2008年3月6日(木)「しんぶん赤旗」

幹部会への志位委員長の報告とまとめ


 日本共産党が4日に開いた幹部会で志位和夫委員長がおこなった常任幹部会報告と討論のまとめは、次の通りです。


 みなさん、おはようございます。私は、常任幹部会を代表して、幹部会への報告をおこないます。

 この幹部会を開いた目的は、昨年9月の5中総決定、12月の幹部会決定をふまえ、この間の情勢の特徴を共通の認識にするとともに、総選挙勝利をめざす活動の強化方向を明らかにすることにあります。

一、情勢をどうとらえ、どう活動するか

 報告の第一の主題として、情勢をどうとらえ、どう活動するかについてのべます。

 5中総決定では、参議院選挙で自公政権が歴史的大敗を喫し、そのゆきづまりを深刻にするもとで、「どの問題をとっても、わが党の綱領と日本改革の方針が、こんなに情勢とかみあい、情勢と共鳴しつつあるときはない」――綱領と情勢とが響き合う新しい状況が生まれていることを強調しました。そのことは、今年に入ってからの情勢の展開によって、いよいよ鮮やかに裏づけられています。

「大企業から国民・家計に軸足を移せ」――この主張が当たり前の声に

写真

(写真)報告する志位和夫委員長=4日

 第一に、「ルールなき資本主義」――極端な大企業中心主義の異常をただす、経済的民主主義の改革にかかわるいくつかの問題について報告します。

 小泉・安倍政権がすすめた「新自由主義」の暴走のもとで、貧困と格差が劇的に拡大し、綱領がさししめす経済政策の民主的転換が、いま、これまでにない広い国民の気持ちをとらえ、国民の声になりつつあります。

雇用問題――労働者派遣法の抜本改正へ、いまが攻め時

 まず雇用問題についてであります。

 いま日本社会を覆う貧困の広がりの根源には、人間らしい雇用の破壊があります。この間、わが党は、深刻な社会問題になりつつある派遣労働問題について、抜本的な法改正の必要性を提起し、その実現のために力をそそいできました。全国の労働者のたたかい、わが党の一連の国会論戦をつうじて、派遣労働の規制緩和から、規制強化の方向に踏み出す潮目の変化が生まれつつあることは重要であります。

 とくに衆院予算委員会で、わが党がこの問題を追及し、福田首相に、労働者派遣法の自由化がつくりだした日雇い派遣、派遣労働者の急増などは、「決して好ましいものではない」と答弁させ、キヤノンなどの違法・逸脱行為についての調査を約束させたことは、財界が求めてきた労働法制のいっそうの規制緩和への大きな打撃になるとともに、派遣法の抜本改正を求める世論を広げるものとなっています。

 わが党の質問にたいして、派遣労働という「人間使い捨て」の労働に苦しむ若者などから多くの激励と共感の声が寄せられ、インターネットでも反響がおこっています。法改正にむけて、政治的立場の違いをこえた広い共同がつくられつつあります。派遣法を踏み破る違法・逸脱行為をおこなってきたキヤノンが、国会質問を受けて、直接雇用増の方針を打ち出すなど、一定の手直しをせざるをえない状況もつくりだされつつあります。

 労働法制の規制緩和に一貫して反対をつらぬいたのは日本共産党だけでした。とくに派遣労働を原則自由化した1999年の法改悪に断固として反対したのはわが党だけでした。ところが、その主張がいまや多くの国民と広く響き合い、政府・財界を追い詰める情勢が展開しているのであります。

 この問題は、いまが攻め時であります。もちろん財界による新たな逆流のもちこみも予想され、この問題の帰趨(きすう)は今後のたたかいにかかっていることを、強調しなければなりません。労働者派遣法改正をはじめ非正規雇用の問題の解決を、国民的課題として重視し、職場でも、地域でも、この問題にとりくみ、非正規雇用労働者の結集と組織化、たたかいの発展に力をつくすことをよびかけるものです。

社会保障――後期高齢者医療制度、社会保障費抑制路線の撤回を

 つぎに社会保障の問題についてのべます。

 2006年度に強行された「医療改革」法が、実施に移されるもとで、医療荒廃の深刻化が、社会保障の矛盾の集中点になっています。

 とくに4月に実施が強行されようとしている後期高齢者医療制度にたいする国民の怒りは、燎原(りょうげん)の火のごとく全国に広がっています。制度の「中止・撤回」「見直し」を求める地方自治体の決議は、512自治体と全国の自治体比で27・5%、反対署名は350万人に広がり、自治体がおこなう制度の「説明会」は抗議集会となり、年金からの天引きの通知が届けられるなかで、広域連合や自治体への怒りの問い合わせが殺到しています。

 この制度の最大の不合理性、非人間性は、75歳という年齢を重ねただけで、健保や国保から無理やり脱退させられ、別制度の中に囲いこんで、負担増・給付減を強いるという、世界に類のない差別医療というところにあり、国民の怒りもそこに集中しています。若い世代にとっても、この制度は、現在加入している健康保険が生涯保険ではなくなり、75歳で断ち切られてしまうことになります。「世代間の公平」の名のもとに差別医療を押し付けるこの企てにたいして、若い世代と高齢者が連帯し、国民的連帯を広げて、これを打ち破るために力をつくそうではありませんか。

 わが党は、社会保障切り捨ての根本にある社会保障費抑制路線――小泉内閣の「骨太の方針」以来つづけられてきた社会保障費の自然増を毎年2200億円ずつ削減する路線にたいして、一貫してその撤回と転換を求めてきましたが、この間、厚生労働大臣が「マイナスシーリングをやめたい」と言い出し、首相も「これを続けることは難しい」と認めざるをえなくなりました。「だから消費税増税が必要だ」という議論に誘導しようという動きへの強い警戒が必要ですが、政府がこの抑制路線の破綻(はたん)を自ら認めた意義は大きいものがあります。その撤回と転換を強く求めてたたかうことが大切であります。

道路特定財源――59兆円の「道路中期計画」の是非が問題の焦点

 つぎに道路特定財源の問題について報告します。

 わが党は、この問題の核心は、むこう10年間で59兆円の税金を道路につぎこむ「道路中期計画」――「総額先にありき」という方式で際限なく高速道路をつくり続けるのか、その仕組みをやめるのかにあることを、一貫して追及してきました。

 わが党は、国会論戦で、「道路中期計画」には、1万4千キロの「高規格幹線道路」にくわえて、7千キロ近い「地域高規格道路」が含まれ、その「候補路線」として東京湾口にもう一本の海峡横断道路を架けるなど、全国で6つの海峡横断道計画などもあることを明らかにするとともに、これが採算も見通しもない無謀な計画であることを強く批判し、その撤回を迫ってきました。これはわが党ならではの追及であります。この追及によって、問題の焦点は59兆円の「道路中期計画」の是非にあることが、広く明らかにされたことは重要であります。

 綱領は、「むだな大型公共事業」をただし、「国民のくらしと社会保障に重点をおいた財政・経済の運営をめざす」ことを明記しています。わが党はこの立場から、道路特定財源を一般財源化し、無駄な道路建設を加速している暫定税率は廃止し、「道路中期計画」を撤回することを強く求めてきました。さらに、二酸化炭素の排出量を考慮した環境税の導入を提案してきました。この方向こそ、国民の声にこたえた道理あるものであることが、浮き彫りになっています。

