2010年8月16日(月)「しんぶん赤旗」

韓国民団 光復節中央記念式

志位委員長のあいさつ(全文)


 在日本大韓民国民団中央本部が15日に開いた第65周年光復節中央記念式で日本共産党の志位和夫委員長が行ったあいさつは次のとおりです。


写真

(写真)第65周年光復節中央記念式であいさつする志位和夫委員長=15日、東京・日比谷公会堂

 (韓国語で)こんにちは(拍手)。私は、日本共産党委員長の志位和夫です。(拍手)

 きょう、8月15日は、韓国のみなさんにとって日本帝国主義の支配から解放された喜ばしい日であり、私は、心からのお祝いを申し上げるものです。(拍手)

 同時に、私は、この日にあたって、日本の侵略戦争と植民地支配によって犠牲になった2000万人を超すアジアの人々と310万人の日本国民を追悼し、過ちを二度と繰り返さない決意を新たにするものです。

「韓国併合」100年と日本共産党の立場

 今年、2010年は、日本帝国主義が、韓国を「併合」してから100年目の年となります。「韓国併合」は、日本軍による繰り返しの侵略、王妃の殺害、国王・政府要人への脅迫、民衆の抵抗の軍事的圧殺によって実現されたものであり、「韓国併合条約」は、日本が韓国に対して、軍事的強圧によって一方的におしつけた不法・不当な条約です。(拍手)

 私は、植民地支配によって、国を奪い、文化を奪い、言語を奪い、名前すら奪ったことを、日本国民は忘れてはならないと思います。それを両国の共通の歴史認識とすることが、未来にとって重要であると考えるものです。(拍手)

 私は、4年前に初めて韓国を訪問し、西大門刑務所歴史館で追悼の献花をおこない、国会議長や与野党のリーダーと会談しました。そこで感じたのは、36年におよぶ植民地支配の痛みの深さでした。同時に、私が、韓国のみなさんとの交流で強く実感したのは、21世紀の未来にむけて、日本との本当の友好を願っているということでした。

 歴史は、消し去ったり、書き換えたりすることはできません。しかし、歴史に誠実にむきあうことはできます。過去の誤りを真摯(しんし)に認めてこそ、日本は未来に向かってアジア諸国民との本当の友情を得ることができるというのが、私たちの確信です。(拍手)

21世紀の日韓友好の発展をめざして

 日本共産党は、戦前の時代から、日本帝国主義による朝鮮への植民地支配に反対し、朝鮮独立のたたかいに連帯してたたかった政党として、日韓両国国民が、真の親愛の情でむすばれた友好関係をうちたてるために、つぎの諸点で力をつくす決意です。

歴史の逆流許さず、傷跡をただす

 第一は、日本の過去の侵略戦争や植民地支配を正当化するいかなる逆行も許さないことです。また誤った歴史が残した傷跡をただすことです。

 侵略戦争と植民地支配を美化する歴史教科書問題を解決し、新しい世代に歴史の真実を伝えなければなりません。(拍手)

 旧日本軍による「従軍慰安婦」問題等について、日本政府は謝罪と補償をおこない、問題の真の解決をはかるべきです。(拍手)

 先日、「朝鮮王朝儀軌(ぎき)」などを韓国側に「引き渡す」方針が、首相談話のなかで発表されました。「文化財は原産国に戻す」というのは、ユネスコの条約でも原則とされていることであり、「儀軌」を出発点として文化財が返還されることを、私は心から願っています。(拍手)

 日朝関係の正常化にさいしても、「日朝平壌宣言」にそくして、歴史問題を、核問題、ミサイル問題、拉致問題などとともに、解決すべき諸懸案の一つとして、重視してとりくむべきだというのが、私たちの立場です。

北東アジアに平和的環境をつくる平和外交を

 第二は、北東アジアに平和的環境をつくりあげることです。

 この地域には、なお緊張と紛争の要素が残されていますが、どんな問題でも「軍事対軍事」の悪循環に陥ることなく、紛争の平和解決に徹するべきです。困難はあっても「6カ国協議」を再開・成功させ、この枠組みを地域の平和機構に発展させることが大切だと考えます。日本は憲法9条をもつ国として、こうした平和外交にこそ力をそそぐべきです。

 韓国民団のみなさんは、「真の光復は祖国の民主的平和的統一が実現する時だ」とのべておられます。南北の平和的統一を促進する国際的環境をつくるうえで、日本は、過去の植民地支配という歴史を考えても、その重要な一端を担うべきだと考えます。(拍手)

永住外国人への地方参政権の付与をすみやかに

 第三は、永住外国人、在日韓国人のみなさんへの地方参政権の付与を、一日も早く実現することです。(拍手)

 わが党は、すでに1998年にそのための法案要綱を提案し、選挙権とともに被選挙権を付与することを提案しています。各党と意見調整をはかり、一刻も早くこの懸案の課題を実現させるために力をつくすことをお約束いたします。(拍手)

 (韓国語で)今後、韓国民団と日本共産党の交流が発展することを、心から願っております。ありがとうございました。(拍手)