2008年9月22日(月)「しんぶん赤旗」

日本共産党がのびれば政治は必ず変わる

志位委員長の訴え

東京・新宿


 日本共産党の志位和夫委員長が二十日、東京・新宿駅東口でおこなった街頭演説は次の通りです。

大企業中心、アメリカいいなり――
「二つの政治悪」を正面からただす

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(写真)訴える志位和夫委員長=20日、東京・新宿駅東口

 いよいよ待ちに待った総選挙が目前に迫ってまいりました。私は、今度の選挙は、がんばりぬけば日本共産党が前進、躍進できるチャンスの選挙だと考えています。

 九月七日、京都市南区で市議補選がありました。定数一を争う選挙で、自民党と共産党の一騎打ちのたたかいでしたが、後期高齢者医療制度が大争点となり、ふたを開けてみたら、びっくりする結果が出てきました。共産党候補が一万票以上を獲得し、自民党候補に二千票以上の差をつける圧勝となりました。(拍手)

 私たちは、九月十二日から全国遊説を開始していますが、どこでも盛況です。自民党の総裁選の方はしぼむ一方ですが(笑い)、私たちの方はたいへんな盛り上がりであります。(拍手)

 ただ、みなさん、選挙は風頼みでは勝てません。私たちは、自ら風を起こし、チャンスを勝利という結果に必ずつなげるためにがんばりぬきますので、どうか絶大なご支持を共産党にお寄せください。よろしくお願いいたします。(拍手)

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(写真)志位和夫委員長の訴えを聞く人たち=20日、東京・新宿駅東口

 いま、国民のみなさんが解決を願っているどんな問題も、根っこをたどると、あまりにひどい大企業中心、異常なアメリカいいなりという「二つの政治悪」にぶつかるのではないでしょうか。この「二つの政治悪」を正面からただし、政治の中身を大もとから変える、この立場に立ってこそ国民の願いが実現し、国民の利益にかなった新しい日本をつくれます。このことを正面から掲げて、共産党は今度の選挙で躍進をめざしたい。この決意を申し上げるものです。(拍手)

暮らし不在の自民党総裁選――
汚染米でも根本にある自民党農政を問う議論なし

 まず暮らしの問題です。

 いま、自民党の総裁選挙をやっていますが、一言でいってあまりに暮らし不在だと思います。国民の暮らしの不安、苦しみに正面から向き合い、具体的にどう打開していくのかのまじめな議論がまったく見られない。

 たとえばいま汚染米――農薬やカビ毒で汚染された米が、給食や焼酎やお菓子に使われていたということが大問題になっています。もちろん、悪徳企業の責任は重大ですし、汚染米とわかっていながら流通に回していた農水省の責任も重大で、大臣の首をすげかえたくらいですむ問題ではありません。(「そうだ」の声、拍手)

 ただ、この問題は、もっと根本を見ますと、自民党の農政そのものに二重の重大な責任があると、私は言いたいのです。

 第一に、年間七十七万トンものお米をミニマムアクセス米=輸入米として日本に入れている。国民のみなさんが必要でもないお米を毎年輸入している。汚染米も八割は輸入米でした。みなさん、日本の国民の主食を輸入に頼るというのは根本から間違っているのではないでしょうか。(「そうだ」の声、拍手)

 第二に、「小泉改革」の農業版――二〇〇四年に実施された「コメ改革」というのがある。この時にお米を扱う業者の許認可制をいっさい取り払って、届け出さえすればだれでも米売買に参入できるようにしてしまった。国が米流通の管理責任を完全に放棄してしまった。この規制緩和をやったことが、悪質な業者の横行につながり、こういう問題が起こっても、いったいどこに汚染米がいっているのか、つかむことすらできない政治の体たらくを招いてしまっているのです。