マクロ経済政策でも、「綱領と情勢の響き合い」が

 つぎにマクロ経済政策についてのべます。

 わが党は、「企業が栄えれば、めぐりめぐって家計に波及し、国民生活がよくなる」という、大企業中心の「成長」シナリオを強く批判し、この路線では、国民のなかに貧困と格差を広げるだけでなく、日本経済の前途も立ち行かなくなると警告し、「大企業から家計・国民に経済政策の軸足を移せ」と主張してきました。この論戦は一定の決着がつきました。この間、政府も、「企業の体質は格段に強化された」が、「家計への波及が遅れている」と、とうとう大企業中心の「成長」シナリオの破綻を事実上認めるにいたりました。

 大企業中心、外需頼み、家計置き去りでは、日本経済に先がないということは、いまや広く常識になりつつあります。日本経済新聞の経済コラム「一目均衡」では、「経済政策を『改革』する時」と題して、輸出から内需――家計部門と個人消費に目を向ける重要性を強調し、「大企業から家計へ経済政策の軸足を移せ」と説きました。言葉づかいまで、わが党と「響き合う」論説が出ました。

 少し前までは、政府は、「国際競争力」論などをもちだし、大企業応援政治を合理化してきました。しかしいまや、それは簡単には通用しなくなりつつあります。「大企業は社会的責任を果たすべき」という声が、当たり前の声になりつつあります。ここにも「綱領と情勢の響き合い」がおこっています。

 以上、雇用、社会保障、道路特定財源、マクロ経済政策など、いくつかの角度から見てきましたが、どの問題でも綱領の立場が、広い国民に当たり前の主張として受け入れられる情勢が進展しています。

 この情勢の特徴をよくとらえて、貧困と格差の打開をめざし、各分野での国民運動の発展のために、おおいに力をつくそうではありませんか。綱領がしめす経済の民主的改革の内容をおおいに語ろうではありませんか。

アメリカいいなり、軍事優先でいいのか――ここでも国民世論の変化が

 第二に、異常な「アメリカいいなり」政治――軍事優先政治をめぐって、この間、深刻な問題がつづけておこり、ここでも政治の根本からの転換を求める声が広がっています。

イージス艦衝突事件――軍事優先、隠蔽体質、対米従属の軍隊の本質をただす

 海上自衛隊のイージス艦が、千葉県沖で漁船に衝突・沈没させた事件に、国民の大きな怒りが集中しています。この事件は、防衛省・自衛隊がもつ深刻な体質的な問題点を明るみに出しました。

 一つは、軍事優先体質であります。防衛省の発表によっても、イージス艦は漁船を「12分前」に発見していながら、その後11分間は自動操縦のまま直進し、衝突直前まで何ら回避措置をとりませんでした。艦長は「あの海域で漁船が多いとは理解していなかった」というあきれ果てた発言をしました。ここには「そこのけ、そこのけ、軍艦がとおる」という、許しがたい軍事優先の姿勢があらわれています。

 いま一つは、情報隠蔽(いんぺい)体質であります。防衛省は、当初は漁船を「2分前に発見」と発表していたのを、「12分前に発見」に変えました。その情報も丸一日隠しました。海上保安庁にも断らずに航海長の事情聴取をおこない、その事実を隠し、明るみに出たあとも事情聴取の内容を「覚えていない」などとのべました。発表が二転、三転し、情報隠蔽の体質が露呈しました。

 わが党は、被害者の捜索に手をつくすとともに、真相の徹底究明をおこない、これらのゆがんだ体質を根本からただすことを強く求めます。被害者への補償はもとより、漁を休んで仲間の捜索に全力をあげてきた地元の漁業関係者に、政府が適切な補償をおこなうことを強く求めるものであります。

 防衛省・自衛隊のゆがんだ体質の根底に、対米従属の軍隊としての自衛隊の本質があります。イージス艦は、アメリカの先制攻撃戦略の一翼を担うミサイル防衛の柱とされている軍艦であります。また、米空母の護衛をその本来の任務としている軍艦であります。そこから日本国民の命と安全よりも、米軍事戦略の一翼を担う仕事を優先する姿勢が生まれてくることを、明らかにしていく必要があります。

 さらに、この事件は、東京湾の入り口の横須賀に、巨大な米空母の母港がおかれ、海上自衛隊の基地が存在するという問題を、このまま放置しておいていいのかを、きびしく問うものとなっていることを、強調しておきたいと思います。

米軍基地問題――全国が連帯して、「米軍再編」反対、基地縮小・撤去を

 つぎに米軍基地問題についてのべます。

 この間、沖縄で米海兵隊員による女子中学生暴行事件が起こりました。沖縄では、県議会と全市町村で抗議決議が採択され、怒りが島ぐるみでわき起こっています。被害少女の告訴取り下げにより、米兵が釈放されましたが、起こった事実に変わりはありません。「琉球新報」が「被害者に代わり糾弾を 事件に募る怒り」と書きましたが、これが県民の思いであります。県民大会は、被害者の気持ちを酌み、名称を「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」と変えて、開催されることが確認されました。

 福田首相は、この問題で、来日した米国務長官に抗議もせず、「綱紀粛正、再発防止」を繰り返すだけであります。しかし何度それを繰り返しても解決しないことは、これまでの経過が証明しています。「再発防止」というなら、海兵隊撤退、基地縮小・撤去しか、その保証はないことは、いまや明らかであります。

 「米軍再編」をめぐっては、今年が正念場の年になっていることを、強調したいと思います。山口県の岩国のたたかい、神奈川県の横須賀・座間のたたかいなど、全国の基地強化反対のたたかいを強め、連帯して、「米軍再編」の名による基地強化を許さず、基地の縮小・撤去のためのたたかいを大いに発展させることを訴えるものです。

「日米同盟」絶対論――国民世論にも、世界の流れにも逆行

 これらの問題をめぐっても、政府がこれまで唱えてきた「日米同盟」絶対論が、簡単には通用しない状況が生まれています。

 米軍、自衛隊のあいつぐ暴挙にたいして、「米軍基地が日本に必要か」「イージス艦が必要か」という根本のところから、批判の声がわき起こっています。沖縄の事件がおこった直後に、全国革新懇として抗議の街頭演説をおこないましたが、そこで実施された「一言アンケート」でも、「もう基地はいらない」という声が多数寄せられました。

 さらに東南アジア友好協力条約(TAC)の巨大な発展が象徴するような、アジアと世界でおこっている平和の激動をみれば、日本の異常な逆行ぶりはいよいよきわだってきます。

 軍事同盟もない基地もない独立・平和の日本をめざすわが党の綱領の立場が、国民に広く受け入れられる条件が存在する――ここでも情勢との響き合いが起こっていることに確信をもって、基地問題、海外派兵問題、憲法問題など平和を守るたたかいを、さらに発展させようではありませんか。

「二大政党づくり」の動きの現状をどうとらえ、どうたちむかうか

 つぎに「二大政党づくり」の動きの現状をどうとらえ、どうたちむかうかについて報告します。

 昨年12月の幹部会では、「大連立」の動きを分析して、民主党が自民党と「同質・同類の党」であること、自民党との連立政権を選択肢とする政党であることを自分で証明したと指摘しました。

