2008年7月15日(火)「しんぶん赤旗」

第6回中央委員会総会

志位委員長の結語


 志位和夫委員長が十二日、第六回中央委員会総会でおこなった結語は次の通りです。


前進が豊かに交流され、明るい展望がみなぎった総会に

写真

(写真)結語を述べる志位和夫委員長=12日、党本部

 二日間の会議、ご苦労さまでした。幹部会を代表して、討論の結語をおこないます。

 討論では、四十五人の同志が発言しました。全体として、幹部会の提起が積極的に受けとめられ、五中総以来十カ月の全党の奮闘でつくられた前進が豊かに交流され、明るい確信がみなぎり、総選挙勝利への展望がつかめた総会になったと思います。

 とくに各県委員長のみなさんの発言を聞いておりますと、「大運動」にとりくむことを通じて、政治に強い党機関として成長しつつあるという党の姿が示された総会にもなったと思います。政治に強いというのは、その地方の政治に強いというだけではなくて、国政そのものにも強い、そういう党機関として大きく成長しつつある姿が示されました。

 全国でCS通信とビデオで視聴した同志は、昨日だけで一万人を超え、九百五十通の感想文が寄せられています。全国からも綱領と情勢との響きあいへの確信、ともに力を合わせて前進を切り開いてきた実践への確信、総選挙勝利への決意をこめた、きわめて強い積極的な歓迎の声が返ってきています。

 みなさんの奮闘によって、第六回中央委員会総会は、重要な成果をおさめたと確認できると思います。

 メディアの反応も、今日の報道を見ますと、全体として日本共産党が元気だということに注目した記事を掲載しています。「『蟹工船』追い風」、「共産党員『9000人増えた』」などといった記事が出ています。メディアから見ても、日本の政党が、自民、民主の「二大政党」だけではくくりきれない、日本共産党が存在感を発揮していることを無視できない、そういう状況が生まれていることの一つの反映があると思います。

「綱領と情勢の響きあい」――討論で深められた3つのこと

 幹部会報告では、綱領と情勢が響きあう新しい劇的な進展についてのべましたが、これは討論で豊かに深められました。いくつか重要だと感じた点についてのべます。

 一つは、幹部会報告で、綱領と情勢との響きあいという「前向きの変化は、自然に起こったものではなく、全党の攻勢的な奮闘によってつくられたもの」だとのべましたが、これが発言でも、全国からの感想でも、強い共感をもって受けとめられたということです。

 発言では、情勢の変化をつくりだした奮闘ぶりが生き生きと語られました。雇用、農業、漁業、医療、環境などについて、これまでになく広い人々との対話と共同がすすみ、全党が自らの体験と実感を通じて、「響きあい」をつかんでいることが語られました。

 二つ目に、発言を聞いてあらためて痛感したのは、国民の生活苦がほんとうに深刻になっている、そのもとで国民の苦難軽減のために献身するというわが党の立党の精神がこんなに求められているときはないということであります。多くの発言で、「党がいま求められている」、「党が頼りにされている」ということが言われました。そういう国民の声にこたえ、苦難軽減のために奮闘する、わが党の存在意義にたったとりくみが大切だということをあらためて強調したいのであります。

 ここから出発して、打開の方途を求めようとすれば、必ず綱領の立場に合流します。アメリカいいなり、財界中心という二つの政治悪にぶつかります。さらに、資本主義という「利潤第一主義」の体制そのものにぶつかってきます。そういうプロセスのなかで、まず資本主義の枠内での民主的改革をすすめ、さらに資本主義をのりこえた未来社会をめざす綱領の立場が、国民の願いと丸ごと共鳴してくる。出発点は、国民の苦難に寄り添うということにあり、そこから綱領と前途を語りあうということだと思います。

 三つ目に、私たちは、綱領と情勢との響きあいのプロセスを発展させる最良の運動形態を見いだしたということです。「綱領を語り、日本の前途を語り合う大運動」がそれであります。発言では、この運動がつくりだしている素晴らしい変化がこもごも語られました。各地でとりくまれている演説会、シンポジウムの成功も報告されました。とりわけ、その地域では初めて演説会にとりくみ、幅広い人々の参加を得て画期的な成功をおさめている経験が多く語られ、ここには広大な可能性が存在することが明らかになりました。

 文字どおりすべての支部で「大運動」にとりくみ、さらに全国約二千のすべての自治体・行政区で「集い」「演説会」にとりくみ、この運動を百万をこえる巨大な流れに発展させたいと思います。

