2009年5月23日(土)「しんぶん赤旗」

自公民か、日本共産党か 総選挙と都議選の対決軸はここに

東京の大演説会 志位委員長の訴え


 日本共産党の志位和夫委員長が二十日、東京・有明コロシアムでおこなった総選挙・都議選勝利に向けた演説は以下の通りです。


写真

(写真)訴える志位和夫委員長=20日、東京・有明コロシアム

 お集まりのみなさん、こんばんは(「こんばんは」の声、拍手)。ご紹介いただきました、日本共産党の志位和夫でございます。(拍手)

 今日は、広い会場いっぱいの、こんなにたくさんの方がお集まりくださいまして、私も勇気百倍です(拍手)。大澤監督には熱い激励をいただきまして、心から感謝を申し上げます。(大きな拍手)

 総選挙と都議選が目前に迫ってまいりました。どちらの選挙も、ラストスパートのたたかいとなっています。みなさん、首都東京の革新と進歩の底力を発揮し、かならず勝利をつかみとろうではありませんか。(「よし」の声、大きな拍手)

政党対決の構図はどうなっているか

 総選挙と都議選の政党対決の構図は、どうなっているでしょうか。

 この数年来、「自民か、民主か」のどちらかを選べというキャンペーンが続いてきました。しかし実態はどうでしょうか。

国政――自公と民主の間に政治の中身の違いなし

 国政を見ていただきたい。

 麻生・自公政権は、異常な財界中心、アメリカいいなりという「二つの政治悪」を特徴とする政治がすっかり行き詰まってしまい、やっていることといえば、党略を弄(ろう)して延命を図ることだけであります。その最たるものは、税金を使った選挙目当てのばらまきの繰り返しです。定額給付金のばらまきにつづき、今度は三歳から五歳の子どものいる家庭に限って、一回限りの“子ども版定額給付金”をばらまき、ともかくばらまけば人気が上がるだろうという党略を繰り返している。しかし、ばらまいているお金は税金ですよ。そして税金を使ったばらまきのツケは、消費税の大増税。こんな政治は願い下げではないでしょうか。(「そうだ」の声、大きな拍手)

 民主党は、小沢(一郎)代表が西松マネーに汚染され、代表辞任に追い込まれました。しかし、小沢さんは、「一点のやましいところもない」と開き直り、新代表になった鳩山(由紀夫)さんも、小沢さんを全面的に擁護し、筆頭代表代行という要職につけました。鳩山代表は、「政権交代で日本の大掃除を」と述べましたけれども、汚れたほうき(笑い)を使って掃除をしても、汚れが広がるだけであります(笑い、拍手)。「大掃除」というなら、まず民主党自身の「大掃除」をするのが先ではないかと思います。(拍手)

 そして、鳩山代表の口からは、「官僚支配の打破」という言葉は繰り返されますが、「財界支配の打破」はありませんし、「アメリカ支配の打破」もないじゃないですか。政治の中身では、自民党との違いが見えないではありませんか(「そうだ」の声、拍手)。「自民か、民主か」のどちらかを選べといわれても、選びようがないよというのが、国民のみなさんの本当のところの気持ちではないでしょうか。(「そうだ」の声、大きな拍手)

都政――自公民そろって石原都政を支える「オール与党」

 都政ではどうでしょうか。

 都政では、自民党と公明党だけでなく、国政では一応は野党の民主党も石原知事の与党、日本共産党以外は「オール与党」となっています。この四年間で石原知事が出した議案の総数は、一千百二十二件です。自民党と公明党はそのすべてに賛成です。民主党は、一千百十五件に賛成、反対は七件だけです。賛成率は99・4%。立派な与党であります(笑い)。三党そろって知事の提案には何でも賛成、国民いじめの政治の推進役になっているのが都政の実態なのであります。

 ところが選挙になって、いま民主党は、「自公過半数体制打破」を掲げ、ここに(予定候補者の)ビラを持ってまいりましたが、「石原知事と自民・公明与党から、いま都民の手に都政を取り戻すことが必要です」といっています。自分が与党であることを忘れてしまったのか(笑い)、それとも知らないのか(笑い)、あたかも野党であるかのような選挙をやっている。これは、都民を欺く卑怯(ひきょう)な態度ではないでしょうか(拍手)。与党なら与党らしく堂々と選挙をたたかうべきだと、私はいいたいと思います。(指笛、拍手)

 国政でも都政でも、間違った政治の流れに正面から対決して、国民の利益を守り抜いている政党は、日本共産党だけです。「自公民か、日本共産党か」――ここにこそ総選挙と都議選を通じての本当の対決軸があるということを、私は訴えたいと思うのであります。(指笛、大きな拍手)

国民の暮らしを守る「ルールある経済社会」をつくる

 今日は、三つの角度から、私たち日本共産党がめざすものは何かについて、お話ししたいと思います。

 その第一は、「日本経済をどのように改革するか」ということです。

 現下の世界経済危機は、日本経済のあり方を根本から問うものとなっています。経済危機のもとで、ヨーロッパでも失業が大問題になっていますが、首都のど真ん中に「派遣村」があらわれたのは日本だけであります。日本は、同じ資本主義国でも、国民の暮らしと権利を守るルールがない、あっても弱い、「ルールなき資本主義」の国といわれております。そのために、経済危機が起こっても、日本では特別に残酷な形であらわれているのであります。このゆがみを根本からただし、財界・大企業の横暴勝手を抑えて、国民の暮らしと権利を守る「ルールある経済社会」をつくろう――これが日本共産党の主張であります。(拍手)

雇用――大企業による雇用破壊を止め、人間らしい労働のルールを

 まず訴えたいのは、雇用破壊を止め、人間らしい労働のルールをつくることです。

 この間、経済危機のもとで、大企業は競い合って、「派遣切り」「雇い止め」をすすめ、雇用破壊の波は正社員にまで及んでいます。なぜ日本が、こんなにいとも簡単に首切りができる社会になってしまったのか。労働法制の規制緩和によって、正社員を減らし、派遣、請負、パートなど、非正規雇用労働者を四割近くにまで広げてしまった結果です。とりわけ一九九九年の労働者派遣法の改悪による原則自由化は、この流れを一気にすすめる転機となりました。この大改悪に反対したのは、日本共産党だけでありました(拍手)。ほかのすべての政党の責任が問われているということを、私はいわなければなりません。(「そうだ」の声、拍手)