 いまの政党状況の特徴は、行き詰まった自民党政治を反動的に打開する方策として「大連立」、「政界再編」の可能性を常にはらみながら展開しているところにあります。

 たとえば、今年に入って、自民・民主両党の党大会が、相次いで開催されました。ところが、両党の大会では、あれほど物議をかもした「大連立」の話は、まったく触れられませんでした。そのことを「毎日」は、つぎのように指摘しています。「大連立問題は、どちらの大会でも両党幹部は一言も触れず封印された。……大連立論議を回避する不自然な沈黙が、政界の疑心暗鬼を象徴していた」。あれほど世間を騒がせた「大連立」の問題を、両党ともまったく封印して一言も言わないところに、これがいつでも再燃しうるものであることが、しめされています。

 それから、「政界再編」をにらんだ自公民の国会議員連盟が、雨後の竹の子のように、つぎつぎにつくられています。昨日(3月3日)、自民、民主、公明、国民新党の議員107人が参加して、「せんたく議員連合」なる議員集団がつくられました。報道によれば、今日(3月4日)、中曽根元首相を会長に、自民党の伊吹幹事長、安倍前首相、民主党の鳩山幹事長、前原前代表など両党の中枢政治家が参加して「新憲法制定議員同盟」の新役員体制が発足するということです。この「議員同盟」は、憲法改定にむけて憲法審査会の始動をめざすとしています。

 民主党は、当面は「大連立」を封印し、「対決戦術」をとっています。しかし「対決」というが中身はない。これが特徴です。

 前国会(臨時国会)をふりかえりますと、民主党は、あれほど「憲法違反」と断じて反対した新テロ特措法についても、最後の段階で、海外派兵の恒久法の制定などを規定した、政府案より危険な「対案」を提出し、自公による法案強行を事実上手助けする政治的姿勢をしめしました。

 いま焦点とされている道路特定財源問題でも、民主党が提出した「対案」(「民主党の道路政策大綱」)には、「道路整備計画の見直し」という表現はありますが、59兆円の「道路中期計画」の撤廃を求めるという立場はありません。民主党は、道路特定財源を一般財源化し、暫定税率を撤廃するといいながら、「道路はつくりつづける」という立場ですが、これでは財源の説明がどうしてもつかなくなります。無駄な道路建設に根本からのメスを入れられないという点では、民主党は自民党と同根の弱点をもっています。

 さらに自民・民主両党が、海外派兵の恒久法の制定と憲法9条改定、2009年度を事実上の目標においた消費税増税という二つの国政の大問題で、反動的な接点を明瞭(めいりょう)にしていることを、強く警戒しなければなりません。

 わが党は、自民・民主の合作による、平和を壊し、暮らしを壊す、間違った政治に、正面から立ちはだかり、国民とともにそれを許さないたたかいに全力をあげるものです。

日本共産党という党名にこめられた未来社会への展望を語ろう

 つぎに綱領がしめす未来社会論にかかわって、若干のことをのべます。

 この間、私は、「しんぶん赤旗」の新春企画として、経済同友会終身幹事の品川正治さんと対談をする機会がありました。憲法、外交、経済の問題など、さまざまな分野で、意見の一致をみましたが、この対談の最後に、品川さんが、「資本主義もゆきつくところまできた感じがします。新しい社会主義というものを考えざるをえなくなります。それも日本共産党のいうようにソ連型ではないものを」という趣旨の発言をされたのは、長く経済界の重鎮として活動してこられた方の発言として、たいへん印象深いものでした。

 いまラテンアメリカですすんでいる民主革命の過程においても、ベネズエラ、ボリビア、エクアドル、ブラジルなどの一連の国々で、「21世紀の社会主義」、「新しい社会主義」への探求がはじまっています。その内容は模索の過程にありますが、資本主義を乗り越え、ソ連型社会でない自由で民主的な体制を志向し、新しい社会体制への移行は議会での多数をえて国民合意ですすむということなどでは、共通した方向性がみられます。

 21世紀の世界の資本主義の現状をみれば、地球的規模での貧困と格差の拡大、地球環境問題、投機マネーの暴走など、深刻な矛盾がみられます。これらは、まず資本主義の枠内でも、国際的な民主的規制が探求されるべき問題です。とくに地球環境問題の解決の道筋をつけることは、待ったなしの課題となっていることを、強調しなければなりません。同時に、これらの諸問題は、利潤第一主義という資本主義の体制のもとでは、その根本的解決をはかることは困難であることも事実でしょう。

 こうしたもとで「新しい社会主義」への探求が、世界でも、日本社会のなかからも、さまざまな形で起こっていることは、綱領が、21世紀の世界を、地球的規模で「資本主義を乗り越えて新しい社会をめざす流れが成長し発展することを、大きな時代的特徴としている」と特徴づけていることを裏付けるものにほかなりません。

 こうした世界の大きな動向にも目を向けながら、日本共産党という党名にこめられた未来社会の展望を、おおいに語ることの重要性も強調したいと思います。

二、総選挙勝利をめざす活動の到達点と、強化方向について

「綱領と情勢が響き合う」――この条件をとらえた各分野の前進

 つぎに、報告の第二の主題として、総選挙勝利をめざす活動の到達点と、強化方向についてのべたいと思います。

 5中総決定、幹部会決定をうけた、総選挙勝利をめざす活動は、全党の奮闘によって、「綱領と情勢との響き合い」という客観的条件をとらえた積極的なとりくみが、各分野で発展しています。いま全体として、党内に、「がんばれば前進できる」「勝利できる」という明るい展望、活力が広がりつつあることを感じます。この幹部会では、その内容をおおいに交流し、教訓を互いに学びたいと思います。

「大運動」の発展が、党のあらゆる活動に新鮮な活力を吹き込んでいる

 第一に、「綱領を語り、日本の前途を語り合う大運動」は、今年に入って運動の規模が広がり、選挙活動、党活動、党建設など、党のあらゆる活動に新鮮な活力を吹き込み、大きな前進の条件をつくりだしつつあります。

 「支部を主役」にした「集い」は、全党的に33・2%の支部がとりくみ、累計で開催数は9480回、参加者数は22万人を突破しました。5割以上の支部が開催した県が2県、56地区となっています。今年に入って、1週間に数百回から1千回、1万人から2万人が参加する規模の運動に発展していることは、たいへん重要であります。この運動からは、たくさんの豊かな教訓が確認できます。

 一つは、「集い」を難しくせず、国民の切実な要求・関心を入り口にして気軽にとりくみ、党の姿を語りながら、自由な対話をおこなうことをつうじて、綱領路線をはじめ党への丸ごとの理解と信頼が広がっていることです。

 二つ目は、「大運動」の推進を「軸」にしながら、総選挙勝利の諸課題を総合的に推進する「立体作戦」に意識的にとりくむことで、党勢拡大、対話・支持拡大、後援会員拡大が、支部を基礎に無理なく前進し、選挙活動の日常化を推進するうえでも大きな力を発揮していることです。

 三つ目は、講師・弁士活動をつうじて政治的・理論的に強い党がつくられる、参加した党員が元気になる、また「集い」で切実な要求が語られ、要求運動が多面的に発展するなど、さまざまな面で、「支部が主役」の活動を豊かに発展させる契機となっていることです。