「政治の中身の変革」を語る――「政権選択」論への最も攻勢的な批判

 幹部会報告は、総選挙勝利をめざす政治的構えとして、「総選挙で問われる焦点は、政権の担い手の選択ではなく、政治の中身の変革だ」と訴えました。発言でも、全国からの感想でも、この提起にたいして「歓迎だ!」、「これで攻勢的にたたかえる」などの声が、たくさん寄せられました。

 いま全国どこにいっても、自民党の支持基盤の激しい崩れがおこっています。そのなかで、発言でも報告されたように、これまでにない広い保守層との対話、共同が広がっています。そのなかで痛感するのは、そうした保守の方々が、どの問題でも打開策を真剣に求めているということです。渇望するように、農業はどうしたらいいのか、医療はどうしたらいいのか、その打開策を切実に求めています。それだけに、「政治の中身の変革」を語ってこそ、自民党を見放し、進路を模索している人たちの心をつかむことができます。

 民主党の関係でも、この構えが重要になってきます。民主党は、あらゆる問題で、「政権交代さえすればすべて解決する」という議論をします。テレビの討論会でも、議論につまってしまうと、「民主党に政権をまかせればすべてうまくやります」と、いうようなことをいいます。しかし、それを言えば言うほど、それでは政権を獲得したら何をどう変えるのか、その政治的中身がこれまで以上に問われてくることになります。ところが報告でのべたように、政治の中身をどう変えるのかをこの党は示すことはできない。この矛盾がいよいよ深まっているのが、民主党の現状なのであります。そこから「大連立」に走ったり、それが失敗すると審議拒否をやってみたりという、この党の混乱が生まれているわけです。ですから、民主党とのかかわりでも、政治の中身の変革を太く語り、それと一体に民主党の政治的問題点への批判をすすめてこそ、自公政治への怒りを強める人々の思いにこたえることができるということを強調したいと思います。

 総選挙にむけて、「自民か、民主か」の「政権選択」キャンペーンは激しくなるでしょうけれども、それを恐れないこと、攻勢的に正面突破の立場で立ち向かうことが重要です。「政治の中身」で勝負できるのは、日本共産党しかありません。最近、心ある経済界の方から、「いま自民、民主は『政局』しか語らない。政策と政治を語っているのは、共産党だけだ」という評価の声を聞きました。まさにそのとおりだと思います。

 「総選挙で問われる焦点は、政権の担い手の選択ではなく、政治の中身の変革だ」という訴えは、「自民か、民主か」というキャンペーンに対する最も攻勢的な批判であり、党の押し出しになるということを正面からつかんで、「二大政党づくり」の動きを今度こそ突破して、必ず前進をかちとろうではありませんか。

党勢拡大の運動――「この目標をやりきる条件はある」

 つぎに選挙で勝てる強く大きな党づくりについてのべます。幹部会報告で提起した総選挙勝利、党大会成功をめざす年内の党勢拡大の目標ととりくみは、たいへん積極的に受けとめられました。

 報告では、「この目標をやりきる条件はある」ということを強調しました。ここをつかんでこの仕事に元気いっぱいで取りかかりたいと思います。

 思い返してみますと、二〇〇四年一月の第二十三回党大会から七月の参議院選挙にかけて、党勢拡大の運動にとりくんだ経験を、私たちは持っています。あのとりくみというのは、直前の総選挙で後退するもとで、「この道しかない」と思いを定めてとりくんだ運動でした。このとりくみも党全体が参議院選挙をたたかう勇気をえて、一定の重要な成果をあげたとりくみとなりました。

 この時の運動と比較しても、今度の運動というのは、五中総以来の十カ月の全党の奮闘で、多面的な活動にとりくみ、党発展の豊かな条件を切りひらくもとで、前進から飛躍に転じようというものです。運動の流れからしても、飛躍をつくる条件を広げ、飛躍が求められる段階に入ってきている。ここに確信をもってがんばりたいと思います。

つっこんだ自己分析が、前進から飛躍への原動力となる

 ただ、同時に強調しておきたいのは、これをやりきるのは容易ならざる仕事だということです。従来の延長線上ではできないということです。つまり飛躍がいま必要だということです。そのためにはすぐれた経験に学ぶとともに、党機関での率直な自己分析、侃々諤々(かんかんがくがく)の議論も必要になると思います。

 幹部会報告では、石川県の教訓について紹介しましたが、今日の石川県の秋元委員長の発言を聞きますと、石川県でも前進の出発点になったのが結局は何かといえば、つっこんだ自己分析だったというのが印象的でした。二度にわたって北陸信越ブロックで衆議院の議席を得られなかった。石川県が足をひっぱる結果となった。このままでいいのかをつっこんで議論し、なんとしても強い党をつくろうと、機関と支部が腹を固めたところから、前進が始まったとのことでした。自己分析が前進への原動力となった。大きな力をひきだし、知恵をひきだした。これが語られました。

