2010年2月3日(水)「しんぶん赤旗」

暮らし守る三つの転換を提案

衆院 志位委員長が代表質問

雇用・中小企業 社会保障 財源


 日本共産党の志位和夫委員長は2日、衆院本会議で代表質問に立ち、「政治とカネ」、国民の暮らし、米軍基地という国政の焦点の問題で鳩山由紀夫首相の姿勢をただすとともに、抜本的対案を正面から示しました。しかし、首相はいずれの問題でもまともに応えようとせず、自公政権と基本姿勢で違いのない答弁を繰り返しました。(代表質問全文)


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(写真)代表質問をする志位和夫委員長。奥は鳩山由紀夫首相=2日、衆院本会議

 経済危機から国民の暮らしをどう守るか。志位氏は、三つの転換を提起しました。

 第一は、大企業に社会的責任を果たさせる政治への転換です。

 志位氏は、大企業の巨額の内部留保と利益を、国民に還元させる政策への転換が必要だと指摘。具体的方策として▽“非正規社員から正社員への雇用転換”を雇用政策の中心にすえる▽中小零細企業の経営を守る政治への転換を行う―の二つを提起しました。

 国民に還元させる政策へ転換をはかれば、景気対策ともなると力説しました。

 しかし、首相は、内部留保の活用について、「本来企業が経営判断すべきものだ」などとする答弁にとどまりました。志位氏が、大企業と下請け企業との公正な取引のルールを求めたことにたいしては、「必要に応じて新たなルールの整備に努めることは重要」と述べました。

 暮らしを守る第二の転換は、社会保障費削減路線の「傷跡」を是正することです。

 志位氏は、後期高齢者医療制度の廃止先送りに加え、保険料の負担軽減策も行わないという“二重の後退”や、障害者自立支援法の「応益負担」に対する中途半端な対応を批判。いずれも速やかな廃止を求めました。

 その上で、自公政権が強行した医療費の窓口負担増によって深刻な受診抑制が起こっている事実を告発。世界にも類のない高すぎる窓口負担の軽減を提起しました。

 しかし、首相は、「必要な医療が妨げられているとは考えない」などと受診抑制そのものを認めない答弁を行いました。

 志位氏は、第三の転換として財源政策をあげ、軍事費と大企業・大資産家優遇という二つの「聖域」にメスを入れ、消費税増税など庶民増税への不安を解消することを要求しました。

 とくに民主党も反対していたグアムでの米軍基地建設への日本側負担の大幅増や、米英に比べても異常に低い株取引課税の温存を批判し、転換を迫りました。ここでも首相は「聖域なき予算の組み替えに取り組んだ」などと強弁しました。

「政治とカネ」

 志位氏は、小沢一郎民主党幹事長の疑惑では、国民の税金で行われる公共事業を食い物にしたという政治的道義にかかわる疑惑が提起されていると力説。司法に加え、国会が“車の両輪”として疑惑解明に果たすべき役割を指摘し、真摯(しんし)な対応を求めました。首相は「検察の捜査を見守る」などと3回も繰り返し、自浄作用発揮における自らの責任を投げ捨てる姿勢を示しました。

名護の審判受け止めよ

 米軍基地問題で、志位氏は、普天間基地の「移設」先とされた沖縄県名護市で、新基地建設反対を掲げる候補が勝利した市長選の結果を、政府が厳粛に受け止め、新基地建設を撤回するよう正面から要求。首相は「市長選の結果は民意の一つの表れ」としたものの、在日米軍の「抑止力」の重要性を説き、「代替施設なき返還は現実的に不可能だ」などと普天間基地の無条件撤去に背を向けました。