 いま「大運動」が発展しつつあるのは、この運動が、国民が自民党政治に代わる新しい政治を探求するという今日の情勢――いま進行している新しい政治プロセスにかみあった運動だからにほかなりません。貧困と格差が広がるなかで、多くの国民が不安をつよめ打開の展望を求めています。平和や憲法をめぐっても、日本の進路に不安を感じ、たしかな方向を求めています。「大運動」は、こうした国民の動向、願いにかみあった運動となっています。5中総の結語では、「大運動」について、「いまの情勢が求めているものであり、国民が求めているもの」だと強調しましたが、その後開始された全党のとりくみのなかでも、そのことが強く実感されます。

 そして、私が強調したいのは、わが党の歴史のなかでも、綱領そのものの内容を、広く国民と語り合う運動が発展しつつあるのは、初めてのことであるということです。こうした運動が可能となったのは、2004年の綱領改定によって、綱領路線を内容的に大きく発展させるとともに、その叙述も国民にわかりやすいものとしたことが、決定的な力になっているということも強調したいと思います。

 「大運動」の一環としてとりくまれている都道府県規模の演説会は、すでに28都県、38カ所で開催され、合計で6万3千人をこえる人々が参加しています。多くの会場で参議院選挙にむけた演説会をこえる参加者をえて成功し、どこでも活気にあふれています。参加者の反応や感想を見ても、「政治の本当の動きを聞きたい」、「政治を良くする展望をつかみたい」という思いを、多くの国民が切実にもっていることが感じられます。都道府県規模の演説会の成功を力にして、支部を基礎にした「集い」をさらに豊かに発展させるという見地が大切であります。

 「大運動」の発展は、まさにこの運動には「無限の可能性」があることを、実感させるものとなっています。この流れをさらに広げ、文字どおりすべての支部がとりくみ、参加者数も100万人をこえる規模に発展させようではありませんか。それは、総選挙勝利に大きな力を発揮することは疑いありません。

 「大運動」を推進するうえで、党機関のイニシアチブが大切です。長野県の諏訪・塩尻・木曽地区委員会では、パンフレット『「綱領を語る会」を全支部が開催を! 全ての集落で!』を発行し、行政区ごとに支部が開いた「集い」の様子を、ひとつひとつ写真入りで、生き生きと紹介し、支部が気軽に、楽しく、繰り返して、この運動にとりくめるよう、創意をこらした、また丁寧な援助をおこなっています。資料としてお配りしていますが、読んだだけでも、うちの支部でも開きたくなるというような、たいへん楽しい内容になっていると思います。こういうとりくみにも学んで、党機関がおおいにイニシアチブを発揮し、壮大な全党的運動に発展させようではありませんか。

党勢拡大での新しい上げ潮――弱点も直視してさらに前進を

 第二は、5中総後、党勢拡大で、全体として新しい上げ潮の流れをつくりだしつつあることです。この間の到達点は、つぎのとおりです。

 党員拡大では、入党決意者数が、11月、12月、2月は、1カ月として党大会後の最高となる1千人をこえ、5中総後の半年間に約5千人を新たに党に迎え入れました。全党的に11月、12月、1月、2月と、4カ月連続で前進をかちとりました。党大会後に入党者を迎えた支部は、6・4ポイントのび、27・7%となりました。

 読者拡大では、日刊紙と日曜版の合計で、全党的に10月、11月、12月、1月と4カ月連続の前進をかちとりましたが、2月は、日曜版読者は引き続き前進したものの、日刊紙読者を減らし、残念ながら全党的には合計では前進となりませんでした。ただ、2月度も36都道府県(77%)、212地区(67%)が前進をかちとり、党組織の大勢は前進となりました。10月以降の通算でみても25都道県(53%)、128地区(41%)が5カ月連続前進となっています。全党の大きな奮闘・努力によって、まだ端緒的・不安定であり、アンバランスもあるものの、読者拡大でも前進傾向をつくりだしていることに、確信をもつことが大切であります。

 とくに重要なことは、参院選の総括と教訓をふまえ、総選挙に勝つには「強く大きな党」がどうしても必要だ、毎月の前進を必ずかちとりたいという強い思いが、都道府県機関でも、地区機関でも、共通の思いになっていることです。この点では、党機関の思いは全国一つだと思います。増やしたところも、とりくみがおよばず減らしたところも、「何としても実力をつけて総選挙勝利を」という執念をもった構えが、党機関のなかにつくられてきていることはたいへんに重要であります。問題は、そうした党機関の思いを、いかにしてすべての支部、党員のものにしていくかにあります。

 また、「大運動」を「軸」にした「立体作戦」が、党員拡大でも、読者拡大でも、大きな力を発揮していることも、注目すべきであります。支部を基礎にこの運動を大きく発展させているところから、つぎの報告が寄せられました。

 「『集い』に参加してくれた人は、党を丸ごと理解してくれているので、訴えるとすんなり入党を決意してくれる。こちらも訴えやすい。入党できない場合でも読者になってくれる。参加の案内、参加のお礼となるので、足を踏み出すきっかけになる。そのなかで、党員や読者が増える。参加した党員が政治的確信を深め、党勢拡大に踏み出しやすくなる。党を知ってもらう活動と、党の実力をつける活動が直結していると実感している」

 さらに、「綱領と情勢が響き合う」状況のもとで、党の姿を伝える「しんぶん赤旗」の魅力が光り、紙面を広げて対話をすればどこでも話がはずみ、党への共感・共鳴を広げ、読者拡大をすすめる大きな力となっていることも、重要であります。

 こうした前進傾向に確信をもちつつ、つぎの弱点を直視して打開をはかることを呼びかけたいと思います。

 一つは、いかにすべての支部の自覚的な運動にしていくかです。毎月、読者拡大で成果をあげている支部は、5中総後の平均で全党的には3割程度であり、これをいかに大勢にしていくかという問題です。

 二つ目は、いかに「前進への執念から、目標達成への執念」をもったとりくみへと発展させていくかです。支部でも、機関でも、毎月が、月末での増か減かの攻防にとどまらず、5中総で決めた党勢拡大の目標――「すべての党支部が党員を迎える」こと、「一日も早く前回総選挙時をこえる読者をもつ」ことを、本気で正面にすえた運動にどうやって発展させるかという問題であります。

 三つ目は、日刊紙読者拡大のとりくみの弱さを意識的に打開することです。第22回党大会決定では、「日刊紙は、『しんぶん赤旗』発展の大黒柱であり、その拡大を、党員拡大とともに、党勢の一番基幹的な部分を強める活動として、重視して位置づける必要がある」とのべていますが、この位置づけをあらためて鮮明にして、意識的なとりくみを抜本的に強化したいと思います。前進している党組織では、「党員も、日刊紙も、日曜版も」という見地で、それぞれの独自の位置づけを鮮明にし、それぞれを前進させる独自追求をはかっていることが教訓であります。

 党勢拡大は、全党がもっとも力をそそぎ、また一番苦労をしている問題だと思いますが、全党の奮闘によって前進傾向をつくりだしつつあることに確信をもちながら、弱点も直視して、飛躍をつくるための方途について、討論で深めていただきたいと思います。

中間地方選挙の前進――議員選挙でも首長選挙でも重要な成果が

 第三は、中間地方選挙の前進であります。

 昨年12月の幹部会以降におこなわれた地方選挙の結果を見ると、わが党は、15市、25町村に68人が立候補し、62人が当選(ほかに補選で2人が当選)をかちとりました。議席占有率は7・30%から8・12%に0・82ポイント前進しました。他党の当選者数は、自民党2人、公明党47人、民主党14人、社民党3人であり、他党と比べてもわが党の前進はきわだっています。