現代の奴隷労働ともいうべきこの非人間的実態は許せない

 私は、昨年から今年にかけて、衆院予算委員会で、三回連続で派遣労働の問題を取り上げました。派遣で働くたくさんの労働者のみなさんから、つぶさに実態を聞き、現代の奴隷労働というほかないあまりにも非人間的実態に、強い憤りを抑えることはできませんでした。

 懸命に働いても貧困から抜け出せない異常な低賃金。つねに首切りの不安におびえる究極の不安定さ。教育も訓練もなしの職場で多発する労働災害。数人で一室という寮に押し込められプライバシーも保障されない生活。そして何よりも人間として気遣われることもなく、モノ扱いされるつらさ。こういう働かせ方を労働者に強いて、景気のいいときは搾れるだけ搾り上げて大もうけをし、景気が悪くなったら「調整弁」のように平気で切り捨てる。こういう横暴勝手を、世界のトヨタ、キヤノン、パナソニックなどの巨大企業が競い合っておこなっていることは、絶対に許すわけにはいきません。(「その通り」の声、大きな拍手)

勇気をもって立ち上がった労働者に連帯してたたかいぬく

 同時に、私が何よりもうれしかったのは、全国で五千人を超える労働者が、二百数十の労働組合に結集し、雇用破壊に反対し、勇気を持って立ち上がっていることであります。

 先日、私たちは、職場でたたかう党支部と党員のみなさんの学習・交流講座を開きましたが、私は、参加者の発言を聞いて胸が熱くなりました。違法解雇とたたかうある労働者は、「無権利状態をこれから働く若者や子どもたちに残してはなりません。仲間のため、これからの若者のためと思ってたたかっています」と語りました。たたかいのなかで最近、日本共産党に入党したある労働者は、たたかう喜びをこう語りました。「世の中では貧困、貧困と騒がれています。たしかに僕は物質的には貧困です。でも、日本共産党に入党して、いまの気持ちは幸せです。心は貧困ではありません」(拍手)。うれしい言葉であります。

 私は、勇気を持って立ち上がった労働者のたたかいに、固く連帯して、最後までともにたたかい抜く決意を申し上げるものであります。(指笛、大きな拍手)

国会でも直接会談でも大企業の横暴を正面からただす

 日本共産党は、国会でも、大企業との直接会談でも、大企業の横暴勝手を正面からただしてきました。私自身も、日本経団連やトヨタなどと初めての会談をおこないました。トヨタとの会談は日本共産党の本部でおこないました。私は、その場で、「巨額の内部留保を積み増し、巨額の株主配当を続けながら、労働者の首切りとは、資本主義のあり方としても堕落ではありませんか」と、相手も否定できない事実と道理を突きつけて、雇用への社会的責任を果たすことを求めました。

 こういう仕事は、ほんらいは麻生首相がやるべき仕事ではないでしょうか(拍手)。私は、日本経団連やトヨタと話し合いながら、早く私たちも参画する民主的政権をつくって、首相官邸に大企業の代表を呼んで、政府として大企業に社会的責任を果たさせる指導ができるような世の中にしたいものだと決意したしだいであります。(歓声、大きな拍手)

日本共産党こそ労働者の味方の党 

 英国の政治学者のロナルド・ドーア氏が、東京新聞の論説でこう書きました。

 「いたるところで、フリーター組合をつくったり、不当解雇を法廷で争ったりする草の根の抵抗が起こっている。…その不満をくみ上げて地方の政党支部にその人たちを組み込もうとしているのは、今度天下を取るつもりでいる民主党でなくて、共産党だけである。なぜだろう」(拍手)。

 「なぜだろう」(笑い)といっていますが、それは日本共産党が大企業の横暴勝手とたたかう立場をもち、職場で不屈にたたかう仲間をもっているからであります。

 みなさん。日本共産党こそ労働者の味方の党です。日本共産党を伸ばして、労働者派遣法を抜本改正し、労働時間を抜本的に短縮し、最低賃金を大幅に引き上げるなど、人間が人間らしく働ける労働のルールを打ち立てようではありませんか。(歓声、大きな拍手)

社会保障――誰でも平等に必要な給付が受けられる社会を

 二つ目に訴えたいのは、社会保障を削減から拡充に転換させようということです。

 とくに、二〇〇二年以来、自公政権が毎年二千二百億円(初年度は三千億円)の社会保障予算を削減し続けてきたことが、あらゆる分野で「福祉破壊」を引き起こしています。私は先日、外国特派員協会で講演する機会がありましたが、世界と比べてみますと、日本にしかない異常な事態が、社会保障の分野でもいくつも引き起こされているということを痛感いたしました。

医療費の窓口負担――無料が当たり前、まず軽減をめざそう

 第一に、医療費の窓口負担が通院・入院とも三割などという国は、主要国には存在しません。ヨーロッパの多くの国では窓口負担は無料です。

 アメリカの医療の悲惨を描いた「シッコ」という映画がありますでしょう。あの映画の監督のマイケル・ムーア氏はアメリカ人ですが、「イギリスは医療費が無料だというがうそだろう。絶対に病院にいけば医療費を払うところがあるはずだ」と、イギリスに行って病院で会計窓口を探した。すると、「会計窓口」がありました。「やっぱりあるではないか」と思ったら、この窓口は、患者さんがお金を払う窓口ではなくて、病院に行くまでのタクシー代などの交通費を病院の側が払う窓口だった。

 みなさん。医療費の窓口負担というのは、ほんらいは無料が当たり前なのです。なぜなら、万一の病気のときのために、普段から高い保険料を払っているわけでしょう(拍手)。それなのに病気になったら三割負担が重くてお医者さんにかかれないというのでは、医療保険といえないではないですか(大きな拍手)。私たち日本共産党は、三割負担の方は二割に、二割負担の方は一割に、一割負担の方は無料へと、窓口負担の軽減を求めて、この選挙をたたかい抜きたいと思います。(指笛、大きな拍手)

世界に恥ずべき高齢者差別制度を廃止しよう

 第二は、後期高齢者医療制度の問題です。高齢者を年齢で区分し、別枠の医療制度に囲い込んで、重い負担と給付の削減という差別医療を強いる。こんな制度をつくっている国は世界に存在するでしょうか。

