2009年3月15日(日)「しんぶん赤旗」

ソマリア沖派兵に抗議

志位委員長会見で表明


 日本共産党の志位和夫委員長は十四日、遊説に先立ち訪れた仙台市で記者会見し、政府が前日、自衛隊をソマリア沖に派兵するため、現行自衛隊法にもとづく海上警備行動の発令を決め、さらに派兵新法案も国会提出したこと、十四日には実際に海自護衛艦二隻が出航したことに党として厳しく抗議するとともに、新法成立を許さない決意を表明しました。発言の内容は次の通りです。

 一、麻生政権は、ソマリア沖に海上自衛隊の護衛艦の派遣を強行した。現行自衛隊法にもとづく海上警備行動というが、これは日本近海を想定してのものであり、これを根拠に世界のどこにでも自衛隊を派兵するなど、とうてい合理化しえないものだ。現実の銃撃戦に直面する危険の大きい派兵を、こんななし崩しのやり方ですすめたことに、わが党は厳しく抗議する。

 一、政府は、なし崩しに派兵の既成事実を先行させながら、「海賊対策」名目の新法案を強行させようとしている。この法案は、現行法が「日本関係船舶」に限定している保護対象をすべての船舶に広げるとともに、武器使用基準を拡大して、これまで基本的に「生命・身体の保護」のために限っていた武器使用を、「任務遂行のため」にも拡大している。「任務遂行」のための武器使用は、「憲法九条の禁ずる武力行使に該当することがないとはいいきれない」としてきた従来の政府見解に照らしても絶対に許されない。

 新法案は、自民、民主がめざす、海外派兵の恒久法への突破口としても、きわめて危険な意味をもつものである。わが党は、新法案に強く反対するとともに、廃案に追い込むために国民とともに全力をあげる。

 一、そもそも海賊とは、犯罪行為であり、その取り締まりは警察力によるべきものである。日本は海外派兵ではなく、周辺国の沿岸警備強化のために、財政的・技術的な支援をおこなうことこそ必要だし、周辺国からも求められていることである。

 問題の根本的解決のためには、ソマリアの内戦終結をはじめ、崩壊したソマリア国家とこの地域を政治的、経済的に安定させるための国際的な協力が不可欠であり、日本はそれを促進する外交努力こそはかるべきである。