 この3カ月の中間選挙の特徴は、前回選挙と比べて、大幅な得票増をかちとった選挙が相次いで生まれていることであります。得票数では、全国の前回比平均は114%、得票増をはたした選挙は76%となり、そのなかで前回得票を約2倍化するなどして得票目標を突破した選挙区が4選挙区生まれています。5中総決定は、衆院比例代表選挙で「650万以上」の得票目標の実現をめざして、「地方選挙においても、この目標を達成することを念頭に置いて、一貫したとりくみをすすめたい」と強調しましたが、この方針にてらしても、総選挙勝利に展望を開く貴重な成果であります。

 中間選挙の特徴の一つは、切実な住民要求が渦巻いていることです。どこでも、わが党の住民アンケート活動に、かつてないほど多くの数の回答が寄せられ、暮らしの窮状、政治への怒り、切実な要求が、びっしりと書き込まれています。切実な要求にこたえる党の活動が住民の信頼を広げるなかで、前進をかちとっていることが特徴であります。

 自民党の支持基盤の崩壊がいよいよ進み、自民党は4年前にくらべて公認候補の数が4割も減少し、そのもとでわが党と保守層、無党派層との共同が、新しい形で広がっていることも注目すべき特徴です。引退した保守系議員や首長が、住民の利益をまもる党の立場に共鳴して期待や支持を寄せてくれる経験が、全国各地に生まれています。

 選挙戦のなかで、要求活動、対話・支持拡大、後援会活動などと結びついて、党員が増える経験が、各地に生まれていることも重要です。岐阜・飛騨市古川区の選挙は、得票を前回比1・74倍にのばしてトップ当選をはたしていますが、ここでは告示1週間前には10人だった党員が、投票日には21人になっています。切実な住民要求の実現にとりくみ、「暮らしの大変さに正面から立ち向かうただ一人の市議候補」の姿を広く浸透させるとともに、徹底して党そのものを語ることを重視するなかで、支援の輪が広がり、「選挙で勝つために、党員としてがんばってほしい」と訴えると次々に入党が広がりました。こうした経験が生まれる根本にも、「綱領と情勢との響き合い」という状況があります。

 首長選挙では、京都市長選挙(2月17日投票)で、広範な市民とわが党が推薦する中村和雄候補が、自民・公明・民主・社民の「オール与党」が推薦した候補者に951票差に迫る大善戦・大健闘をしたことは、特筆すべきであります。わずかの差で当選には届きませんでしたが、選挙後、国保の運営協議会で加入世帯の96%での国保料引き下げが決まり、同和奨学金の返済肩代わりについても来年度予算案に計上されなくなるなど、中村候補の公約が市政を動かし、実現したことに、市民から大きな歓迎の声が寄せられています。

 岩国市長選挙も、大健闘の結果でした。選挙後、井原前市長は「市民の民意が変わったとは思いません。紆余(うよ)曲折はあっても、一度動きだした流れを押しとどめることはできません」と毅然(きぜん)とした態度表明をおこないました。このたたかいをつうじて日本共産党への信頼が広がり、空母艦載機移転反対運動が、新たな決意をもって発展しつつあります。

新しい選挙方針の実践のなかで、さまざまな創意と活力が生まれている

 第四は、新しい選挙方針の実践のなかで、さまざまな創意と活力が生まれていることです。

 この間、73人の比例代表予定候補者、124人の小選挙区予定候補者(単独候補は51人)が発表され、活動を開始しました。未決定のところでの決定を急ぐ必要がありますが、基本的に候補者の面で選挙をたたかう体制・構えがつくられ、日常活動が開始されたことが、全党に大きな活力をあたえています。新しい選挙方針の実践にかかわって、とくに三つの点を指摘したいと思います。

 一つは、それぞれの県で比例代表を訴える候補者が日常的に活動を開始したことが、総選挙の比例代表選挙の前進のとりくみを、県、地区、支部で、日常化し、党活動全体を活性化するうえで、大きな力を発揮しつつあるということであります。全国どこでも、予定候補者のみなさんは、素晴らしい活動を開始していますが、ここでは2人の活動について紹介したいと思います。

 1人は、徳島県の比例代表候補の古田同志の奮闘です。古田候補は、週6日街頭宣伝に立ち、立候補表明いらい469回の街頭宣伝、「集い」の弁士も20回つとめ、党勢拡大でも先頭にたっています。徳島県の上村県委員長は、「一言でいえば、古田さんが候補者になって、党内に風を起こしている。徳島県にとって、国政候補が日常的に候補者活動に専念するのは初めてのことだ」とのべています。

 いま1人は、鳥取県の比例代表候補の岩永同志の活動です。岩永候補は、街頭宣伝や党勢拡大、「大運動」の先頭にたつとともに、医師会、福祉団体、農業関係団体、自治体関係者など幅広い団体、個人との懇談・対話をすすめ、訪問・懇談は759団体、個人におよび、共同を広げています。鳥取県の小村県委員長は、「岩永候補の活動をつうじて、方針の『すごさ』が身にしみてわかった。『岩永さんに呼応する活動をすれば、党は変わるし、選挙に勝てる』という声も出だした」と報告を寄せています。

 二つ目に、小選挙区の候補者の活動も、5中総決定では、擁立するからには、「日常的・系統的に活動できる力量ある候補者を擁立する」という方針を確認しましたが、この方針にもとづく活動が、新しい力を発揮しています。

 東京では、すべての小選挙区に候補者を擁立していますが、小選挙区候補者は、地区委員長経験者など機関幹部、地方議員経験者、20代〜30代の若い候補者などから構成された魅力ある顔ぶれです。先日、私も参加した有明コロシアムの大演説会で、全員が訴えましたが、多士多彩で多大な感銘を参加者にあたえました。この小選挙区候補者が、比例候補者と力をあわせて、小選挙区でも「二大政党」との争いに負けない構えをつくって存分にたたかいながら、比例票をのばすことに執念をもってとりくむ日常的活動を開始していることが、党全体に大きな力をあたえています。「比例での責任を前面にすえながら、1960年代に中選挙区で得票をのばし、議席をめざしていたときのような空気が生まれてきた」との報告が寄せられています。

 三つ目に、小選挙区に候補者を立てない選挙区で、あらゆる力を比例選挙に集中するメリットを生かして、新たな探求と実践が始まっていることであります。

 北海道・北空知留萌地区(北海道10区)では、比例一本での前進に力を集中し、比例の得票目標をみんなの自覚的な目標とすることに力を傾け、100%の支部が得票目標をもって活動を前進させています。対話・支持拡大のとりくみを開始した支部が96%、「集い」は86・5%の支部が開いています。行政区ごとのとりくみを重視し、たとえば新十津川町を担当する新十津川支部では、「集い」に集まった人たちに、「総選挙で北海道ブロックから1議席を獲得するためには、町議選で得た得票の1・5倍の450人に日本共産党と書いてもらう必要があります」と具体的に目標を訴え、さまざまな活動を前進させています。

 熊本県・南部地区委員会がとりくんだ人吉市での演説会の大きな成功、佐賀県が北部地区委員会のある唐津市でとりくんだ演説会の大きな成功など、これまで大演説会にとりくんだことがないようなところで、従来にない構えで演説会にとりくみ、比例での躍進に正面からいどむ新しい経験が生まれていることも、たいへんに重要であります。ぜひこうしたとりくみを、全国各地でおおいに発展させたいと思います。