 こうした問題を大もとから解決しようと思ったら、必要のないミニマムアクセス米の「義務」的輸入は中止すべきです(拍手)。お米の流通の管理責任を国はしっかり果たすべきです(「そうだ」の声、拍手)。そして、「安全な食料は日本の大地から」――食料自給率の向上のためのとりくみを、国は本腰を入れてやるべきだということを強く訴えたいと思います。(拍手)

人間らしい労働のルールを――
労働者とともに「潮目の変化」をつくった共産党

 自民党は、暮らしについて語る中身を失ってしまった。でも、国民の側からすれば、大争点はたくさんあります。

 たとえば働く貧困層の問題です。「ワーキングプア」と呼ばれる、懸命に働いても貧困から抜け出せない、そういう人が数百万人という規模で広がっています。その原因は、人間らしい労働のルールを壊してきたことにあります。共産党は、その一番の象徴となっている派遣労働の問題に力を入れてとりくんできました。

 いま派遣労働者は、三百二十一万人まで広がっていますが、その七割は登録型派遣といって、派遣会社に登録だけしておいて、仕事があるときだけ雇用される、明日の仕事があるかどうかわからない、究極の不安定雇用を強いられています。派遣会社にマージンとして三割、四割ともっていかれますから、必死に働いても手取りは十万円そこそこです。

 今日は製造現場、明日は物流倉庫と使い回しされるもとで、労働災害が後を絶ちません。「倉庫作業だと言われて行ってみたら冷凍庫だった。零下二五度の世界で一日働いたら両手とも凍傷になってしまった」ということも訴えられました。私はその若者に、真っ赤になった手を見せてもらいました。「まだひきつって物もつかめない」という訴えです。昨年一年間だけで、派遣労働者で労働災害で亡くなった方は三十六人に達しています。若者を、人間をモノのように「使い捨て」にする、こんなやり方には未来はないということを私は訴えたいのです。(拍手)

 私が、わけても許すわけにいかないのは、キヤノン、トヨタ、松下といった世界的大企業といわれる企業が、正社員を減らし、非正規雇用を増やし、そのことで大もうけをあげていることです。

 私は、二月の予算委員会の質問で、キヤノンの派遣労働の実態を告発し、六月には滋賀県長浜の工場に調査に行きました。派遣労働者として働いていた若者は、私にこう訴えました。「私たちは、二重の搾取を受けている。まずマージンをピンはねされている。それにくわえて寮に住まわされて、寮費、電気代、水道代、テレビ代、布団代、冷蔵庫代、給料から引かれて手取りは十万円以下です」

 私は、寮というところに行ってみました。一つの部屋を、ぺらぺらの壁で三つに区切って、一人当たりの部屋はたったの三畳です。小さな小窓がついている、まるで刑務所の独房ですよ。寮の入り口にあるコンビニを経営しているのも派遣会社です。ひどい高い値段で売りつけている。

 巨大企業が、こうやって生きている人間を搾れるだけ搾って、モノのように「使い捨て」にする、こんな働かせ方は絶対に放置するわけにはいかないと思うのであります。(「その通り」の声、大きな拍手)

 この問題では「潮目の変化」が起こってきました。全国各地で労働者が違法・無法な実態を告発し、たたかいに立ち上がっています。いま小林多喜二が七十九年前に書いた『蟹工船』が大ブームですね。あの小説には、戦前のカムチャツカで操業する蟹工船のなかでの奴隷労働が描かれていますが、最後の場面は、労働者がそれに抗してストライキで立ち上がる、軍隊が出てきて弾圧する、しかし最後の言葉は、「彼等は、立ち上がった。――もう一度!」という希望ある言葉で結ばれています。それを若者たちが読んで、連帯して立ち上がろうとしている。ここに私は、日本の未来があると考えるものであります。(拍手)

 こういう流れのなかで、日本共産党も、この問題にとりくみ、国会で大いに追及してきました。そういう力があわさって、これまで規制緩和一辺倒だった労働法制が規制強化の方向に、潮目が変わりつつあるではありませんか(拍手)。与野党を超えて派遣法の改正が必要だという議論が出てきました。