 私が、昨年一月の衆院本会議で当時の福田首相に質問したところ、首相は答弁でしぶしぶ「国民皆保険のもと、高齢者を特別な制度としている他国の例は把握しておりません」と答えました。日本共産党を伸ばして、世界で日本だけのこの恥ずかしい制度は撤廃させようではありませんか。(「そうだ」の声、大きな拍手)

高すぎる国保料と保険証取り上げをただせ

 第三は、高すぎる国民健康保険料と保険証の取り上げの問題です。

 国保料が高すぎて払えない滞納世帯が全国で四百五十三万世帯、21%にのぼります。うち三十四万世帯からは保険証を取り上げて資格証明書に置き換えています。資格証明書というのは残酷な制度です。病院の窓口でいったん十割全額自己負担をしなければなりません。しかしみなさん、十割払えるお金があったら保険料を払っていますよね(「そうだ」の声)。それができないから苦しんでいるのではありませんか。(「その通り」の声、拍手)

 世界の主要国でこんなことをやっている国があるかどうかを調べてみました。少なくともヨーロッパでは一つも見当たりません。ドイツでは生活苦で医療保険に入れない人には国が保険料を拠出しています。カナダでは保険料の支払いの有無で加入者を排除することを法律で禁止し、患者に自己負担を求めた州には国が罰則を科しています。日本とはまったく反対です。生活苦にあえぐ人々から保険証を取り上げて恥じない政治は、断固として変えなければなりません。(大きな拍手)

障害者福祉にまで応益負担もちこむ異常をただそう

 第四は、「障害者自立支援」の名で障害者福祉にまで応益負担を持ち込んだことです。障害が重くなるほど負担が重くなる。こんな制度をやっている国が世界にあるでしょうか。この問題についても、政府は答弁でしぶしぶ「承知をしておりません」と答えざるを得ませんでした。

 ヨーロッパに行きますと、障害者ケアは応能負担、無料がほとんどです。日本の障害者団体が北欧の視察に行ったさいに負担について質問したそうです。ところが、北欧ではケアが完全無料のために、何を聞かれているかわからない(笑い)。「現地では質問の意味が理解されなかった」ということです。日本の制度は本当に異常なものです。この制度もみんなの力で撤廃させようではありませんか。(「よし」の声、大きな拍手)

生活保護の水準を引き上げ、誰でも権利行使が当たり前の社会に

 第五は、最後のセーフティーネットである生活保護の問題です。生活保護を受ける資格のある生活水準の人が実際に保護を受けている割合(捕捉率)は、ヨーロッパ諸国が七割から九割に対して、日本ではわずか一割から二割です。この背景には、自治体の窓口で保護の申請書すら渡さず、追い返す「水際作戦」の横行があります。北九州市で餓死に追い込まれたことが大問題になりました。

 それではヨーロッパではどうかと調べてみますと、申請書は役所の窓口に置いてあって誰でもすぐ申請できます。イギリスでは申請書が郵便局の窓口に置いてあって、郵便局で書いて郵便ポストに入れるだけで申請が受理される。生活保護の水準を抜本的に引き上げ、廃止された老齢加算、母子加算を復活するとともに、誰でもこの権利を行使することが当たり前の社会をつくろうではありませんか。(大きな拍手)

社会保障は「金次第」であってはならない

 みなさん。社会保障というのは、国による施しではありません。憲法二五条に保障された国民の権利であります(拍手)。毎年二千二百億円の社会保障費削減路線を中止し、削った予算を復活させようではありませんか(拍手)。よく「地獄の沙汰(さた)も金次第」といわれますが、社会保障は「金次第」であってはなりません。お金があるなしで給付に格差をつけることを絶対に許さない(拍手)、誰でも平等に必要な給付を受けられる、こういうルールをこの日本でも築こうではありませんか。(「そうだ」の声、大きな拍手)

税制――消費税増税許さず、大企業と大金持ちに相応の負担を

 三つ目に訴えたいのは税金のあり方の問題です。

「消費税増税は大企業減税のため」がことの真相

 今年は消費税が導入されて二十周年の「記念」の年であります。うれしくない「記念」であります(笑い)。この税金は導入されたときも5%へ値上げされたときも、「社会保障のため」だといわれました。しかし、「消費税のおかげで良くなった」といえる福祉が一つでもあるでしょうか(「ない!」の声)。「ない」という声がたくさん(笑い)でありますが、一つもありません。切り捨ての連続でした。この間に国民が払った消費税は二百十三兆円、大企業減税などのため法人税等の税収は百八十二兆円減りました。何のことはない。みなさんが払った消費税は、大企業減税の穴埋めに使われたというのがことの真相であります。(「ひどい」の声)

 麻生・自公政権は、二〇一一年度までに消費税増税法案を成立させる計画を明記した法律を強行しました。この計画も実は法人税減税とセットのものです。民主党も「将来の消費税の引き上げ」をいいますが、この党も法人税の減税をセットで要求しています。苦しい生活を強いられている庶民のみなさんから吸い上げて、大企業にお金を流す、こんなやり方は許されるものではありません。(「そうだ」の声、拍手)

 消費税は、所得の少ない方ほど重くのしかかる最悪の貧困促進税であります(拍手)。販売価格に転嫁する力を持っている大企業は一円も負担しなくてすむ最悪の不公平税制であります(拍手)。消費税増税は絶対に反対、せめて食料品は非課税に――この声は日本共産党にたくしてください。がんばります。(歓声、大きな拍手)

大企業と大金持ちに相応の負担をという主張は、世界の流れにも

 日本共産党は、社会保障を支える財源については、まず軍事費をはじめとする無駄づかいに抜本的にメスを入れます。そして大企業と大金持ちにもうけ相応の負担を求めます。大金持ちと申しましても、本当の大金持ちですから(笑い)、どうかご安心ください(爆笑)。そうすれば財源を立派にまかなえることを具体的に提案しています。

 ここでみなさんに見ていただきたいのは、いま世界はどうなっているかということです。経済危機のなかで、世界各国が税制の見直しをはじめています。イギリスをはじめEU諸国では付加価値税(消費税)の減税をすすめています。アメリカでも勤労者向け所得税減税の恒久化をすすめています。一方、アメリカでもイギリスでも、所得税などの最高税率を引き上げて大金持ちに税負担を求めています。さらに、アメリカでもドイツでも、多国籍企業などの税金逃れを許さず課税を強化する措置をとっています。このように大企業と大金持ちに相応の負担をという主張は、世界の流れにもなりつつあるということを、みなさんにご紹介したいと思うのであります。(拍手)