全支部、全党員の運動にいかにしていくか――3つの問題提起

 このように、この間の前進は教訓に満ちていますが、まだ部分的なものであることも事実です。この延長線上のとりくみでは、総選挙勝利の保証はないことを直視しなくてはなりません。開始された前進の流れを、いかにして全支部、全党員の運動へと発展・飛躍させるか。討論で深めてほしい三つの点について問題提起をしたいと思います。

すべての支部が「政策と計画」をもって自覚的な活動をする党をどうつくるか

 第一は、すべての支部が自覚的な「政策と計画」をもち、その要の問題として総選挙での得票目標をもって活動するように、いかにしていくかという問題です。

 全党的には、「政策と計画」をもって活動している支部は74%、得票目標をもった支部は62%、支部に対応する単位後援会をもっている支部は約半数――地域支部で70%、職場支部で32%です。私たちは、「支部が主役」の党づくりについて、「この道しかない」「いまの努力が必ず実をむすぶ」を合言葉にして、党活動、党建設の大道と位置づけとりくんできましたが、このとりくみは全党的には道半ばであります。これを文字どおり全支部がもって自覚的に活動していく党にどうやって発展させるか。

 「綱領と情勢との響き合い」、そのなかでの「大運動」の発展など、党と国民とのむすびつきを豊かに発展させる大きな客観的条件が存在していることは疑いありません。どの地域・職場・学園でも要求が渦巻いています。党への新たな期待も広がっています。それを「政策と計画」という形にして、党活動を発展させる自覚性・目的意識性がいま強く求められています。そのために何が大切か。討論で深めていただきたいと思います。

支部会議を軸に、すべての党員が条件を生かして活動に参加する党をどうつくるか

 第二は、支部が、週1回の支部会議を定期的に開くことを要にしつつ、「党生活確立の3原則」――支部会議に参加する、党費を納める、「しんぶん赤旗」日刊紙を読む――を定着させ、全党員訪問の努力をはかるなど、すべての党員が得手、条件を生かして活動に参加する党をどのようにつくりあげていくかという問題です。

 現状は、約4分の1の支部が会議未開催であること、党費納入の後退傾向が生じていること、日刊紙未購読の党員が約3割残されていることなどの問題があることを直視することが必要であります。

 同時に、「情勢と綱領との響き合い」という状況が広がり、「大運動」などに支部がとりくむなかで、ここでもいま、すべての党員が活動に参加する党活動をつくる好機となっています。「綱領を語る集い」にこれまで党活動に参加していなかった党員が参加するなかで、生きた党の前進の息吹に触れ、支部会議に参加するようになった経験も各地に生まれています。情勢や「大運動」とのかかわりでも、いまが日本共産党らしい党づくりをすすめる好機だということを攻勢的にとらえたとりくみが大切であります。

党機関の指導の改善・強化――指導姿勢、指導体制の両面で探求を

 第三は、党機関の指導と援助の問題であります。すべての支部が活動に参加し、総選挙勝利にむけて立ちあがれるよう、支部の目線にたち、実情にそくした具体的で親身な援助、指導がおこなわれているか。つぎの二つの角度から、党機関の指導の問題を、討論で深めてほしいと思います。

 一つは、指導姿勢の問題であります。双方向・循環型の活動という点でどうか。たとえば、「政策と計画」についても、数をつかむだけでなく、中身をよくつかんで、たとえ一つでもいいから実現するための具体的で親身な援助をおこなうことが大切であります。その点にかかわっても、選挙と党建設の「目標」とともに、「政策」――むすびつき、要求にもとづく活動の重要性を、とくに強調したいと思います。また「政策と計画」にもとづく支部活動の経験交流会を開催したり、ニュースで紹介したりするなど、お互いに学びあう活動などが大切になっています。これらの点がどうなっているか。

 いま一つは、指導体制の問題であります。補助指導機関や職場支部援助委員会の確立と、日常的な活動の定着という点でどうか。全国の経験をみますと、行政区を単位に補助指導機関をつくり、行政区での得票目標を明確にし、その地域ごとの要求を取り上げて活動しながら、支部への懇切な指導がゆきとどいているところで、前向きの大きな変化がおこっています。職場支部援助委員会も、せっかく確立した体制を、目先のあれこれの活動のために中断せずに、長期的視野と展望をもってうまずたゆまず系統的な活動をおこない、職場支部への指導を強化していく姿勢がたいへんに大切であります。非専従の同志、ベテランの同志を結集して、支部に懇切な指導がゆきとどく体制をつくり、系統的な活動にとりくんでいるか。これも討論で深めていただきたい問題です。

 以上、三つの問題提起をしましたが、どうやって前進から飛躍に転じるか。いま非常に大切な場面にきていると思います。それを実現するうえで、これらの諸点を討論で深め、実践をつうじて前向きの突破をはかることをよびかけるものです。

5中総決定の読了・徹底、綱領の読了について

 つぎに5中総決定の読了・徹底、綱領の読了について報告します。

 5中総決定の読了・徹底率は、全党的に41・5%、2県と42地区が過半数をこえました。支部討議は92・8%、全支部討議をおこなった組織が2県、71地区となっています。綱領読了率は39・9%となっています。

 中央決定の読了・徹底の到達は、12年ぶりの高い峰となっています。ここには、5中総決定そのもののもつ生命力とともに、中央決定徹底の新しい措置のもつ力がしめされています。

 もちろん、ここに甘んずるわけにはいきません。すべての党員の読了・徹底をめざし、一刻も早く過半数を突破し、過半数を突破したところではさらに高い峰をめざすように努力を強めたいと思います。

 読了・徹底が過半数を突破した石川県、奈良県の教訓から何を学ぶか。広井常幹が参加した座談会を「別刷り」に掲載しましたが、ここから教訓を読み取ってほしいと思います。両県とも、県・地区委員会が、参議院選挙の結果から、「党の実力をつける」こととともに、「持てる力が発揮できる党」に前進しなければならないことを痛切な教訓として引き出し、総選挙で勝利できる党をつくるという大きな志と構えをすえたことが前進の根本にあります。また、党機関で5中総を繰り返し議論し、綱領と決定の目で情勢をとらえ、決定の生命力を新鮮に語っていることも重要であります。

 5中総決定は、「綱領と情勢の響き合い」という情勢の大局的なとらえ方でも、参議院選挙の教訓を深く掘り下げ、それをふまえた政治・組織方針を提起したという点でも、総選挙までの基本方針を打ち出した重要な決定であります。これを身につけることなくして、総選挙はたたかえません。全党員の読了・徹底をめざすひきつづく努力を心から呼びかけるものであります。

この3月、4月を、選挙勝利をめざす活動の一大飛躍の月に

 報告の最後に、総選挙にのぞむ基本的構えについてのべます。

 解散・総選挙の時期は、現状では予断をもっていえる状況にありません。いつ解散となっても勝利をめざす構えを全党にしっかりとつくりあげながら、解散が延びた場合には、延びた分だけ選挙準備、党活動、党勢拡大をさらに発展させて選挙を迎えるという見地で奮闘することが大切です。5中総決定にもとづく活動は、全体としてそういう見地での活動を可能にする流れをつくりだしていると思います。

