2008年10月3日(金)「しんぶん赤旗」

暮らしと平和脅かす政治

根っこから正し 新しい日本を

「国民が主人公」への改革示す

衆院本会議 志位委員長が代表質問


 日本共産党の志位和夫委員長は二日、衆院本会議で、麻生太郎首相の所信表明演説に対する代表質問を行いました。自民、民主両党が互いに総選挙を意識した異例の非難合戦を行うなか、志位氏は国民の不安と苦しみに寄り添い、暮らしと平和について首相の基本姿勢を正面から追及。「国民が主人公」の日本への根本的転換の道を指し示しました。(全文


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(写真)代表質問する志位和夫委員長=2日、衆院本会議

 志位氏は、国民が切実な解決を求める暮らしの問題について四つの角度から切り込みました。

働く貧困層

 「働く貧困層」の問題では、トヨタなど日本を代表する大企業が大量の派遣社員を突然、雇い止めにしたり、労働局も違法と認定する偽装請負を告発した労働者の職を一方的に奪っている実態を具体的に告発。生きている人間を「調整弁」のように使い捨てる大企業のやり方に対し、「政治が無力であってよいのか」と迫りました。首相は「大企業を含め派遣先に就業機会の確保を指導する」などと答えました。

後期医療制度

 後期高齢者医療制度の問題では、「国民が納得できない原因がどこにあると認識しているのか」と追及。国民の怒りが差別医療という制度の根幹に向けられていることをあげ、「小手先の取り繕いで解消できるものではない」とただしましたが、首相は「制度をなくしても問題は解決しない」と強弁しました。志位氏が年間二千二百億円の社会保障費削減路線の中止を迫ったのに対しても、首相は「(来年度予算でも)自然増を抑制する」と従来路線に固執する姿勢に終始しました。

社会保障財源

 志位氏は、社会保障の財源に関して、首相が消費税増税を明言していることを「福祉破壊税を社会保障の財源とするのは邪道中の邪道だ」と批判。五兆円の軍事費やゆきすぎた大企業・大資産家減税など二つの「聖域」にメスを入れれば「消費税に頼らなくても安心できる社会保障は築ける」と提案しました。

 しかし首相は、「社会保障制度を持続可能にするため消費税は重要」などと述べ、軍事費、政党助成金も「不可欠の経費だ」と削減を拒否しました。

食料と農業

 食料と農業の問題で、志位氏は自給率向上のため、(1)農産物の価格保障・農家の所得補償(2)歯止めのない輸入自由化のストップ―を強く求めました。しかし首相は「(所得補償は)食管法の時代に逆もどりさせる」などと主張。輸入規制については、まともに答弁できませんでした。

 志位氏は、これら四つの根本問題をただしたうえで、「外需頼み、内需ないがしろ」の異常な日本経済のぜい弱体質を根本から治す改革を提示。「外需頼みから内需主導に、大企業から家計に経済政策の軸足を転換させる改革こそ日本経済の健全な発展の大道だ」と力を込めました。

米国いいなり

 アメリカいいなりの政治では、インド洋への自衛隊派兵継続に固執する政府を「戦争でテロはなくせたのか」と追及し、速やかな撤退を要求。核事故が後を絶たない原子力空母の横須賀港配備への抗議を表明し、「未来永劫(えいごう)、基地との『共存』は当然だというのか」とただしました。

 首相は、「補給支援活動の継続は必要」「在日米軍再編は着実に進める」などと開き直りました。

 志位氏は質問の最後に、国民に不安と苦しみをもたらす根っこには、異常な大企業中心・アメリカいいなりという「二つの政治悪」があると強調。「日本共産党は、『二つの政治悪』を正面からただし、憲法を生かした『国民が主人公』の希望ある新しい日本への道を開くために全力をつくす」と決意を表明しました。

「国民主権」いいつつ「憲政の継続」

首相

 志位委員長は代表質問で、麻生首相が所信表明で自らの就任を戦前・戦後の「統治の伝統」に結びつけたことについて、「日本の統治原理が戦前の天皇主権から戦後の日本国憲法にもとづく国民主権へと百八十度転換したという歴史認識をもっていないのか」と追及しました。

 首相は「国民主権に転換したことは、私も十分に認識している」と答えました。同時に「憲政にもとづく総理大臣の任命が一世紀を超えて続いているという伝統、その集積と重みを申し述べたかった」などと答弁。再び憲政の「継続」を持ち出して、時代錯誤的な認識を示しました。