「財界・大企業にモノがいえる党」、企業・団体献金をきっぱり拒否する党でこそ

 みなさん。雇用、社会保障、税金の問題についてお話しいたしましたが、実はどの問題も根っこをたどると財界・大企業の横暴勝手にぶつかります。「働く貧困層」がここまで広がった根源をたどりますと、一九九五年に日経連の報告書で「使い捨て」自由の不安定雇用を増やせという号令をかけたことが始まりでした。二〇〇二年度以来の社会保障費切り捨て路線の号令をかけたのも「経済財政諮問会議」のメンバーであった経団連会長でした。消費税増税の一貫した旗振り役も経団連です。

 ですから、国民の暮らしを本気で守ろうとすれば、「財界・大企業に正面からモノがいえる党」でなければなりません(「そうだ」の声、大きな拍手)。そしてそのためには企業・団体献金をきっぱり禁止することが絶対の条件だということを、強調したいと思うのであります。(大きな拍手)

 民主党は、違法献金疑惑への批判にさらされて、「企業献金を三年後に禁止する」といいだしました。しかし、企業献金が悪いものだから禁止するというのであれば、これまであんなにもらい続けてきたことへの反省が必要ではないでしょうか(「そうだ」の声、拍手)。「三年後」などといわず、即時禁止すべきではないでしょうか(「その通り」の声、大きな拍手)。さらに法律で禁止しなくても自分で決めれば(笑い)、受け取りをやめることはできるんです(拍手)。共産党はそれをやっています(大きな拍手)。まず受け取りを直ちにやめることから始めたらどうでしょうか(拍手)。そのぐらいの覚悟がなければ、まじめな提案とは受け取れないということを、私ははっきりといっておきたいと思います。(「よし」の声、拍手)

 みなさん。「いまこそ日本共産党」です。党をつくって八十七年、企業・団体献金をびた一文受け取ってこなかった党、政党助成金の受け取りをきっぱり拒否し撤廃を求める党、この日本共産党を伸ばすことこそ、国民の暮らしを守る最もたしかな力となります。どうかよろしくお願いいたします。(指笛と歓声、大きな拍手)

福祉と暮らしを犠牲にして巨大開発に熱中――「逆立ち」都政をただそう

 私が、第二にお話ししたいのは、日本共産党が「どういう都政改革をめざすか」ということです。

福祉、医療、教育――都民の力で東京をふたたび全国の模範都市に

 自治体とは、「住民の福祉と暮らしを守る」ことが本業です。経済危機で多くの国民のみなさんが苦しんでいるとき、この役割はいよいよ大きなものがあります。石原知事と自公民「オール与党」による都政は、この本業にどういう態度をとっているでしょうか。

高齢者福祉の残酷な切り捨て――自公民「オール与党」の責任は重い

 まず福祉はどうなっているでしょう。石原知事は、「何がぜいたくかといえばまず福祉」と言い放ち、東京都独自の福祉の施策を片っ端から廃止していきました。そのもっとも残酷な切り捨ての対象とされたのが、高齢者の方々への福祉であります。

 老人医療費助成制度(マル福)が廃止されました。シルバーパスが全面有料化されました。特別養護老人ホームへの人件費補助が廃止されたうえ、用地費補助まで廃止されました。主なものだけでも十年間で十もの事業が廃止され、年間七百四十億円が削減されました。その結果、予算に占める老人福祉費の割合は、この十年間で東京都は全国二位だったものが四十七位まで、つまり最下位まで落ち込んでしまったのであります。

 この切り捨ての罪は石原知事一人にあるのではありません。そのすべてが自公民「オール与党」による「福祉切り捨て大合唱」のもとですすめられてきたことを、私たちは決して忘れるわけにはいきません。(大きな拍手)

 いま介護施設の不足が大問題になっています。特養ホームの待機者は四万人。所得の少ない人はどうなるか。貧困ビジネスの餌食にされています。群馬県の高齢者施設の火事で亡くなった十人のうち七人が都民でした。共産党都議団の調査で恐るべき実態が明らかになりました。世田谷区のある施設は、マンションの一室をベニヤで四つに区切り、一人分のスペースはベッドと残り一畳足らず、明かりは部屋全体四人で一つの電灯、廊下側の人には外の光も入らず、昼間でも本も読めない、狭い部屋にただじっとして過ごすだけという状態でありました。

 貧困にあえぐお年寄りを食い物にする貧困ビジネスは許せません。しかし、もっと許せないのは、特養ホームの増設こそ必要なときに用地費補助まで廃止して、地価の高い東京での特養ホーム増設の道を閉ざした自公民「オール与党」だということを私はいいたい(「そうだ」の声、拍手)。苦労して戦後の日本社会を支えてきたお年寄りを、こんな悲惨な境遇に追いやって、胸に痛みを感じない勢力に都政を担う資格なし、都民のきびしい審判をくだそうではありませんか。(歓声、大きな拍手)

ふたたび東京から高齢者医療無料化の流れをおこそう

 この無慈悲な福祉切り捨てに正面から立ちはだかり、都民の声の代弁者となって、事実と道理の力で、石原都政を追い詰めてきたのは共産党都議団です。議事録を見ますと、火をはくような論戦の記録がつづられています。いまこそ日本共産党を伸ばして、最も無残に切られた東京の高齢者福祉をとりもどそうではありませんか。(「よし」の声、拍手)

 わけても六十五歳以上のお年寄りの医療費窓口負担を軽減し、七十五歳以上は無料にしようではありませんか(大きな拍手)。かつて革新都政時代に東京から始まった老人医療費無料化が全国の自治体に広がり、やがて国の制度となったことがありました。東京に福祉の心をとりもどし、ふたたび全国の模範になる福祉都市・東京をみんなの手で築こうではありませんか(拍手)。日本共産党へのお力添えを、よろしくお願いします。(「がんばれ」の声、大きな拍手)

子どもの命を危険にさらす小児病院つぶしは白紙撤回を

 医療はどうでしょうか。昨年十月、都内の八つの病院で救急の受け入れを断られた妊婦さんが亡くなるという痛ましい問題が起こりました。ところが石原都政は、「都立病院改革」と称して十六あった都立病院を半分に減らす計画を強行しようとしています。