 とくにこの3月は、年度末という条件のもとで、党勢拡大で大きな前進をつくるためには、これまでの2倍、3倍という規模での運動がどうしても必要となります。3月に、選挙に勝つ根本の力――党勢拡大で大きな前進を必ずかちとりながら、4月、5月にさらに前進するという見地で大奮闘しようではありませんか。

 以上で、常任幹部会を代表しての報告とします。


志位委員長のまとめ

 みなさん、ご苦労さまでした。討論のまとめをおこないます。

 討論は、全体として、報告にかみあって、充実して、豊かで、明るいものでありました。いくつかの点をのべておきたいと思います。

「綱領と情勢の響き合い」という状況が、生き生きと交流された

 第一は、報告では、「綱領と情勢の響き合い」という状況が生まれているということをのべましたけれども、それが討論のなかでたいへん生き生きと交流されたということであります。

国民の切実な要求と、綱領の改革方針が、ぴったりかみあう

 いくつかの点を感じましたが、一つは、国民がいまいだいている切実な要求と、わが党が綱領に明記している改革の方針が、ぴったりかみあう状況が、いま生まれつつあるということが、討論でこもごも語られたということです。

 たとえば、わが党は、この間、派遣労働の問題を正面から取り上げて、これを日本社会の大問題だという提起をしてきたわけですけれども、この問題の解決の方途というのは、まさに綱領に明記されている「ルールある経済社会をつくる」、あるいは「大企業への民主的規制」という方向にほかなりません。まさに綱領がしめす日本経済の改革の中心問題のところで、国民との大きな響き合いという状況が生まれているのです。

 それから、海上自衛隊のイージス艦事件、沖縄の米海兵隊の許しがたい暴挙が起こるもとで、千葉の浮揚県委員長が発言していましたが、大阪在住の人から電話がかかってきて、「これまでは共産党の『軍事費削れ』などという主張はとんでもないことだと思っていたけれども、こんなことが起こってみると共産党のいっているとおりだ」という話がされたという報告もありました。

 軍事費削減という問題を正面から提起している党はわが党以外にありませんが、日本国民の命も安全も無視してはばからない事態が続けざまに起こると、やはりそこに当然目が向いてくるという状況がいまつくられつつある。これも綱領に明記している課題が、そのままそっくり現実の問題になっているということだと思います。これらは全党の確信にすべきことであります。

国民的共同の可能性をとらえて、広い団体・個人に大胆な働きかけを

 二つ目に、発言では、保守の方々、無党派の方々も含めて、要求にもとづく広い国民的共同の可能性が生まれている、そして現にその可能性をとらえて、候補者のみなさんを先頭に対話・懇談に踏み出して、いろいろな共同のとりくみが始まっているということが報告されました。

 医師会、農協、中小企業団体、商工会、高齢者団体、宗教者など、ほんとうに広い方々との対話・懇談が始まっている。これまでは共産党とはなかなか対話する機会がなかった団体も含めて、門戸を広げて迎え入れてくれて、話し合ってみれば意見がどこでも一致するということが報告されました。そういう条件をとらえて、これまで接触がなかった団体・個人もふくめて、広い方々への大胆な働きかけを、いまおおいにやるべきときだということを強調したいと思います。

 労働分野でも、愛知の岩中県委員長から、労働組合のナショナルセンターの違いをこえて大きな共同をつくる可能性があるという発言がされました。それもふくめて、国民的な共同を、さまざまな分野でつくりあげていく攻勢的なとりくみが大切だということを、強調したいと思います。

「二大政党づくり」の矛盾――地方ではより深刻な形であらわれている

 三つ目に、「二大政党づくり」の問題について、報告では、国政であらわれているこの動きの矛盾、問題点を明らかにしたわけですが、発言では、地方政治のなかでは矛盾がもっと深刻な形であらわれているということが報告されました。

 この間、大阪では、市長選、知事選とあいついでたたかわれましたが、自公と民主が「対決」を演じようとしてみても、政党が前面に出てたたかえない、政党の衰退がひどいということが報告されました。

 京都では、市長選挙がおこなわれ、広範な市民と日本共産党の共同と、「オール与党」勢力との対決の構図になったわけですが、ああいう結果になって、自民党からも、民主党からも、「事実上の敗北だ」という声が出されたとのことでした。

 「二大政党づくり」の動きというのは、これをあおり立てる勢力は強大な力を持っていますし、打ち破っていくことは大きな課題ですけれども、地方に行けば根をもたない、ますます矛盾は深刻になっているし、衰退や崩壊が起こっている面も見て、恐れず、正面から立ち向かい、打ち破っていく必要があります。

 情勢をめぐっては、どこからみても、いまわれわれが攻勢的に攻めに攻めて、また広く打って出て、広い国民と胸襟(きょうきん)を開いて話し合い、要求を実現し、支持を増やす条件と可能性が広がっていることが、討論をつうじても確認できたと思います。

総選挙勝利をめざす党の活動――討論で浮き彫りになった重視すべき点

 第二に、総選挙勝利をめざす党の活動について、討論で浮き彫りになった重視すべきいくつかの点について、のべたいと思います。

「大運動」――「集い」を地域とともに職場でも開き、経験の交流会をもとう

 一つは、「大運動」の威力がこもごも語られたことです。要求を入り口にして党が丸ごと理解される。「大運動」の「集い」をきっかけにして要求実現の運動が始まる。参加した党員がみんな元気になる。党員拡大、読者拡大をすすめる力になる。「集い」を開くことを通じて、支部が「政策と計画」を持った活動に足を踏み出すきっかけになっている。「大運動」が、くめども尽きぬ豊かな発展の可能性を持っているし、その威力が現に発揮されていることが報告されました。

 「集い」を地域とともに、職場でもどんどん開いていくことが、非常に大切になっています。そのさい、各地の経験を聞きますと、一つの職場支部で開く条件がない場合には、複数の支部の共催という形で工夫して開催しているところもあるようです。それから、党の後援会が主催して開くという場合もあるようです。それぞれの条件に応じて、いろいろな形態で、職場でも「大運動」と「集い」をどんどん広げていく。これをぜひ意識的に強めていきたいと思います。

 また、「大運動」を前進させるうえで、都道府県でも地区委員会でも、経験の交流会を開くことがたいへん大切だと思います。この活動というのは、ほんとうに豊かで多面的なものですから、交流会自体が推進の力になることは間違いありません。適切な時期に、中央としても、「大運動」の経験の交流会をもって、素晴らしい経験がたくさん生まれつつあると思いますので、それを全党の共通の財産として広げる仕事もやっていきたいと思います。

党勢拡大の前進のために――発言から学ぶべきいくつかの点

 二つ目に、党勢拡大の問題では、発言で大切だと感じた点がいくつかあります。

 一つは、長野の今井県委員長が紹介していましたが、諏訪・塩尻・木曽地区委員会が「大運動」でおおいに奮闘するとともに、党勢拡大について、地区の政治目標をみんなの合言葉になるようなスローガンにして、一貫して分厚い党づくりに挑戦していることです。「どんな風が吹いても、国政選挙で勝てる党へ 有権者比1%党員、5%読者、10%の後援会の分厚い党づくりへ」というスローガンです。

 どういう情勢が展開しても、どんな風が吹いても、選挙で必ず前進できる党をつくろうという大きな目標を、こういう形で具体的にスローガンにし、みんなのものにしてとりくむことは、党勢拡大を大きなロマンをもってとりくむうえでも、たいへんに大切なことだと思います。