 キヤノンに調査にいったさいには、キヤノン本社から諸江(昭彦)さんという専務が出てきて二時間半ほどきびしいやりとりになりました。キヤノンの側は「年内に製造派遣は解消する」という約束をせざるをえませんでした(拍手)。ただし、こんどは期間工や請負という、これも「使い捨て」の労働に置き換えるということですから、問題は解決していません。期間工の労働者は、時給制ですから、盆と暮れになると工場が休みになって、手取りがうんと減ってしまうという問題もある。正社員ならボーナスがある月に手取りが減る。これはなんともひどい。私は、こういう話をきいて、諸江専務にこの問題をつきつけたら「検討する」と約束しました。私がキヤノンに調査に入って、十日後、盆と暮れに休業手当が、四万円ですが支給されることが決まったということもご報告しておきたいと思います。(拍手)

 労働者と共産党のたたかいが政治を前に動かし、巨大企業も動かしつつある、このことに大いに自信を持って、つぎのたたかいにのぞみたいと決意しています。(「がんばろう」の声、拍手)

 どうしてここまで、「使い捨て」労働が広がったか。一九九九年に、それまで派遣労働は専門業務に限られていたものを原則自由化にしてしまった、この派遣法大改悪が大きなきっかけとなりました。このときに、そのたくらみを見抜いて反対を貫いたのは日本共産党だけでした。(拍手)

 このときは共産党だけだったけれど、いまやその声は多数の声となって、一九九九年の原則自由化は大間違いだったということが、これだけはっきりしたんですから、九九年の前にもどす派遣法の抜本改正が必要です(拍手)。そして、派遣であれ、請負であれ、契約社員であれ、人間をモノのように「使い捨て」にする非正規雇用から正社員への転換こそ必要であります(拍手)。さらに正社員のみなさんの長時間過密労働、「サービス残業」をなくせということも訴えたい。どうか人間らしい労働のルールをつくろうという願いを、日本共産党に託してください。(大きな拍手)

後期高齢者医療制度――
最初から一貫して反対貫いた共産党をのばして撤廃を

 社会保障の問題はどうでしょう。後期高齢者医療制度への国民の怒りはつのる一方です。こともあろうに、終戦記念日の八月十五日に、三回目の年金からの天引きがおこなわれました。四回目は十月十五日。今度は、これまで天引きされてこなかった「後期高齢者」の方から新たに三百二十五万人が天引き。さらに六十五歳から七十四歳までの「前期高齢者」の国保料も天引きになる。こちらは約三百万人。あわせて新たに六百二十五万人の天引きが始まる。これまでやられてきた方とあわせて、千五百万人もの天引きが予定されています。「10・15ショック」が日本列島を襲うことになります(「絶対に許せないぞ」の声)。本当にそうですね。(拍手)

 私は、先日、東京・豊島区の「巣鴨地蔵通り商店街」で訴える機会がありました。私の訴えが終わりましたら、八十二歳のおじいちゃんが、「わしにも訴えさせてくれ」と、マイクを握られたんですよ。「私は特攻隊の生き残りです。戦後まじめに働き、一月も欠かさず年金を納めてきた。ところがこの年金通知書を見てくれ。介護保険料が引かれ、後期高齢者医療の保険料が引かれる。戦火を生き抜き、復興を支えてきた私たちに、早く死ねと言わんばかりのこの仕打ち。我慢ができない」

 みなさん、この制度の一番ひどいのは、生きている人間を七十五歳で線引きする。七十五歳というお年を重ねただけで、これまで入っていた国保や健保から追い出して、別枠の医療制度に囲い込む。保険料は天引きで二年ごとに上がっていく。長寿の人が増えるほど上がっていくのです。そして診療報酬はどんどん下がっていく。まず高血圧や糖尿病の治療や検査が抑えられるという事態が始まっています。