 都民の怒りの焦点となっているのは、小児病院つぶしであります。三月議会で、自民・公明の賛成で、八王子、清瀬、梅ケ丘の都立三小児病院を廃止し、府中の病院に統合する条例が強行されました。未来を担う子どもたちを産み育てることを深刻な不安と危険にさらす、こんな政治は大本からたださなければなりません。

 共産党都議団が追及しますと、東京都と自公両党は、「医療人材不足だから病院存続は現実的でない」といいます。しかし私は問いたい。「人材不足」をつくったのは誰ですか。医療費と医師の抑制をすすめた自公政権と、都立病院への財政支出を減らし、都立病院のお医者さんの給与を全国の自治体病院のなかで最低にまで落ち込ませた石原・「オール与党」都政の責任ではありませんか(「そうだ」の声、拍手)。三つの小児病院は、「人材不足」のもとでもがんばっているではありませんか。医療スタッフの懸命な努力で子どもの命を守る仕事にとりくんでいるではありませんか。それを応援し、医療スタッフを増やすのが政治の責任ではないでしょうか。(「その通り」の声、大きな拍手)

 共産党都議団の追及で、病院つぶしを推進してきた自公民「オール与党」の一角が大動揺をはじめています。民主党は、三月議会での三小児病院つぶしの条例には一転反対に回りました。委員会の採決では、賛成七、反対六と、一票差にまで追い詰めました。しかし民主党の立場は、三小児病院つぶしそのものには賛成で、しばらく存続させるというものにすぎず、都民のみなさんが提出した存続を求める請願には反対、不採択の態度をとっています。

 ですからみなさん。子どもたちの命を守ろうとすれば、日本共産党を伸ばすしかありません(拍手)。共産党都議団は、都議選後の新しい都議会で小児病院存続条例を提出することを明らかにしています(拍手)。一票差まで追い込んだ。あと一歩まできました。共産党を伸ばして、小児病院つぶしを白紙撤回させ、安心して子どもを産み育てられる東京をつくろうではありませんか。(大きな拍手)

三十人学級――教育予算を維持しただけで実現は可能

 教育はどうでしょうか。ここでも全国最低の大問題があります。少人数学級は、二〇〇六年度から全国四十六道府県ですでに実施され、これを唯一拒否しているのが東京都なのであります。ここでも全国最低という恥ずかしい状態になっているのであります。

 共産党都議団は、全道府県の調査を行いました。「少人数学級になってどうなりましたか」と尋ねましたらたくさんの回答がありました。生活面でも、学習面でも、良い効果が生まれていることがはっきりしました。その結果を突き付けて都議会で実現を迫りますと、都の教育長はこういったそうです。「教育にはお金がかかる」。しかしみなさん、教育にこそお金をかけなくてどうしますか(「そうだ」の声、拍手)。そんな社会では未来がなくなることは誰が考えても明らかではないでしょうか。(「その通り」の声、拍手)

 自公民「オール与党」は、三十人学級を求める請願や意見書にことごとく反対してきました。自民、公明などの議員が議会で言っていることは、少人数学級だと「サッカーができなくなる」(笑い)ということです。

 驚いたのは民主党です。少人数学級を求める共産党議員団の質問にたいして、「教育行政への介入」を求めたと非難し、「この党(共産党)の危険な体質を示した」(どよめきの声)との攻撃を加えてきたのであります。私は、この非難はそっくり民主党にお返ししたいと思います(歓声、拍手)。都立七生養護学校の性教育の内容に自民党議員とともに乱暴に介入し、東京地裁から「教育への不当な介入」として断罪されたのは誰か。民主党議員ではありませんか(拍手)。教育に対して政治が絶対にやってはならないのは、このような教育内容への権力的な介入であります。これは憲法違反だということを私はいいたい(「その通り」の声、拍手)。政治がやるべきことはそんなことではない。教育条件を良くすることです。この両者の区別もわからないような勢力に、私たちの大切な子どもたちの未来を託すわけには断じていかないということを訴えたいと思います。(歓声、大きな拍手)

 都の教育長は「教育にはお金がかかる」といいますが、都教育庁の二〇〇九年度予算が増えているかといえば、逆に百三十三億円も減らされています。そこで共産党都議団が、都内すべての小学校低学年を三十人学級にするのに必要な経費はたった九十一億円だ、予算を増やさなくても維持しただけで実現は十分可能でおつりがきますよと示しますと、教育長も知事も否定ができなくなりました。実現が強く求められる根拠ははっきりしている。お金の心配もありません。日本共産党を伸ばして、三十人学級をこの東京でも実現しようではありませんか。(大きな拍手)

福祉と暮らしを犠牲にして巨大道路に熱中――この「逆立ち」をただそう

 福祉、医療、教育など「暮らしを守る」という自治体の本業を投げ捨てて、石原都政と自公民「オール与党」が熱中しているものは何か。

新銀行東京――破たん処理でこれ以上の税金投入の道を断とう

 たとえば一千億円の税金を投入して設立された新銀行東京です。これは石原知事の文字通りの思いつきで始まった事業でした。それを、自公民「オール与党」は、「夢とロマンがある」などと天まで持ち上げました。「自治体が銀行業などに乗り出すべきではない」と最初から堂々と反対をつらぬいたのは日本共産党都議団だけでありました。(拍手)

 事態は私たちの警告どおりになりました。経営破たんが現実のものになりました。都民の税金で出資した一千億円の大半を失い、さらに自公の賛成で四百億円の追加出資がゴリ押しされました。それでも再建の展望がたたず、今年の三月議会では、乱脈融資の赤字穴埋めに税金投入ができる道を開く条例を、自公民「オール与党」で可決しました。こんなやり方で、都民のみなさんの大事な税金をドブに捨て続けるようなことを許すわけにいきません。日本共産党を伸ばしていただいて、破たんしたものは、ちゃんと破たん処理をさせて、これ以上の税金投入の道はきっぱり断とうではありませんか。(拍手)

オリンピックを看板にした巨大道路より、都民の暮らしに税金を使え

 さらに途方もない巨額の無駄づかいが進行中です。オリンピック招致を看板にした巨大道路づくりであります。

 ここに一つの文書があります。東京都が策定した『10年後の東京―東京が変わる』という文書です。東京都が二〇一六年オリンピックの国内立候補地に選定された二〇〇六年につくられた「長期的都市戦略」なるものであります。この「長期戦略」の最大の目玉はなにか。読んでいきますと、「三環状道路」――首都高速中央環状線、東京外かく環状道路、圏央道、この三つの環状道路を何がなんでもつくると書いてあります。「三環状道路により東京が生まれ変わる」、バラ色の東京になると麗々しく述べられています。