 いま一つは、福岡の岡野県委員長からの発言です。「福岡県では、『党員も、日刊紙も、日曜版も、党費も』ということを合言葉に、この四つの課題のそれぞれの位置づけをはっきりさせて、それぞれの独自追求をやっている。それぞれ前進の軌道に乗ってきた。今度は飛躍だ」という発言でした。この見地はたいへんに大事です。報告でも強調したように、とくに日刊紙の読者を増やすことに弱点もあります。それから党費の後退傾向という問題もあります。ですから、福岡県のこのスローガンに全党が学んで、全党のスローガンにしていきたいと思います。

 それから、岡野県委員長の発言では、去年、福岡県では新入党員を379人迎えた、そのうち党費をきちんと納めている人がどれだけいるのか、5中総決定を読了・徹底した人がどれだけいるのか、日刊紙を購読している人がどれだけいるのか、支部会議に参加している人がどれだけいるのか――この四つの指標で、新入党員がきちんと党活動に参加し、元気にその初心を生かして活動できるようにするところまで見届ける努力をしているということが、報告されました。これもたいへん大切です。こういう努力が土台になってこそ、おおいに党員拡大に力を注ごうという意欲もわいてくるでしょう。

党機関の指導の改善・強化――補助指導機関をつくり、ふさわしい役割を

 三つ目に、いかにして全支部、全党員の運動にしていくかについて、報告では、三つの問題提起をいたしました。すべての支部が「政策と計画」をもって自覚的な活動をする。支部会議を軸にすべての党員が活動に参加する。そして党機関の指導の改善・強化という問題です。この問題について、とくに発言のなかで深められたのは、党機関の指導の改善・強化という問題でありました。

 党機関の指導姿勢という点で、報告では、「双方向、循環型」の指導の重要性について強調しましたが、討論のなかでもその重要性を裏づける発言がありました。

 千葉の浮揚県委員長からは、松戸・鎌ケ谷地区委員会での支部長会議の持ち方の改善が報告されました。この会議を思い切って支部の経験交流の場として位置づけて、報告は短くして、会議を楽しいものにすることを一貫して心がけてきた結果、参加が良くなってきた。会議の結果もニュースで詳しく紹介して、支部に配布するとたいへん喜ばれて読まれているという報告でした。現場から学び、それをお互いに交流するという活動の重要性を、この発言からも感じました。

 いま一つ、機関の指導体制という点では、報告では、補助指導機関、職場支部援助委員会の体制と活動の強化についてのべましたが、討論ではとくに、補助指導機関をしっかりつくり、この機関にふさわしい役割を果たしているところで、「支部が主役」の活動の前向きの変化が起こっているということが、こもごも語られました。

 大阪・河南地区、愛知・一宮・尾北地区、千葉・東葛地区、兵庫・東灘・灘・中央地区、長野・諏訪・塩尻・木曽地区などで、補助指導機関が力になっている経験が紹介されました。北海道では、補助指導機関をいま43の行政区でつくりつつあるということでした。北海道のとりくみで重要だと感じたのは、補助指導機関に参加するメンバーは、地区役員のだいたい2・3倍になるということです。つまり地区役員となると活動範囲がかなり広域になるので、そこまではできないけれど、自分の住んでいる行政区の補助指導機関のメンバーとして活動することならできるという人がたくさんいるという報告でした。こういう人をふくめて補助指導機関をつくりあげていくことは、党の現状にそくして潜在的な力を結集する大切なとりくみであります。

 補助指導機関の仕事として大切なのは、その行政区ごとの要求実現の推進役になるということです。ここが活動のなかでも一番大事なところであります。それが、「支部が主役」の活動を励ますことになります。そのことも発言のなかで語られました。

 行政区ごとの補助指導機関は、つくられているところはまだ少ないと思います。これを条件のあるところではおおいにつくることが、いまの党の実情に即した指導体制の強化の一つの要の問題になっていることが、討論をつうじて浮き彫りになったと思います。

若い世代のなかでの活動の思い切った強化を

 金子逸さん、増子典男さんから、若い世代のなかでの活動の思い切った強化という問題の強調を、ということがいわれました。

 若い世代のなかでの活動についていうと、働く若者の結集という点では、派遣問題でのわが党の提起が、大きな反響を呼んだことに示されているように、いちばん若者が苦しんでいる問題でわが党の果たすべき役割が非常に鮮明になってきたと思います。ここは思い切って非正規雇用の問題の解決のためのとりくみ、非正規雇用労働者の結集のためのとりくみを強化したいと思います。

 学生についていいますと、これは独自の対応と活動がどうしても必要になってきます。学生というのは、卒業・入学で毎年入れ替わりますから、1年でも対策が不十分になる年があると、あとあとまで空白になってしまうおそれがあります。何があっても新入生歓迎の時期には、それにふさわしいとりくみが必要だし、年間サイクルにそくした系統的なとりくみが必要です。

 学生の運動という点では、学費問題で新しい前向きの変化が起こっているということに、ぜひ注目していただきたいと思います。東京大学では、年収400万円以下の家庭の学生については、授業料を無償にするという画期的な学費軽減の方策が、学生のたたかいが広がるなかで勝ち取られました。これが反響を呼び全国の大学で運動がいま広がろうとしています。日本の学費というのは世界一の異常な高学費となっており、学生生活を苦しめ、学生の家庭の生活を圧迫する、たいへんな社会問題になっています。世界の流れは高等教育まで学費は無償化となっているのに、日本は「受益者負担」という考え方で世界一の高額にしてしまい、これは教育のあり方を根底からゆがめるという問題にもつながっています。この問題を解決していくことは、学生とその家族にとっても、日本社会の前途にとっても、たいへん重要な課題となっています。

 同時に、学生については、やはり知的目覚めにこたえた活動がたいへん大切です。学生のなかでも「綱領を語る集い」を、いろいろと工夫して、ぜひやっていきたいと思います。おおいに候補者が先頭にたって、大学に出かけていく必要があります。また民主的な教員の力も借りて、さまざまな形態で学ぶ活動をすすめていくことも大切であります。

3月、4月の活動にどういう構えでのぞむか

 最後に、3月、4月のとりくみの重要性について、重ねて訴えたいと思います。3月というのは年度末という特別の条件もあり、これまでの活動の延長線上では、前進はつくれません。活動の規模と速度を、2倍、3倍に引き上げる、まなじりを決した大奮闘がどうしても必要であります。そういう構えで、3月に必ず大きな前進をかちとる。そして4月にそれをさらにもう一つ大きく広げていく。そのことを強く呼びかけるものです。

 報告でのべたように、われわれはいついかなるときに解散・総選挙となっても、受けて立って勝利できるだけの構えをしっかり確立することが必要です。同時に、解散が延びたとしたら、延びただけ選挙準備もすすむ、党勢拡大もすすむ、さまざまな活動が豊かにすすんで、勝利の条件がますます広がるというような活動を心がけたいと思います。

 5中総の方針というのは、そういう形で活動が発展することも展望して、打ち出されています。とくに「大運動」を軸にすえた活動というのは、かりに解散・総選挙が延びたら、延びただけ広げに広げて、壮大な規模に発展させ、これを軸に選挙勝利の諸課題をさらに飛躍させていくという構えで、とりくむ必要があります。

 以上で討論のまとめとします。