 その点では、討論で、多くの県委員長が、石川県の経験にてらして、自らの活動への率直な自己分析の発言をおこなったことは、たいへん重要だと思って聞きました。

 ある県委員長は、「石川の県委員長と比べてどこが違うか、いろいろ考えてみた。キャリアが違うわけでもない。結局、大きな党をつくりあげていく大志とロマン、執念の違いだ。ここを学んだ」とのべました。

 ある県委員長は、「石川と比べてみてどれも中途半端だった。最大の問題は開拓者精神が欠けていたことだ。それがどれだけ発揮できるかにかかっている」と発言しました。

 ある県委員長は、「結局は、決定をどれだけ正面から受けとめ、全面実践するか、その姿勢の違いだ」ということを、発言しました。

 こうした議論は、非常に大切だと思います。この目標をいかにしてやりきるか、その条件と可能性が大いにあるということを確信を持ってつかむとともに、自らの活動の弱点にも率直に目をむけて、それを大胆に打開するために、機関でつっこんだ議論をしながら、実践に踏み出していただきたい。それをすすめるうえで、党機関の長のイニシアチブは決定的です。それをしっかり果たして、この仕事をやりとげたいと思います。

最大の保障――すべての支部と党員の運動にしていくこと

 党勢拡大の目標をやりきっていく最大の保障となるのは、すべての支部・グループ、そして党員の運動にしていくことにあります。さらにこの運動を、後援会員、読者の力をかりてすすめることにあります。そのために、元気のでる政治指導、「大運動」のとりくみを通じて、支部と党員を元気にする指導に徹することの重要性が語られました。

 党員拡大では、機関がイニシアチブを発揮したとりくみも大切になってきますが、どんなとりくみをすすめるうえでも、「支部が主役」のとりくみにしていく。文字どおりすべての支部が新しい党員を迎える。そのさい、支部がもっているあらゆる結びつきに視野を広げ、知恵と力を結集する努力が必要になってきます。

 読者拡大では、全党的にみれば、毎月、過半数の支部が成果をあげれば、安定的に前進することができます。六割、七割、八割の支部が成果をあげれば、飛躍がおこります。ですから、全支部成果をあくまで追求しつつ、過半数の支部の運動、そして支部の大勢の運動にしていく努力に、うまずたゆまず力をそそぎたいと思います。

 そのさい、先進の果たす役割も重要です。前回総選挙時を上回るという目標を、突破する先進の支部、自治体、地区委員会を、つぎつぎつくりだして、全体を引っぱる役割を果たしてもらう。前回選挙時突破を果たしたら、つぎは三割増をめざして大いに奮闘してもらう。そういう先進的なとりくみをつくりだしながら、全党的な前進のうねりをつくりだしていくことが、大切であります。

 そして、すべての支部とともに、すべての党員が、この運動に参加するとりくみにしていくことに力をつくしたいと思います。党員のおかれた条件、得手にそくしたとりくみが大切ですが、直接には拡大がなかなかできない同志も、知り合いを紹介するなど、いろいろな参加の仕方はあると思います。そうした形もふくめて、そのおかれた条件にそくして、すべての党員が参加する運動にしていくことも、追求したいと思います。

 発言のなかで、雑誌普及の重要性についての訴えがありました。「綱領と情勢との響きあい」を深くつかむうえでも、科学的社会主義の理論そのものをつかむうえでも、雑誌の普及・購読は重要な意義をもちます。『前衛』、『月刊学習』、『女性のひろば』、『議会と自治体』、『経済』――党と新日本出版社の発行する雑誌普及も党勢拡大運動のなかに位置づけて、推進することを訴えるものです。

 総選挙勝利、党大会成功めざし、この七月から、党勢拡大の大きな高揚を必ずつくりだすために、「全国は一つ」で大奮闘しようではありませんか。

若い世代のなかでの活動――苦難に心を寄せることを原点にすえたとりくみを

 幹部会報告では、若い世代のなかでの活動、特に民青同盟への援助の抜本的強化について、新しい問題提起をいたしました。

 この提起に対しても全党から大きな歓迎の声が寄せられています。若い世代からは、党が若者と一緒にこの事業にとりくむことへの期待が寄せられています。かつて民青同盟でがんばっていた同志からは、「戦後、戦争への反省から平和を求め新しい日本をつくろうという若者のもえたぎるようなエネルギーを発揮した時代を思い起こします。『自己責任』においこまれ、展望の持てない現在の若者の現状を思うと胸が痛みます」と、新たな決意をつづった感想が寄せられています。年配の同志からは、「自分の息子や娘のことを考えても、さらに孫のことを考えても、若い人があんな苦境にあるのかと思うと、これは一刻の猶予も許されない、放置が許されない問題だ」として、ともにこの課題にとりくみたいという声が寄せられています。どれもうれしい反応であります。

