2010年5月12日(水)「しんぶん赤旗」

B型肝炎訴訟 原告団と志位委員長が懇談

勧告2カ月 政府は何もしない 全面解決早く


 「共産党にはいつも勇気をもらっている。力を借り訴訟を解決したい」(原告)、「一刻も早い全面解決に向けて頑張り抜く」(志位和夫委員長)――全国B型肝炎訴訟原告団・弁護団は11日、国会内で日本共産党の志位委員長と懇談し、全面解決に向け、お互いに力をつくす決意を固めあいました。


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(写真)懇談するB型肝炎原告団の人たちと日本共産党国会議員団。右から2人目は志位和夫委員長=11日、衆院第2議員会館

 全国B型肝炎訴訟原告団の谷口三枝子代表は、「札幌地裁で和解勧告が出て2カ月になるのに、政府は面談にも応じていないし、直接の回答もない。原告はもう10人亡くなっています。国は一日も早く謝罪し、原告だけではなく同じような被害を受けた人たちも含めて幅広い救済をしてほしい」と切々と訴えました。

 東京原告の男性は、「政権は『命が大事』といいながら、私たちの命を軽視しているのではないか。(共産党には)ぜひするどい追及でこの訴訟を早く解決させてほしい」と語りました。

 志位氏は、「みなさんが重い病気を抱えながら訴訟を行わなければならないこと自体、政治の責任は重いと感じます」「まず国が和解のテーブルに一刻も早く着く。そのためにも担当大臣が面会することは当たり前のことです」と述べました。

 その上で今後協議される和解の中身について、「救済範囲はうんと広くすべきです」と指摘。B型肝炎は集団予防接種の注射器の使い回しで感染したケースが大多数であり、「そうした可能性がある人たちをすべて救わなければなりません」と強調しました。

 補償額については、少なくとも薬害C型肝炎訴訟の支給額と同程度にすべきだと述べ、これらを国に求める決意を表明しました。

 原告らは、「この先、医療費がどれだけかかるのか、社会復帰できるのか不安」「感染に加え、偏見で地獄の年月を過ごしてきた」などと訴え。志位氏は「加害責任は国にあるということをはっきりさせて、真摯(しんし)に謝罪をしたうえで、偏見を取り除くことも国の責任でやるべきです」と語りました。

 懇談には、志位氏のほか、小池晃政策委員長、仁比そうへいの両参院議員、高橋ちづ子、笠井亮、赤嶺政賢の各衆院議員が同席しました。

国は和解の席に着け

小池氏が迫る

 日本共産党の小池晃議員は11日の参院厚生労働委員会で、政府はB型肝炎訴訟の原告団と直ちに面会し、和解のテーブルにつくよう、質問直前の懇談会で出された原告の声もつきつけ、強く求めました。

 小池氏は、C型肝炎訴訟で長妻昭厚労相が野党時代、2007年10月の衆院本会議で自公政権に「高裁の判決を待たずに和解のテーブルにつけ」と迫っていたことを示し追及。3月の札幌地裁和解勧告が求めた「救済対象を広くとらえる方向」に沿い、命の線引きを許さず全員救済を行った薬害C型肝炎と同様に、母子手帳が見つかっていない場合や母親が死亡している場合なども含めて救済するよう迫りました。

 長妻厚労相は「14日に裁判所に和解協議に応じるか否かを含めて結論を伝えることにしている」と繰り返しました。小池氏は、「それでは野党時代に批判してきた役所の立場そのものだ。政治家としての決断をするべきだ」と批判しました。


 B型肝炎訴訟 集団予防接種の注射器使い回しでB型肝炎ウイルスに感染したとして患者らが国に損害賠償を求めた訴訟で、420人が10地裁で係争中です。札幌、福岡両地裁が3月に和解を勧告。大阪地裁も4月、和解による解決を促しています。