2009年8月22日(土)「しんぶん赤旗」

現実政治動かし大本を正す

「建設的野党」として二つの仕事

外国特派員協会 志位委員長が講演


 日本共産党の志位和夫委員長は21日、東京都内の日本外国特派員協会で講演し、総選挙の論戦の特徴と党の立場について語りました。記者からの多彩な質問に答える志位氏の姿に、参加者の一人は「非常に知的。共産党は農業問題と核問題で積極的だ」と感想をのべました。


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(写真)日本外国特派員協会で講演する志位和夫委員長=21日、東京・有楽町

 志位氏は冒頭、「選挙戦の焦点は、自公政権を退場させた後に、それに代えてどういう新しい政治をつくるかに移っている」と論戦の特徴を指摘し、新しい政治局面で日本共産党が「建設的野党」としてとりくむ“二つの仕事”を強調しました。

 第一は、民主党政権に対しては、国民の立場に立って「良いものには協力、悪いものには反対」の立場を貫き、現実政治を前に動かすという仕事です。

 民主党の公約に入っている労働者派遣法の改正、後期高齢者医療制度の撤廃などは、日本共産党がいち早く主張してきたもので、「新政権と協力して実現をはかりたい」と表明しました。

 同時に反対するものとしては、民主党が掲げている日米FTA(自由貿易協定)交渉の促進、比例定数削減、憲法9条改定や消費税増税への志向をあげ、「防波堤の役割を果たす」とのべました。

 志位氏はさらに「問題点を正すということもやっていきたい」と発言。「税金の使い方の優先順位」の問題点として、民主党の「高速道路無料化」を取り上げ、同党が実施に必要だとする1・3兆円があれば、75歳以上の高齢者と子どもの医療費を国の制度として無料にできるとのべました。

 民主党の子ども手当の財源の一部として扶養控除などが廃止されることで、600万世帯が増税になることをあげ、「国民の一部を犠牲にして一部に回すやり方にはくみしえない」と表明しました。

 第二の仕事は、「財界中心」「日米軍事同盟中心」という日本の政治のゆがみを大本から正し、「国民が主人公」の新しい日本をつくっていく仕事です。

 民主党の鳩山由紀夫代表に「財界主導政治からの決別」について質問した際にも定かな答えはなかったが、日本の政治の一番の問題点はここにあり、「ここにメスを入れたい」とのべました。

 また、日本共産党は「9条をいかした平和外交」を主張するだけではなく、野党でありながら実践している党だと指摘しました。

 会場からは、民主党政権になった場合の対米関係、北朝鮮の核問題、「核の傘」についてなど多彩な質問が相次ぎました。

 「日米のFTAの規則でコメを除外品目にすれば壊滅的打撃を受けないのでは」との質問には、米国側が“農業とコメ抜きのFTAはありえない”“コメを除外した米韓FTAは前例にならない”とクギをさしていることを指摘し、「日米FTAは、交渉自体に入るべきではない」とのべました。

 また、「不況の波の影響か、若い世代の中で共産党の価値観に共感する人が増えているが」との質問には、「非正規切り」に反対するたたかいの発展を大いに語り、「この中でも少なくない若者が入党している。若者の中に起きている前向きな変化をぜひ選挙結果に結びつけたい」と話しました。