 しかし都民のみなさんにもたらされるものは何か。三環状道路のなかでも、東京外かく環状道路の建設が、自公民こぞっての賛成で、急ピッチですすめられようとしています。これにかかる事業費は、地上・地下で何と一兆八千億円です。練馬区から世田谷区の十六キロを結ぶ道路ですが、この道路は並の道路じゃありません。地下四十メートルもの深さに、直径十六メートルものトンネルを上下線で二本掘り抜く。史上最大のトンネル計画といわれます。十六メートルといったら、五階建てのマンションがすっぽり入る。そして十六キロで一兆八千億円といいますと、一メートル一億円以上です。

 これはみなさん、都民が「つくってくれ」と頼んで始まった事業ではありませんね。みなさんの誰も「つくってくれ」といった覚えはないと思います(「そうだ」の声、拍手)。巨額の税金をつぎ込むだけではない。住民を立ち退かせ、地下水脈、農地、緑地を壊し、大気汚染をひどくする。笠井(亮衆院議員)さんが、先日の国会で具体的資料を示し、「この計画をつくったのも、これでもうけるのも大手ゼネコンだ、ゼネコンによるゼネコンのための事業ではないか」とただしました。私は、この無謀な計画はきっぱり中止すべきだということを強く訴えたいと思います。(「よし」の声、大きな拍手)

 三環状道路をはじめオリンピックを看板にしておこなわれようとしている巨大開発は、あわせて八兆円から十兆円におよびます。福祉をつぶし、病院をつぶし、教育を犠牲にして巨大道路づくり。この「逆立ち」政治はやめさせようではありませんか。(大きな拍手)

 一メートル一億円ならば、たった七百四十メートル分で削られた高齢者福祉を復活することができます。九十一メートル分で三十人学級を実現できます。これは楽しい計算ではありませんか(拍手)。腹も立ちますけれど(笑い)。オリンピックを看板にした巨大開発より、都民の暮らしに税金を使え――この声はどうかこぞって日本共産党にお寄せください。よろしくお願いします。(大きな拍手)

日本共産党の提案には「四つの裏付け」がある

 日本共産党を伸ばせば、いまお話しした「逆立ち」都政をただし、都民の暮らし第一の都政への大きな道が開かれます。私は、それには「四つの裏付け」があるということを強調したいと思います。

財源の裏付け――予算の5%程度を動かせば要求は実現できる

 第一は、財源の裏付けです。東京都の財政規模は十三兆円とスウェーデンの国家予算なみのお金があります。都民のために使えるため込み金は一兆六千億円もあります。そのごく一部をあてれば都民要求の実現ができます。

 共産党都議団は、この十四年間、毎年予算組み替え動議を提出し、予算のわずか5%程度を動かすだけで、都民のみなさんの切実な要求を実現できることを明らかにしてきました。

 石原知事は、民主党が都知事選の直前にただ一度だけ予算案に反対したときに、こういいました。「反対するのだったら、対案として共産党のように組み替え動議を出すべきだ」。

 この発言は、いつも日本共産党攻撃をしてくる石原知事の発言だけに、「説得力」があるではありませんか。(笑い、拍手)

都政を動かした実績の裏付け――子どもの医療費無料化、認可保育所

 第二の裏付けは、都政を動かした実績の裏付けです。

 都の制度として、今年十月から、中学三年生までの医療費について、入院は無料、通院は一回二百円が実現しました。これは都民の運動と共同した共産党都議団の長年の努力の積み重ねの結果だということを私は強調したいのであります(拍手)。歴史をたどりますと、まず一九九四年に三歳未満の助成制度が実現しましたが、これは共産党都議団が、一九八七年から連続十二回質問し、四回にわたる条例提案をおこない、都民とともに勝ち取った成果でありました。さらに二〇〇一年に小学校就学前までの助成制度が実現しましたが、これは一九九七年の都議選で共産党が大躍進して、条例提案の表明をしますと、表明をしただけで他の党があわてて同調し、実現したものでありました。今回の中学三年生までの助成制度の拡大も、共産党都議団の繰り返しの条例提案がついに実ったものであります。こういう歴史の積み重ねがあるわけですが、共産党を伸ばしていただいて、完全無料の制度にしようではありませんか。(拍手)

 都政を動かしたという点では、保育園でも前進がありました。東京都では、営利企業が経営する認証保育所を増設の中心において、お庭もない、食べ物も粗末、保育料は高いなど、さまざまな問題が起こってきました。共産党都議団は、そうした問題点を具体的に指摘し、抜本的見直しを求める論戦をすすめてきた。そういうなかで、都の姿勢が変わってきました。とうとう東京都はこれまで軽視してきた認可保育所の定員を三年間で六千五百人増やす計画を決めました。これは大きな成果であります(拍手)。同時にまだ足りません。待機児はこれでは解消できません。待機児といいますが、子どもは待つわけにいかないのです。待ったらおとなになってしまいます(笑い)。共産党は六千五百人分の増設を前倒しで実現して、三年間で認可保育所を一万五千人分増やせと提言しております(拍手)。これも共産党を伸ばして実現しようではありませんか。(大きな拍手)

草の根の運動との共同――あらゆる提案実現の最大の裏付け

 第三の裏付けは、草の根の運動との共同という裏付けです。

 小児病院つぶしの問題で、石原・「オール与党」都政を追い込んだ力は、草の根でとりくまれた五十万もの署名と、寒い三月の都庁前にのべ六百人もの都民のみなさんが座りこんで抗議の声をあげたことにありました。

 築地市場の豊洲移転計画の着工を阻んでいる力も、仲卸業者、環境学会、消費者団体のみなさんなどと共同して、「食の安全を守ろう」と繰り返し反対デモにとりくんできたことにありました。

 つねに草の根の運動と力を合わせてというのが日本共産党のモットーでありますが、ここにこそ、共産党の提案を実現する最大の裏付けがあるということを私は訴えたいと思います。(大きな拍手)