 私は、この課題の位置づけについて、あらためてのべておきたいと思います。もちろん、この課題は、私たちの後継者をつくってゆくうえで重要な課題です。また直面する総選挙での勝利ということを展望しても、その力になることは疑いありません。しかし、そこから出発したら、端的にいって党の都合から出発したら、若者の気持ちをつかむことはできません。逆に信頼を失うことにもなりかねません。

 いま若い世代の中で、ほんとうに耐え難い生活苦が広がり、それが「自己責任」だと押し付けられ、少なくない若者が深い苦しみの中におかれている。未来をになうべき、希望にあふれているべき若者たちが、そういう状態におかれている。そんな状態を放置していいのか。そのときに日本共産党が、国民の苦難の軽減のために献身するという党の存在意義を、若い世代の中でも発揮するということを、原点にすえたとりくみが大切だということを強調したいと思います。

 幹部会報告では、若者がおかれた「二重の苦しみ」に心を寄せ、その悩みをとっくりと聞くことを出発点にしようということをのべました。くわえていえば、いま民青同盟でがんばっている若者たちも、同じような苦しみをもち、同時に、仲間とともにその苦しみをのりこえ、困難をのりこえて連帯をつくりながら、前進への方途を模索しているというのが現状だと思います。ですから民青同盟との関係でも、ぜひとっくりと現状を聞く、悩みを聞くというところから始めてほしいと思います。聞くこと自体が、私は、まず第一歩の援助になると思います。若い人々と気持ちが通いあう第一歩になると思います。そういう努力の積み重ねが、結果として私たちの事業の後継者をつくることになり、またそういう努力をすることが総選挙に勝つうえでも力になってくる、そういう関係だと思います。

 幹部会報告では、すべての党地区委員会が対応する民青同盟地区委員会を再建しようと呼びかけました。これも、いまのべたような悩みや苦しみ、願いに心を寄せるという姿勢抜きに、また民青同盟の側の自主的努力をよくつかまないままに、机の上で計画をたててすすめるということでは、成功しないばかりか、信頼を損なうことにもなりかねません。ぜひ、民青同盟の実情をつかみ、悩みと要望を聞くことから始め、その気持ちを大切にして、協力してこの事業を成功させたいと思います。

 そのさい、発言のなかでも出されましたが、全国の党地区委員会のなかには、その地区内に民青同盟班がないか、ごく少数しかないところも、少なくありません。そういったところでは、まず青年党員を獲得し、その成長をよく援助して、よく相談して民青同盟に加盟してもらい、民青同盟班を協力してつくる粘り強い努力が必要となってきます。

 この中央委員会総会が、若い世代の活動の強化でも画期的総会となったと振り返ってみて言えるように、おたがいに奮闘しようではありませんか。

中央委員会総会決定の徹底と、綱領学習について

 最後に、中央委員会総会決定の徹底の問題についてのべます。

 幹部会報告と結語が採択されましたら、この六中総決定の読了・徹底に力をそそぎたいと思います。そのさい、五中総決定でおこなったように、しかるべき責任のある同志がその中心点をよく説明し議論した場合は徹底とみなすという措置を取りたいと思います。同時に、五中総決定は総選挙の基本方針を明らかにしており、その読了・徹底は、引き続き進めるようにしたいと思います。ただ、そのやり方は、六中総決定の徹底を一刻も早く進めながら、それを進めるなかで五中総決定の中心点を語る、とくにその総選挙方針について説明するというとりくみが重要で、それをきちんとやって議論すれば六中総決定、五中総決定の徹底とみなすという考えで推進したいと思います。

 最後に、綱領学習を思い切って前進させることをよびかけたいと思います。綱領と情勢の響きあいという劇的な進展のなかで、どの問題にたいしても、意識的・自覚的に、綱領の目で見る。綱領の目で、世界と日本をつかむことを、党の日常の気風にし、つねに綱領がしめす壮大な展望のなかに、目の前のたたかいを位置づけて、党活動を発展させるようにしたいと思います。

 以上をもって討論の結語とします。ともにがんばりましょう。