2009年4月17日(金)「しんぶん赤旗」

海賊派兵法案

二重の危険に踏み込む

志位委員長会見 廃案を求める


 日本共産党の志位和夫委員長は十六日の記者会見で、「海賊対処」派兵新法案について、「二重に危険な道に踏み込むものだ」と述べ、法案の廃案とソマリア沖からの自衛隊撤退を強く求めました。


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(写真)記者会見する志位和夫委員長=16日、国会内

 第一の危険は、「法案がソマリア沖で起きている海賊問題の正しい解決にならない」ということです。志位氏は、ソマリア沖で海賊につかまったアメリカ人船長を奪還する際、米軍特殊部隊が海賊三人を射殺し、それに対し報復声明が出されたことを指摘。「警察力で解決すべき問題に軍隊が出てきたために、危険な軍事的な報復の連鎖、悪循環が起こっている。自衛隊の艦船がそこに行けば、日本も悪循環に巻き込まれることになる」と警告しました。

 その上で志位氏は「ソマリアの周辺国イエメンなどが共同して行っている警察行動に対する財政的・技術的支援が求められており、日本の援助はそれに限定すべきだ」と発言しました。

 さらに、ソマリアに事実上政府がない状態になっていることが海賊問題の根本にあるとして、「根本に対する処方せんを抜きに対症療法をしても問題は解決しない。国際社会がソマリアに民生支援を行い、安心して暮らせる国にすることに力を注ぐべきだ。九条をもつ国として、日本はそのような外交努力にこそ力をつくすべきだ」と強調しました。

 第二の危険は、「違憲性が高いと禁止されてきた自衛隊の『任務遂行のための武器使用』を許してしまう」ことです。

 志位氏は「自衛隊の武器使用は、これまでは『緊急避難・正当防衛』でしかできなかった。海賊行為という犯罪行為への対応で、『任務遂行のための武器使用』を許してしまうと、武力紛争への対応でも同じ事態がつくられる。それが海外での本格的な武力の行使に道を開くことになる。非常に危険な動きだ」と指摘。「憲法九条のもとで戦後一人も殺し殺されなかった自衛隊が、ソマリアの問題で、初めての死者を出す危険がある」と述べました。

 志位氏は民主党の修正案について、「民主党案は、自衛隊を派遣するという点でも、武器使用の緩和という点でも基本のところで政府案と何ら違いがない。政府案は修正などの対象ではなく、廃案にするしかない」と強調しました。