2009年9月27日(日)「しんぶん赤旗」

「核兵器のない世界」をよびかけ

「アスタナ宣言」採択

アジア政党国際会議が閉幕


 【アスタナ(カザフスタン)=田川実】当地で開かれていた第5回アジア政党国際会議(ICAPP)は26日、「核兵器のない世界を目標とすべきだ」とした「アスタナ宣言」を採択して閉幕しました。


 宣言は冒頭で、これまでの4回のアジア政党国際会議での総会宣言の原則にもとづいて、この宣言を採択するとしています。

 核兵器問題については、地球規模の安全保障に向けた新たな対応が必要とされているとして、国際的な核軍縮と核不拡散の努力を確固たるものとすることの重要性を指摘。「あらゆる地域で核兵器のない世界を目標とすべきだ」と世界に呼びかけています。

 今年発効した中央アジア非核地帯の重要性にふれ、非核地帯の拡大を提案。核保有国に対して、保有する核兵器を量的にも質的にも削減するという、世界に対する責任を果たすよう求めています。

 東南アジア諸国連合(ASEAN)やアジア相互協力・信頼醸成会議(CICA)など、対話と信頼によって平和を確保しようという地域的な共同の流れを支援し、参加すると表明。直面する脅威であるテロ、不法な兵器輸出、あらゆる過激主義、麻薬取引、さらに人種主義と不寛容、差別に反対する国際的運動を支持し、参加するとしています。

日本共産党代表団が修正提案

 「核兵器のない世界」を呼びかける宣言の重要な部分は、前日(25日)の志位和夫委員長の発言と、それにもとづく日本共産党代表団の修正提案が実を結んだものです。

 最終日の26日に配布された議長団提案の宣言案は、核兵器廃絶問題に言及したものとなりましたが、「核兵器のない世界を究極の目標とすべき」という内容でした。

 これに対し、緒方靖夫副委員長・国際局長が閉会総会で発言を求め、「究極の」を削除する修正提案を行いました。

 緒方氏は、核兵器廃絶を「究極の目標」とすることは、核兵器廃絶を先送りし、棚上げするものであり、世界と日本の反核運動が長期にわたり批判してきたものだと指摘。この「究極の」があるなしでは、意味するところが全く違うことになると述べ、これを削除すれば世界の核兵器廃絶の世論と運動に対する積極的な貢献となる宣言になると表明しました。

 そしてICAPPアスタナ会議が良い結果をもたらすようにとの立場から、「単純だが重大な」修正を提起するとして、「究極の」を削除することを提案。「この問題は被爆国・日本を含む世界のすべての人々の願いだと信ずる」と結びました。

 これを受けて、総会議長を務めたカザフスタン与党・ヌルオタン(人民民主党)のカレタエフ第一副議長が「日本代表団の修正案を受け入れる」と言明し、修正された宣言案は満場の拍手で採択されました。