2009年12月15日(火)「しんぶん赤旗」

「移設条件付き返還」抜け出し無条件撤去の立場で交渉を

志位委員長、鳩山首相と会談

普天間問題


 日本共産党の志位和夫委員長と鳩山由紀夫首相は14日、国会内で会談し、沖縄・普天間基地問題、雇用と中小企業の緊急対策について話し合いました。日本共産党から市田忠義書記局長、小池晃政策委員長、穀田恵二国対委員長が、政府からは平野博文官房長官、松野頼久官房副長官が同席しました。


「新基地はつくらせない」が県民の総意

写真

(写真)鳩山由紀夫首相(右)と会談する志位和夫委員長=14日、国会内

 志位氏は、沖縄基地問題について、12月4日、5日に現地を訪問し、自治体首長らと懇談した中身を首相に伝えました。普天間基地を抱える宜野湾市の伊波洋一市長から、米国の安全基準では「クリアゾーン」利用禁止区域とされているところに、公共施設・保育所・病院が18カ所、住民約3600人が暮らしており、基地の危険性の即時除去を強くもとめられたこと。嘉手納基地を抱える嘉手納町の宮城篤実町長から、06年の米軍再編「ロードマップ」で「負担軽減」といわれたが、飛来する米軍機は増える一方で、事件・事故が多発しており、このうえさらに基地機能強化など絶対に受け入れられないとの訴えがあったことをのべました。

 そのうえで、「11・8県民大会で確認された『世界一危険な普天間基地の即時閉鎖・撤去』『辺野古への新基地建設と県内移設には反対』は、文字どおり県民の総意と痛感した。首相もこの点では認識が同じだと思うが」とのべました。

 首相は、志位氏の指摘に、うなずきながら、「それだけにという思いとともに、旧政権とはいえ日米合意がある。長い間、苦労されてきた沖縄県民の思いもある。どちらが大事かということでなく、両方生かせるようにと思いながら、どう解決するか悩んでいる。いい知恵があれば共産党からも示していただきたい」とのべました。

公約実現のためには、「移設条件付き返還」から転換を

 これに対して、志位氏は、首相が総選挙で、普天間基地について、「県外、国外への移設」を明言したことを指摘し、「県内のたらい回し」はやらないというのが公約だと思うとのべ、「どうすればこの公約を実現できるか」について次のように提起しました。

 「『移設条件付き返還』という立場から抜け出す必要がある。もともと危険きわまる普天間基地は、無条件撤去が県民の強い要求だった。ところが96年のSACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)合意以来、『移設条件付き返還』とされた。その結果はどうか。結局、13年間も危険きわまる基地は動かなかった。この事実を踏まえるならば、問題解決の道は、普天間基地の『条件なしの返還』=無条件撤去を求めて、米側と本腰の交渉をおこなうことだ。首相が、腹を固め、県民、国民の願いと一体に、米側に正面からそれを求めてこそ、打開の道が開かれる。ぜひそういう立場に踏み切ってほしい」

 鳩山首相は、「共産党の気持ちは承らせてもらうが、安全保障、抑止力という問題がある。無条件撤去を求めるのでは交渉は難しいと思う」とのべました。

「日米合意」「抑止力」は理由にならない

 志位氏は、「日米合意も大切だ」という首相の発言について、「たとえば10年と期間が決まっている条約なら、国と国の約束として引き継がなければならないこともあるだろうが、日米合意は、政権が代わったら、当然白紙から見直す権利がある」と指摘。

 さらに、海兵隊が「抑止力」という発言については、「イラク戦争など、沖縄の海兵隊がやってきたことを見れば、平和のための『抑止力』でなく、戦争のための『侵略力』だ。沖縄にも日本にも海兵隊は必要ない。無条件撤去を求めることこそ、問題解決の大道であり近道だ」と強調しました。

 首相は、「共産党の気持ちは、十分に承らせてもらった」と重ねてのべました。