2008年2月15日(金)「しんぶん赤旗」

「志布志事件 冤罪でない」法相暴言

資格問われる

志位委員長が批判


 「志布志事件は冤罪(えんざい)と呼べない」―。鳩山邦夫法相が、鹿児島県議選をめぐる「志布志事件」の無罪判決を冤罪でないと言い放った暴言(十三日)に批判が強まっています。検察幹部が集まる会議「検察長官会同」の場でのこの発言。度重なる失言が問題になっている鳩山法相ですが、今回は司法行政のトップとしての資格が問われます。


 日本共産党の志位和夫委員長は十四日の記者会見で、鳩山邦夫法相が、鹿児島県議選での買収容疑で不当な逮捕・取り調べによって起訴された住民が無罪判決を受けた問題に関し、「冤罪と呼ぶべきではない」などと発言したことについて、「無罪というのは、冤罪だったということだ」「司法判断を法務大臣が覆すというのは、到底許されない」と批判しました。

 志位氏は、鳩山法相がこれまで、バリ島爆弾テロ事件について「友人の友人がアルカイダ」だと発言し、死刑を法相の署名抜きで自動的に執行するよう主張するなど暴言を繰り返してきたと指摘。「法務大臣としての資質があるのか、はっきりいって疑わせる」と述べました。

 その上で、「法務大臣というのは、法の厳正な執行に責任を負っているわけで、その大臣が法秩序のイロハをわきまえない発言を繰り返しているというのは、資格、資質にかかわる」と批判し、同法相の問題の所在を国会で明らかにするために、質疑でただしていくことが必要だと強調しました。


■問題になった鳩山法相の発言

 (死刑は)自動的に客観的に進むような方法を考えたらどうかと思う。それは乱数表で決めるとか。(中略)自動的になにか、ベルト・コンベヤーと言ってはいけないが。(07年9月25日、閣議後の会見)

 私の友人の友人がアルカイダだ。会ったことはないが、2、3年前は何度も日本に来ていたようだ。(中略)彼はバリ島の爆破事件(02年)に絡んでいるが、バリ島中心部は爆破するから近づかないようにというアドバイスを(友人が)受けていた。(07年10月29日、日本外国特派員協会での講演)

 (田中角栄総理の私設秘書時代に)ペンタゴンの方から5回ぐらい食事をごちそうになった。(中略)てんぷらやすしやウナギをごちそうするアメリカの情報収集の仕方はすごいなと思った。(07年12月7日、衆院法務委員会)

 (志布志事件は)冤罪と呼ぶべきではないと考えている。(中略)定義がはっきりしない冤罪というものをこの事件まで適用すると、無罪事件は全部冤罪になってしまう。(中略)検察官の士気を上げるために、十分反省したうえで積極的に前を向いてくれと言いたかった。(08年2月13日、検察長官会同での訓示と、その後の記者団への釈明)