2010年1月11日付「しんぶん赤旗」

「二つの異常」正せる党は

党首インタビューでくっきり


 10日放送のNHK「日曜討論」では、7党の党首がインタビューに答えましたが、日本の政治の「二つの異常」(異常な対米従属、財界・大企業の横暴な支配)を正す政党か、その枠内にとどまる政党かが、浮き彫りになりました。

景気対策 大企業に迫れるか

 番組では、景気の「二番底」が懸念されるなか、どう経済危機を打開していくのかが問われました。

 日本共産党の志位和夫委員長は、景気対策の一番のポイントとして、雇用破壊など労働者を犠牲にして大企業がため込んだ「埋蔵金」である「約200兆円の内部留保を社会に還元する政策をとるべきだ」と主張しました。

 一方、民主党を代表して出演した菅直人副総理は、財界からも歓迎の声があがっている鳩山政権の「成長戦略」を「政治のリーダーシップで必ず実行する」と強調。「どんどん成長するアジアと一緒に成長する」ために「(企業を)政府は後押し」するとのべるなど、雇用を破壊してきた大企業に社会的責任を果たさせる視点はありませんでした。

 自民党の谷垣禎一総裁は、鳩山政権の「成長戦略」の内容について「われわれの政策をそのまま使われている」と違いがないことを指摘。こちらも大企業にモノを言う姿勢は皆無でした。

消費税 聖域残し増税論議

 政府予算案は、44・3兆円の借金と特別会計などの一時的な8兆円の「埋蔵金」だのみになっています。志位氏はこの点を指摘し、「結局、庶民増税にツケが回るのではないかという不安が出てきている」と指摘。政府が「聖域」にしている軍事費と大企業・大資産家にたいする優遇税制を正すべきだと強調しました。

 菅副総理は、インタビュアーの「来年度予算案は埋蔵金をかき集めてなんとかしのいだが、再来年度はどうやって調達するのか」「消費税は?」との問いかけに、消費税増税の「議論をすることをだめだとは言っていない」と発言。この1年間は特別会計など財政の見直しをした上で「必要な議論は、それはそれでやっていく」とのべ、2011年度にも具体的な議論を始める考えを示しました。

 公明党の山口那津男代表も、「消費税引き上げの議論を早く始めないとだめだということですか」との問いに「そうですね」とのべ、二つの「聖域」に手をつける姿勢は示しませんでした。

普天間 米追随の立場では

 「アメリカ追随」の立場の違いがくっきりと浮かび上がったのは沖縄の普天間基地問題です。

 志位委員長は「移設条件付き返還」では解決しないとのべ、「無条件撤去、移設条件なしの撤去に踏み切らないと、問題は解決しない」と力説しました。

 菅副総理は、沖縄県民の感情を大事にしつつ、日米合意も重視するという「二つを両立させなければすすまない」と発言。「いろんな方が努力されているので、なんとか約束通りの期間のなかで、結論を得てもらいたい」と腰の引けた発言に終始しました。

 谷垣総裁は「普天間を移転してキャンプ・シュワブ沖に持っていこうというのは沖縄の負担軽減にもつながる」「日米安保、沖縄の戦略性、今の基地が持っている戦略的な地位と両立するところを探すことができなかった」と、あくまで辺野古への「移設」を主張しました。

 山口代表も、辺野古への「移設」以外選択肢はないのか、との問いに「基本的にはそういうことです」と答え、「これは時間をかけて関係者の合意を経てできた案だ」と強弁。自公両党とも、引き続き基地の苦しみを沖縄県民に押し付ける姿勢を鮮明にしました。