自らの得票目標を自覚的・主体的に決めてこそ、選挙勝利の諸課題を推進するうえでも“生きた魂”が入ってきます。遅くとも年内に、すべての支部が自覚的な得票目標をもって活動を開始できるように、党機関の指導と援助を抜本的に強めることを提起したいと思います。

 全体として遅れているもとでも、愛知・名古屋東部地区では、100%の支部が得票目標を決めているなど、得票目標を決めた支部が九割以上の地区委員会が、全国で十一地区生まれています。すすんだ党組織では、参議院選挙のとりくみを自己分析し、総選挙をいかに「自らの選挙」にしていくかについて、真剣な議論をおこなっています。「地方選挙などにくらべても党の力がだしきれないで終わった」、「こんどこそ支部が『自らの選挙』として総選挙をたたかうようにしよう」などの意思統一をはかるなかで、前進をかちとっています。これらの先進例に学びつつ、この立ち遅れの打開を一気にはかろうではありませんか。

比例代表に力を集中する新しい方針の討議・具体化について

 第二は、比例代表の前進に力を集中する新しい方針の討議・具体化についてであります。五中総決定では、「すべての小選挙区での候補者擁立をめざす」という従来の方針を見直し、比例での前進に党の持てる力をもっとも効果的に集中する方針を決めました。そして、「この方針のもとで、比例代表で前進をかちとるには、よほどの覚悟とともに、これまでの選挙戦と党活動の抜本的な立て直しをはかることが必要となります」とのべ、とくに選挙活動の日常化という問題を提起しました。

 討論で深めていただきたいのは、この方針がどう受け止められ、議論され、具体化がはかられ、実践にふみだしているかという問題です。具体化の過程では、積極的な受け止めとともに、さまざまな消極論もあったと思います。それらを真剣な討論をつうじて克服しながら、前進に足を踏み出している経験が、全国各地に生まれました。報告では二つの県のとりくみを紹介したいと思います。

 一つは、青森県委員会からの報告です。「(五中総決定の)最初の受け止めは、『比例に集中して得票目標をやりぬく』という積極的な受け止めとともに、『助かった。楽になった』という受け止め、『ほんとうに前進できるのか』という戸惑いの受け止めなどが混在していた。そこで県委員会として、小選挙区候補を擁立しない選挙区で、それによるデメリットを正面からとらえながら、擁立しないことから生まれるメリットを生かすにはどうしたらよいかを、支部の実際の活動から学ぶ『支部の経験を聞く会』をもった。この会議をつうじて、比例選挙を日常化するうえでのヒントを多数発見した。すすんだ支部では、日常的に住民の利益のために活動し、対話・支持拡大も選挙直前からでなく対面で日常的にとりくむ、選挙の日常化の一つの要として後援会員の拡大とニュースなどをつうじた結びつきを重視しているなどの活動にとりくんでいることがわかった。五中総決定どおり、選挙の日常化をはかれば、前進できるという手ごたえをつかめた」。

 いま一つは、石川県委員会からの報告です。「石川2区、3区は、今度は小選挙区で立候補せず、比例に力を集中することを決めたが、ここで『支部が主役』の活動が広がっている。その根本には、五中総を受けて、地方選挙では全力をあげるが、国政選挙で本気にならない弱点をどう打開するかを正面から議論したことにあった。そのためには根本的に党を変えなければと、選挙間際で『お茶を濁す』ような活動でなく、五中総で党員の決起を広げ、『支部が主役』の選挙戦の日常的な活動の強化が必要だという立場に、地区委員長がたった。加南地区は、従来は決定読了は二割程度ときわめて低かったが、今回は支部討議100%、読了は43・4%にひきあがっている。能登地区は、支部討議は100%、読了は55・2%となっている。『綱領を語る集い』、党勢拡大、党員拡大でも前進が開始された」。

