2009年4月26日(日)「しんぶん赤旗」

雇用破壊とのたたかいは

日本社会のあり方変える

第2回職場問題講座開く

志位委員長が報告


 日本共産党の第二回「職場問題学習・交流講座」が二十五日、二日間の日程で党本部で始まりました。財界・大企業による雇用破壊とのたたかいや総選挙・都議選勝利めざす活動を交流、探求するのが目的です。三年ぶりに開かれた「講座」には、全国各地の職場支部や党機関などから百三十人が参加。冒頭、志位和夫委員長が報告を行い、これを受けて討論が行われました。


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(写真)党本部で開かれた第2回職場問題学習・交流講座。正面は報告する志位和夫委員長=25日

 志位氏は、「講座」の目的は、雇用破壊とのたたかいの発展方向を明らかにすること、総選挙・都議選勝利めざして職場支部が総決起する意思統一を行うことにあるとのべ、(1)雇用問題をめぐる情勢の特徴と日本共産党の役割(2)雇用破壊とのたたかいの発展方向(3)総選挙・都議選勝利めざし職場支部の総決起をどう勝ち取るか―について報告しました。

 情勢の特徴について、大企業による雇用破壊が「派遣切り」という形で猛威を振るうとともに、正規労働者にも及び、公務員や教職員にも非正規雇用が広がっていることをあげて、「大企業による雇用破壊は、労働者の命と生活を根底から脅かすとともに、日本経済、日本社会の前途をも危うくする一大社会問題になっている」とのべました。

 同時に、大規模な雇用破壊は、職場支配を自ら掘り崩す深刻な矛盾を拡大しており、非正規雇用の違法・無法ぶりが明らかになるとともに、正規労働者に対する職場支配も成果主義賃金の本質があらわになるなかで深刻な矛盾と破たんに直面していると指摘しました。

 その上で、「こうした雇用破壊に対して労働者が連帯して立ち上がりつつあることが、何よりも重要な情勢の進展だ」とのべ、労働組合の新規結成が百十、既存組合への加入が百二十五、合計で五千人を超えていることを紹介。「まじめに働き、不当な解雇にあっても泣き寝入りせず、勇気を持って立ち上がった仲間に心から敬意を表したい。最後までともに連帯してたたかう決意だ」とのべると拍手がおこりました。

 日本共産党が労働者のたたかいに連帯し、大企業との直接会談をはじめ全国で七千件にのぼる地方党機関による企業・団体への申し入れ・懇談など、あらゆる手段を使ってたたかってきたことを報告。「これは人間らしく働ける労働のルールを打ち立てる社会変革につながるたたかいであり、不当な攻撃には国民が社会的反撃をもってこたえる社会へと、日本社会の姿形を根本から変える大いなる未来があるたたかいだ」と力説しました。

 さらに、このたたかいは日本社会のあり方を根本から問うものであり、総選挙でも重要な政治的争点の一つとなるとのべ、労働者の苦難に心寄せ、その軽減のために献身する党、財界・大企業の横暴に真正面からものがいえる党、資本主義の矛盾とそれを乗り越える展望を示す日本共産党の存在意義が際立っていることを、自民、民主の「二大政党」が財界・大企業の横暴とたたかう姿勢がないことと対比しながら強調しました。

 志位委員長は続いて、たたかいの発展方向について言及し、「一つひとつのたたかいで勝利を勝ち取り、継続的な運動として発展させることが重要になっている」と語りました。

 第一は、雇用破壊に反対し、直接雇用・正社員化めざす一つひとつのたたかいに固く連帯し、勝利のためにあらゆる力をつくすことです。

 第二は、結集した労働者が引き続き階級的連帯・団結の道を歩んでいけるようにすることです。たたかいを組織する主体となっている全労連の地域労組との連携を強めることや、日本共産党の草の根のネットワークが労働者を支え、連帯のきずなをつくっていこうと訴えました。

 第三は、「社会的連帯で反撃を」という見地をあらゆる面で強めることです。正規と非正規、民間労働者と公務員、労働者と市民団体、個人など幅広い国民的連帯を追求しようと強調しました。

 第四は、政治を変え、人間らしい労働のルールをつくることです。労働者派遣法を派遣労働者保護法に抜本改正することは急務であり、「政治を変え、職場を変えよう」「人間らしい労働のルールを」を合言葉に選挙勝利に全力あげようとのべました。

 総選挙・都議選勝利めざし職場支部の総決起を勝ち取る活動では、三年前の第一回「講座」の方針をすべての職場支部の力にし、全国のすぐれた教訓を全党のものにしながら、すべての党員が総決起して、選挙勝利への流れを職場からつくり出そうとよびかけました。

 「講座」以後のすぐれた経験として、労働者と日常的に結びつき、人間的信頼関係をつくる活動をはじめ、民間職場や自治体職場でのたたかい、教職員のなかでの取り組み、党勢拡大の教訓などについて全国の活動をリアルに紹介しながら解明しました。

 最後に志位氏は、目前に迫った総選挙・都議選勝利の意義にふれ、「労働者のなかで多数になってこそ、国民が主人公の民主的政権への道は開かれる。その第一歩を刻む選挙にするために先頭に立つことを心から呼びかける」と訴えました。


労働者と深く結び前進 参加者討論

 「正社員化を求めたたかい抜く」「私の裁判を派遣法改正の足がかりにしたい」―。「講座」では、「派遣切り」とのたたかいで労働者と深く結びついて前進する姿に、会場にはしばしば大きな拍手がおこりました。

 製造業の偽装請負で働かされていた若者は、テレビで志位和夫委員長の国会質問を見て、党事務所に電話したのが契機になったと発言。「『派遣切り』を味わい、労働者の無権利を思い知った。たたかいを広げ雇用を守る道筋をつけたい」と強調しました。

 「入党三カ月の新人です」という男性は、「貧困でお金はありませんが、労働組合で活動し、党の仲間に囲まれ、心は貧困ではありません。しあわせです」と語ると拍手が広がりました。

 日ごろから若い派遣労働者の「悩みの聞き役」になっていた関西の製造業職場支部の党員は、「派遣切り」の相談に、すばやく門前宣伝や労働局要請などを行い、派遣労働者の直接雇用を実現したと報告しました。

 近畿の機械メーカーの職場では、連合系労組に働きかけ、非正規労働者に目を向けた活動や、子会社に労組を結成していると発言。「どんな路線の労組の下でも要求を前進させることができる」と力を込めました。

 神奈川県湘南地区委員会は、地域支部の力を引き出して、いすゞ自動車藤沢工場の全駅頭、バス停、門前で十一回にのぼる宣伝を行った取り組みを発言。これが労働者を組織化し、ついに期間社員の解雇撤回のたたかいに発展し大きな変化を生み出したと述べました。