 お年寄りを年齢で差別するような、こんな制度を導入している国が世界にありますか。日本だけですよ。「恥を知れ、自公政権」と、私は言いたい(「そうだ」の声、大きな拍手)。お年を召したら、みんなでお祝いして、医療費は無料にしましょうというのが真っ当な政治のあり方だと私は訴えたいのであります。(拍手)

 この問題の出発点は、二〇〇〇年十一月の健保法改悪のさい、「付帯決議」というのがやられた。この「付帯決議」には、高齢者の医療を別建てにする、診療報酬をきりさげるという二つのことが入っている。いまの後期高齢者医療制度の原型が打ち出されたのです。これは差別医療になると見抜いて、きっぱりと反対を貫いたのは日本共産党だけでした(拍手)。しかし、最初は共産党だけだったけれど、いまでは国民多数の声になって、とうとう参議院では撤廃法案が可決されたではありませんか。(拍手)

 そして、今日、舛添(要一)厚生労働大臣は、「後期高齢者医療制度に代えて、新制度の創設について検討する」という発言をした。これはこの制度を推進した当人が、自ら制度の破たんを認めたものではありませんか。(大きな拍手)

 国民の世論がここまで政府を追い詰めてきたわけですから、総選挙で決着をつけようではありませんか(拍手)。共産党をのばして、希代の高齢者差別制度はきれいさっぱり撤廃させようではありませんか。(大きな拍手)

むだにメス、大企業に応分の負担――
消費税に頼らなくても財源はつくれる

 それでは社会保障の財源をどうするか。財源というと、消費税のことしか思いつかない議論が多い。しかし、これほど間違った議論はありません。

 自民党の総裁選挙を聞いていましても、どの候補も「すぐに上げる」とは恐ろしくて言えませんけれど、「いずれは消費税を上げる」と、みんな言っているでしょう。

 民主党はどうか。民主党も、日本経団連との「政策を語る会」のなかで、「消費税の税率はいずれ上げることが必要だ」ということを言っています。財界には本音を言い、約束しているのが民主党です。

 みなさん、しかし消費税というのは、所得の少ない方に重くのしかかる、最悪の“福祉破壊税”ではないでしょうか(「そうだ」の声、拍手)。そして、この消費税を大企業は一円も払っていません。すべて価格に転嫁して腹が痛まない。払っているのは、転嫁しきれずに身銭を切って苦しんでいる中小業者のみなさんと、転嫁しようにもしようがない消費者のみなさんです。だから消費税という税金は、最悪の不公平税制だということもいわなくてはなりません。(拍手)

 これを社会保障の財源にするなどというのは、邪道中の邪道です。共産党は、消費税増税は絶対反対、そして食料品は非課税にということを訴えて、この総選挙をたたかい抜きたいと思います。(拍手)

 それでは、財源をどうするのか。

 第一に、あらゆるムダづかいにメスを入れます。最大、最悪のムダづかいは、年間五兆円におよぶ軍事費ではないでしょうか(「そうだ」の声、拍手)。なかでも、条約上出す義務のない米軍への「思いやり予算」に、年間二千五百億円も注ぎ込んでいる。ところが、社会保障の費用は、(自然増から)毎年二千二百億円ずつ削っているでしょう。社会保障費を削って米軍に貢ぐというのは、「思いやる」方向を百八十度間違っています。(「そうだ」の声、拍手)

 それから、イラクとアフガニスタンでの米軍の戦争の応援のために自衛隊を派兵しています。アフガンで罪のない女性や子どもやお年寄りを空爆で殺している米軍の活動のために、油をただでくれてやっている。これら戦争支援にこれまで千五百億円ものお金を使っている。米軍の戦争のためにくれてやる油代があるのだったら、燃油高騰に苦しむ漁業者、農業者、中小企業の補てんにこそ使えと訴えたい。(拍手、「その通り」の声)