 こうした真剣で攻勢的な討議、具体化の努力がはかられているか。安きに流れたり、議論がされないなどの問題点を残していないか。討論で率直に深めてほしいと思います。

「選挙の日常化の一つの要」である後援会活動について

 第三は、五中総決定が、「選挙の日常化の一つの要」と位置づけた後援会活動の問題であります。

 五中総のこの提起は、積極的に受け止められ、五中総以後、後援会員は全国で三百二十万人をこえて前進しています。各県の後援会拡大目標の合計は、六百万人をこえ、得票目標に匹敵するものになっています。これは、この活動には大きな可能性があることを実感させるものであります。

 すべての支部が得票目標に見あう後援会員と支持拡大の目標を決め、「後援会ニュース」を活用して、気軽で率直な会員拡大と、後援会員への総選挙での支持・協力依頼という二つの活動にとりくむようにしたい。この両方の活動は、総選挙にむけた対話・支持拡大そのものにもなります。

 年内に、三百二十万人をこえた後援会員のすべてに、比例ブロックや都道府県、地区、支部が発行している「後援会ニュース」をとどけ、「比例代表は日本共産党」と、支持・協力依頼をやりきりましょう。また、すべての党員のつながりを生かして、「全国は一つ」「ブロックは一つ」の立場で対話・支持拡大を本格的に開始しましょう。

5中総決定の全党への徹底にひきつづき力をそそぐ

5中総決定徹底の到達点――従来をこえる前進、同時にこれからが大切

 五中総決定徹底の到達点は、十二月三日報告で、読了・徹底が35・7%、支部討議は86・9%です。読了・徹底で、四割をこえた府・県が、石川県、宮城県、京都府、奈良県、兵庫県、埼玉県です。読了・徹底で五割をこえた地区は十一地区、100%の支部が討議した地区は三十二地区となっています。

 読了・徹底の全国的到達は、第二十三回党大会期、第二十四回党大会期の中央決定徹底で、最も高い率になっています。同時に、ここから先にすすむことが大切であります。

決定を徹底する新しい措置の可能性を徹底的にくみつくす

 五中総決定では、中央決定の読了が三割前後にとどまっている現状について、「これではまともな党とはいえない」として、これを抜本的に打開するために、読了を中心にすえつつ、しかるべき責任のある同志が決定の中心点をよくつかんで報告し、議論すれば、徹底とみなすという新しい措置をとりました。ダイジェスト・ビデオ(四十六分)を作製し、これを視聴・議論すれば、徹底とみなすという措置もとりました。これは、党の現状にそくした決定の徹底の方策として、大きな力を発揮しつつあります。

 これまでなかなか決定の内容がとどかなかった同志にも、徹底がすすみはじめています。同時に、決定を説明する側にとっても、説明するたびに決定を深く理解することにつながり、政治指導の豊かな力量を身につけることでも威力を発揮しています。

 この新しい徹底の措置の持っている可能性を、徹底的にくみつくすことが大切であります。一部に、新しい措置が議論されておらず、具体化されていない機関も残されています。県・地区の中枢幹部が、ダイジェスト・ビデオを見ていない状況も残されています。新しい措置が威力を発揮しだしていることに確信をもち、すべての県、地区で、年内に、過半数の党員の読了・徹底をやりとげて、新しい年を迎えることをよびかけるものです。

 そのさい、たえず五中総決定、綱領と大会決定にたちかえり、綱領と決定の目で情勢をとらえ、活動を自己点検し、決定のもつ意義を新鮮にかたり、読了・徹底を前進させたいと思います。

解散・総選挙にむけてどういう構えでとりくむか

 報告の最後に、解散・総選挙にむけた構えについてのべます。

 解散・総選挙の時期は、予断をもっていえませんが、参議院選挙でつくられた新しい政治的力関係のもとでは、政府・与党がいつまでも解散を先のばしにはできないことも、事実だと思います。いつ解散・総選挙となっても受けて立つという姿勢・態勢を、全党に確立することが必要であります。

 まず年内に「大運動」と諸課題で飛躍の波をつくること、つぎの節目としては来年春先の時期を焦点において、総選挙勝利の政治的波をつくることが大切であります。どの時期の選挙になろうとも、党活動の末広がりの発展のなかでたたかえるように、「支部が主役」の選挙戦を一貫して発展させるという見地でのとりくみの前進・飛躍をよびかけるものです。

 以上で常任幹部会を代表しての報告とします。