政治姿勢の裏付け――都民の税金は一円たりとも無駄に使わせない

 第四の裏付けは、政治姿勢の裏付けです。

 この四年間を見ても、自民、公明、民主の都議会議員三十一人が、六回の豪華海外旅行をおこないました。まだやっているのか。懲りない人たちであります。フランスの海に浮かぶ修道院モン・サン・ミシェル。ブラジルのイグアスの滝。欠かせない観光スポットにはちゃんと行っています(笑い)。使った費用は一人平均百八十九万円。四年前の選挙でも問題になりましたが、あの時、平均いくらだったかと思って調べてみましたら、一人平均百四十八万円でした。豪華旅行のエスカレートはとどまるところを知りません。

 私は訴えたい。いったい都民のみなさんの税金を使って平気で豪華海外旅行をしているような勢力に、都民の苦しみに心を寄せ、福祉と暮らしを守ることができるでしょうか(「できない」の声)。自分自身の税金の無駄づかいすらただせない勢力が、どうして都政の巨額の無駄づかいをただすことができるでしょうか(「そうだ」の声、拍手)。こういう勢力が口先でどんな立派なことをいっても、虚しいだけではないでしょうか(大きな拍手)。都民のみなさんの大事な税金は、一円たりとも無駄には使わない、使わせない。この政治姿勢をつらぬく日本共産党都議団を伸ばしてこそ、都政を都民の手にとりもどすことができます。(拍手)

 どんな問題でも都民の利益に立ってがんばりつづけ、どんな提案もそれを実行するたしかな裏付けをもっている、この素晴らしい日本共産党都議団を大きく躍進させてください。よろしくお願いいたします。(大きな拍手)

核兵器のない世界、戦争のない世界を――平和の願いを日本共産党に

 第三にお話ししたいのは、「世界にどう働きかけるか」ということです。

 世界に目を向けますと、いま世界は大きな変化の中にあります。

 ブッシュ前政権がすすめた一国覇権主義――軍事でも経済でも、アメリカの政策を力ずくで世界に押し付けるやり方は、大きな破たんに直面し、終わりに向かいつつあります。

 国連に加盟する百九十二のすべての国々が、対等・平等の権利をもって国際政治の主人公となる新しい時代が到来しつつあります。

 これが二十一世紀の今日の世界の姿であります。

オバマ米大統領に核兵器廃絶の一点にしぼり書簡を送る

 こうした世界にあって、アメリカにも変化が起こっています。

 オバマ大統領が四月五日、プラハでおこなった演説は、世界に大きな問題を投げかけるものとなりました。大統領は演説のなかで、次のように述べました。

 「核兵器を使用したことのある唯一の核兵器保有国として、米国は行動する道義的責任がある。われわれは、この試みに単独で成功することはできないが、それを導き、始めることができる。それゆえ、きょう私は、核のない平和で安全な世界を米国が追求していくことを明確に宣言する」

 私は、日米関係のあり方については米国政府と大きな立場の違いはありますが、オバマ大統領のこの言明は心から歓迎するものであります。(「そうだ」の声、大きな拍手)

 私は、この演説はたいへん重要だと考え、四月二十八日、オバマ大統領に核兵器廃絶の一点にしぼって具体的行動を要請する書簡を送りました。米国大使館を訪問し、ズムワルト臨時代理大使に手渡しました。アメリカ大使館に行くのは初めてのことです(笑い)。書簡では、私の歓迎の気持ちを伝えるとともに、「同意するわけにはいかないこと」も率直に述べました。それは大統領が、「核兵器のない世界」を呼びかけながら、その実現は、「おそらく私の生きているうちには無理だろう」と述べていることであります。

 これに同意できないと言ったのには理由があるのです。核保有国が、核兵器廃絶を正面からの主題にして、国際交渉にとりくむということは、戦後六十四年たちますが、誰の手によっても、ただの一度もおこなわれたことがありません。交渉はおろか、交渉の呼びかけすらされたことがないのです。ですからこれにとりくむことは、前人未到の挑戦への最初の扉を開くことになります。交渉の呼びかけから開始、開始から合意、合意から実行までには、時間がかかるかもしれません。しかし、歴史上初めての仕事にどれだけの時間がかかるかは、とりくんでみないことにはわからないではありませんか。若い大統領が、とりくむ前から「生きているうちには無理」というのは気が早いのではないでしょうか。(拍手)

 その意思さえあれば、すぐにでもできることがあります。それは米国大統領として、核兵器廃絶を正面の主題にした国際交渉を呼びかけ、交渉を開始することです。これは意思さえあれば、すぐにでもできることではないでしょうか。(大きな拍手)

 ぜひ大統領のイニシアチブで、そうした国際交渉を始めてほしい。私は、書簡で、このことを強く要請いたしました。

米国政府から返書――大統領の熱意と真剣さをしめすもの

 書簡を送った後の情勢に進展が生まれています。

 五月五日、ニューヨークの国連本部で開かれていた核不拡散条約(NPT)再検討会議の準備委員会に、オバマ大統領が異例のメッセージを寄せ、「核兵器のない世界という平和と安全の追求」を訴え、「米国はNPTの約束を果たす」と言明しました。(拍手)

 そして、五月十六日には、米国政府から私の書簡に対する返書が届けられました(大きな拍手)。この返書は、オバマ大統領が、グリン・デイビス米国務次官補(代理)に指示し、次官補が大統領に代わって書いたものとなっています。ここで読み上げて紹介させていただきます。(拍手)

 「親愛な志位様

 あなたの四月二十八日付の書簡で、オバマ大統領のプラハ演説についての感想と、どうすれば私たちが最良の方法で核兵器のない世界を実現できるかについての考えを伝えていただきました。大統領は、その書簡に感謝する返書を、大統領に代わってしたためるよう、私に指示しました。

 この問題にたいするあなたの情熱をうれしく思うとともに、私たちは、この目標に向かって具体的な前進をつくりだすために、日本政府との協力を望んでいます。世界の国々が核不拡散条約の強化と、核兵器用の核分裂性物質生産禁止条約交渉の速やかな開始、包括的核実験禁止条約の発効を確約するならば、私たちは認識を変え、核兵器のない世界に向けて新たな機運をつくることができます。(拍手)

 思慮に富んだあなたの書簡に重ねてお礼を申し上げます」(拍手)

 こういう内容であります。(大きな拍手)