 さらに、政党助成金です。年間三百二十億円。共産党以外の各党が分け取りしています。この前、各党の政治資金報告が報道されましたが、自民党は収入の65・6%、民主党は84・2%が政党助成金です。こんな税金頼みの政党になっている。「官から民へ」といいながら、自分たちは「国営政党」になっているということを、恥ずかしく思わないのかと私は言いたいのであります。(「そうだ」の声、拍手)

 南アメリカのボリビアという国に、左翼政権ができました。ここでは政党助成金をなくして、障害者福祉に使うための法律を通したというんですね(「ほー」の声)。日本でも、これをやらせようではありませんか(「そうだ」の声、拍手)。私たちは、厚生労働省に、障害者福祉の「応益負担」を撤廃するのにいくらかかるのか、資料を求めました。出してきた数字を見たら、三百二十億円(「おおー」の声)。額がぴったり一致ですね(笑い)。政党助成金をなくして、障害者福祉にあてようということを、私は訴えたいと思います。(拍手)

 第二は、大企業や大資産家など、一番もうかっているところに、もうけ相応の負担を求めるということです。

 いまの大企業のもうけはすごいですよ。大企業の利益は、一九九〇年度には十九兆円だったのが、二〇〇六年度には三十三兆円(「ほー」の声)。あのバブルの絶頂期の一・七倍の利益をあげている。ところが税金は、大企業減税をやってきましたから、横ばいなのです。トヨタは、ほぼ同じ時期に、もうけは二・二倍、世界一の自動車企業になった。ところが税金は逆に八割に減っている。数々の優遇措置を受けてきた結果です。大銀行の大手十三社の年間の所得は二兆九千二百十八億円。ところが払っている税金は、いろいろな減税の仕掛けで、たったの千百六十九億円。税率4%ですよ。消費税より税率が低いのです。(どよめき)

 大企業、トヨタ、大銀行は、もうけにふさわしい負担をするのは当たり前だ、それが企業の社会的責任だということを、私は言いたい(「そうだ」の声、拍手)。ゆきすぎた大企業・大資産家減税を元にもどせば、財源は七兆円くらい出てきます。これを福祉にあてようではないかというのが私たちの考えです。

 あらゆるムダづかいにメスを入れる、大企業・大資産家に応分の負担をさせる。この二つをやれば、消費税に頼らなくとも安心できる社会保障は築ける。これが日本共産党の提案であります。(拍手)

 これは当たり前の改革ですが、やれるのはどの党でしょうか。財界献金をもらっている党ではできませんね(「その通り」の声)。自民党と民主党は、日本経団連に政策の「通信簿」をつけてもらっています。この「通信簿」の成績にそって、企業献金のあっせんをしてもらっています。こういう党では、トヨタやキヤノンに「税金払え」とは言えませんね。(「そうだ」の声、拍手)

 みなさん、日本共産党は党をつくって八十六年になりますが、財界献金をびた一文受け取ってこなかった清潔な党です(拍手)。この党でこそ、大企業の横暴勝手に堂々とものを言うことができる。みなさんの暮らしの一番の守り手になる。どうかこの党をのばしてください。(大きな拍手)

アメリカいいなり転換へ――
安保をなくし、ほんとうに独立国といえる日本を

 こんなアメリカいいなりの政治でいいのかということも、総選挙で問われる大問題です。

 自公政権は、イラクからの自衛隊の撤収は決めました。政策が破たんした結果です。しかし、アフガニスタンで戦争をやっている米軍を応援する海上自衛隊の給油活動はやめようとしない。民主党は、「海上に出すのはだめだけど、アフガンの陸上に部隊を出すんだったら結構だ」、こういう提案をしています。

 しかし、戦争でテロはなくなったか。これを見る必要があるのではないでしょうか。

 この八月一日に、アフガニスタンで活動している国内外の百のNGOでつくるACBARという組織が声明を出しました。この声明は、治安が最悪になっている、多くの民間人が米軍などの軍事行動で命を奪われているとして、最後にこうのべています。「紛争を軍事的手段で終わらせることはできない。民生支援と政治的な和平のプロセスこそ必要だ」(拍手)。私は、ブッシュ大統領と自公政権に、現地で一番苦労している、このNGOの声を聞けと言いたい。(「そうだ」の声、拍手)

