2009年8月7日(金)「しんぶん赤旗」

原爆症訴訟 全原告を救済

被団協と首相が確認書


 原爆症認定をめぐる集団訴訟の全面解決に向けた基本方針を示した確認書が6日、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)・集団訴訟原告団・弁護団と政府との間で合意されました。原告側が求めていた原告全員の救済を政府側が受け入れた内容であり、6年越しの裁判に決着への道筋がつくられました。

 同日、広島市内でおこなわれた確認書への署名式では、日本被団協の坪井直・代表委員と田中熙巳事務局長、麻生太郎首相が署名しました。

 確認書は(1)一審勝訴の原告の控訴を取り下げ、確定させる。3日の熊本地裁判決について控訴しない(2)一審係争中の原告については一審判決を待つ(3)議員立法で基金を設け、原告にかかる問題解決のために活用する(4)厚生労働相と被団協・原告・弁護団は定期協議の場を設ける(5)原告団は集団訴訟を終結させる―の5点です。

 同日、広島市内で記者会見した田中氏は「ここに至るまで大変な時間を要しました。国からの謝罪を求めたのに対し、(麻生)総理ではなく(河村建夫)官房長官が陳謝を表明したことは、それなりの評価をしたい」と語りました。

 麻生首相も同日、同市内で記者会見し、原告の高齢化や訴訟の長期化から「司法判断を尊重して原告を早期に救済するという方針を決断した」とのべ、基金の詳細は今後、検討するとしました。


心から喜びたい

志位委員長

 日本共産党の志位和夫委員長は6日、党本部で記者会見し、日本被団協と麻生太郎首相が原爆症認定集団訴訟の解決についての合意を交わしたことについて、次のように表明しました。

 一、今回の合意は、長年にわたって被爆者の方々が、これは自分たちだけの問題ではない、「原爆被害の過小評価は核戦争の危険につながる」、世界から核兵器をなくすうえでも、何としても解決しなければならないという大義に立ってたたかいをつづけ、奮闘されてきたことの成果だと思います。

 私は、長年、この問題でがんばってこられた原告団、被爆者、弁護団のみなさんに心から敬意を申し上げるとともに、ともにたたかったものとして、心からこの結果を喜びたいと思います。

 一、今後の課題として、基金をしっかり具体化することなどが残されていると思います。また、現在、審査を待っている7000人を超える方々についても、すみやかに審査、認定をすすめることが求められています。

 私たちは、すみやかな訴訟の一括解決、被爆の実態に即した認定行政への抜本的な改善、このためにひきつづき力を尽くしていきたいと考えております。

 一、きょう、8月6日は広島に原爆が投下されてから64周年の記念日となりました。私たちは、この日にあたって、「核兵器のない世界」への決意を新たにするものです。