 これまでわが党から米国大統領にあてて書簡を送ったことは何度かありますが、先方から返書が返ってきたのは歴史上初めての出来事であります。(大きな拍手)

 私は、これは、アメリカ社会が大きく変化しつつあることを示していると思います。そして、この返書は、オバマ大統領の核兵器廃絶に対する真剣さと熱意を示すものであり、私は歓迎したいと思います。(拍手)

 さらに、この一連のやりとりを通じて、米国政府と日本共産党との間に公式の対話のルートが開かれたことは、たいへん重要であります(拍手)。これからは、たとえば米軍基地の問題なども、話し合うことができるようになるでしょう。(大きな拍手)

被爆国・日本で「核兵器廃絶をめざす国際交渉を開始せよ」の声を広げよう

 私がこのやりとりを通じて実感していることがあります。それは私が書簡で提起したような内容は、本来は唯一の被爆国・日本政府の代表者である麻生首相が提起してしかるべき内容ではないかということであります。(「そうだ」の声、拍手)

 そう考えまして、実は今日の朝、麻生首相に党首会談を申し入れたところ、夕方に実現することになり、先ほど党首会談をやってまいりました(どよめきの声、大きな拍手)。私は、党首会談で、この間の米国政府とのやりとりについて首相に報告するとともに、首相にたいして次のような要請をおこないました。

 「唯一の被爆国の政府として、核兵器廃絶を正面の主題とした国際交渉を開始するためのイニシアチブを日本政府こそ果たしてほしい(「そうだ」の声、拍手)。それを果たす道義的責務と、そして権利が日本にはあるはずだ」(大きな拍手)

 私の提起に対して、首相からは定かな答えは返ってきませんでしたが、「オバマ演説は、すごい演説だった」(笑い)ということは繰り返し述べていました。

 みなさん。アメリカに前向きの変化を促した根本の力はなんでしょうか。それは平和を願う世界諸国民のたたかいの力だと、私は思います(「その通り」の声、大きな拍手)。そして核兵器問題という人類の死活がかかった大問題の帰すうを決めるのも世界諸国民のたたかいです。いまこそ唯一の被爆国・日本で、「核兵器廃絶をめざす国際交渉を開始せよ」の声を広げに広げようではありませんか。(大きな歓声と拍手)

前向きの変化が目に入らず、変化していない部分ではいいなり政治

 麻生・自公政権は、この人類的課題にどういう態度をとっているでしょう。先ほど党首会談の話もしましたが、この政権にはアメリカの前向きの変化は、まともに目に入っていないようです。「すごい」ということはいいましたけれども。(笑い)

 オバマ演説を受けて、日本政府が繰り返し米国に求めているのは、「日米安全保障体制の下における核抑止力を含む拡大抑止」の確認を迫ることです。米国大統領が「核兵器のない世界」への協力をよびかけているときに、米国の核戦力への依存を確認することを迫る。核兵器廃絶への逆流の先兵となり、足をひっぱっている。これは被爆国の政府として恥ずかしい限りではないでしょうか。(大きな拍手)

 一方、この政権は、アメリカが変化していない部分については、安心していいなり政治をつづけています。米軍基地を強化し、自衛隊海外派兵をすすめ、グアムにつくる米軍基地の強化にまで日本国民の税金を惜しげもなく注ごうとしています。

 オバマ政権は、いまのところ日米関係については変化がみられませんが、変化がみられない問題に限っては、日本政府は忠実そのものです。

 自民・民主の両党から、集団的自衛権――海外での武力行使容認の合唱が起こり、憲法改定原案をつくることをめざして憲法審査会を始動させようという動きがおこっていることも重大です。

 アメリカの前向きの変化は、まともに目に入らず対応ができない、悪いところにだけ追随する――こんな政治に未来がないことは明瞭(めいりょう)ではないでしょうか。(指笛、大きな拍手)

21世紀における日米関係――日米安保条約に代えて日米友好条約を

 二十一世紀における日米関係の未来をどうするか。わが党は、もとより反米主義者の党ではありません。本当のアメリカとの友情を望んでいる政党であります(拍手)。そしてみなさん、本当の友情とは支配・従属の関係ではつくれません。対等・平等でこそ可能になるのではないでしょうか。(「そうだ」の声、大きな拍手)

 アメリカいいなり政治の大本にある日米安保条約をなくし、それに代えて日米友好条約を結ぼう。これが日本共産党の立場であります。(大きな拍手)

 憲法九条を守り生かし、「核兵器のない世界」、「戦争のない世界」を願う平和の声は、党をつくって八十七年、命がけで反戦平和をつらぬいてきた日本共産党におよせください、よろしくお願いいたします。(指笛と大きな歓声、割れるような拍手)

「いまこそ日本共産党」――首都・東京が燃えに燃えて必ず勝利を

 今日は、「自公民か、日本共産党か」――これこそ総選挙と都議選をつうじての対決軸であることを、三つの角度からお話ししましたが、国民の利益に立っているのはどちらか、世界の大道に立っているのはどちらかは、すでに明瞭です。

 「自民か、民主か」といいますが、政治の中身の違いは、国政でも、都政でも、どこを探しても、見当たらないではありませんか(拍手)。「政権交代」といいますが、政治の中身を変えないままでは、誰が政権の担い手になろうが、希望ある日本の未来は開けてこない、このことを私ははっきりいいたいと思います。(指笛、大きな拍手)

 そしてみなさん、「政権交代」というのだったら、異常な財界中心、アメリカいいなりという「二つの政治悪」を正面からただし、「国民が主人公」の新しい日本を築く本物の政権交代、民主連合政府への政権交代こそ求められているということを、私は訴えたい(大きな拍手)。日本共産党の躍進でその第一歩を切り開こうではありませんか。(歓声、大きな拍手)

 新しいポスターをつくりました。合言葉は「いまこそ日本共産党」です(大きな拍手)。首都・東京が燃えに燃えて、総選挙・都議選で必ず勝利を勝ちとり、誰もが安心し希望をもって暮らせる日本、平和な日本をつくろうではありませんか。(拍手)

 私も委員長として燃えに燃えております(拍手)。東京のみなさんと心を一つにし、全国のみなさんと心を一つにして、持てるあらゆる力を注いでこの政治戦を勝ち抜く決意を申し上げて、私の訴えとさせていただきます。(大きな拍手)

 みなさんともにがんばりましょう。(「よし」「がんばろう」の声、割れるような拍手)