 世界の動きは、どうなっているでしょうか。東南アジアの諸国中心にTAC――東南アジア友好協力条約というのが広がっています。この条約には、すでにユーラシア大陸を覆う二十五カ国が加入し、人口でいえば地球人口の57%が加入している。TACの根本精神は、「紛争の平和解決」「戦争放棄」です。この世界から、紛争をなくすことはできないかもしれない。しかし、紛争を戦争にしない、そのことは人類の英知でできる。この流れが、世界を覆って広がっているのは、二十一世紀の希望ではないでしょうか。(拍手)

 そして、「紛争の平和解決」と「戦争の放棄」を世界で最も先駆的に掲げたのは、わが日本国憲法九条ではないでしょうか。(「そうだ」の声、大きな拍手)

 みなさん、あまりに異常なアメリカいいなり政治をただしましょう。世界に誇る憲法九条を守り抜こうという願いは、党をつくって八十六年、『蟹工船』の時代から、反戦平和を貫いてきた日本共産党に託してください。(拍手)

 そして、日米安保条約をなくし、基地のない日本、本当に独立国といえる日本をみんなの手でつくりあげましょう。私たちは日米安保条約に代えて、日米友好条約をむすぶことを提案しています。そういう平和日本にむけて、大きくかじを切り替える選挙にしていこうではありませんか。(歓声、大きな拍手)

はじめは少数の声が、国民多数の声となり、政治を動かす力となっている

 私は、先の日曜日に、フジテレビの「報道2001」という番組に出演する機会がありました。そこで「つぎの首相はどちらがいいか、麻生さんか小沢さんか」という世論調査の結果をしめされ、「志位さん、これをどう思いますか」と聞かれました。

 同じ番組で紹介された街の人々の声のなかで、「もう自民党はだめだ。しかし、民主党もだめだ」という声があったんです。私は、この声を引いて、「最近この声をよく聞くんですよ」と言いました(拍手)。そして「政治の中身を変えないで、政権の担い手だけ代えても、日本の明日は良くならない」とのべました。

 みなさん、昨年、「大連立」騒動というのがあったでしょう。福田首相と小沢代表が密室で会って、いったんは自民・民主で「連立政権」をつくろうという合意をした。総理大臣は福田さん、副総理は小沢さんでいこうじゃないか、そこまで話をつけていた。これはうまくすすみませんでしたが、ともかくいったんではあれ、そういう合意が結べるというのは、この両党の間に、政治の中身のうえで、違いがないということを、自ら証明するものではないでしょうか。(拍手)

 私は言いたい。政治の中身を変えずに、政権の担い手だけを代えても、国民が希望が持てる明るい日本への道は開かれません。(拍手)

 今度の選挙で日本共産党がのびれば、政治は必ず変わります。今日お話しした派遣労働の問題でも、後期高齢者医療制度の問題でも、はじめは共産党の主張は孤立しているように見えたけれど、やがてそれは、国民のみなさんの声と響きあって、多数の声となったではありませんか(拍手)。そしていまや政治を動かす力になっているではありませんか。(大きな拍手)

 共産党は現在、衆議院で九議席、参議院で七議席ですけれど、その議席でもこれだけの仕事ができました。総選挙でうんとのばしていただいたら、もっと国民のお役に立って、国政をリードする働きができることは間違いありません。(拍手)

 みなさん、財界・アメリカ中心から、「国民が主人公」に、政治の中身を大もとから変える日本共産党をのばして、国民のすべてが――若者も、お年寄りも、女性も、男性も、みんなが安心して暮らせる日本、未来に希望が持てる日本をつくろうではありませんか。(「よし」「そうだ」の声、大きな拍手)