2011年2月18日(金)「しんぶん赤旗」

家計と内需に手厚く

志位委員長 予算組み替え要求を発表


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(写真)記者会見する志位和夫委員長=17日、国会内

 「大企業・大資産家向けの大減税をやめ、くらし応援の予算へ」―。日本共産党の志位和夫委員長は17日、国会内で記者会見し、2011年度予算案についての日本共産党の組み替え要求を発表しました。(全文)

 会見で志位氏は、11年度予算案の特徴について、「社会保障の財源が必要といいながら、大企業と大資産家に2兆円規模の減税をばらまく一方、社会保障と暮らし関連の予算は細る一方になっている」と指摘。「国民の暮らしを応援し経済を良くする上でも、家計と内需に手厚い予算に組み替える必要がある」と述べ、五つの柱からなる組み替え提案を説明しました。

 一つ目は、「総合的な賃上げ政策」をワンパッケージで実行し、雇用の確保・安定をはかることです。

 志位氏は「民間、労使まかせにしないで、政府が、非正規社員の正社員化や最低賃金引き上げ、中小企業労働者の賃金底上げなどの総合的な施策を行うべきだ」と指摘。大企業にため込まれた244兆円の内部留保を暮らしと社会に還流させる必要性を強調しました。

 二つ目は、社会保障の制度改悪をやめ、削減から拡充に転換することです。

 志位氏は、「民主党のマニフェストでは、自公政権時につくられた社会保障削減の傷痕を修復させる一定の公約があったが、今では全て放り投げられた」と批判しました。

 「子ども手当」については、増額ではなく、認可保育所増設や高校無償化の拡大、就学援助の充実など、総合的な子育て支援に回すべきであり、年少扶養控除廃止によって負担増となる世帯が出ないようにすべきだと主張しました。

 三つ目は、環太平洋連携協定(TPP)参加をやめ、食料自給率の向上、農林漁業の再生、「食料主権」を尊重した貿易ルールの確立を進めることです。

 志位氏は、TPP参加について「経済のあり方全体にとって有害な影響を及ぼすことが明らかになった」と指摘。「食料主権」を尊重した貿易ルールの確立、東アジア諸国との対等・平等・互恵の経済関係の模索―という対案を示しました。

 四つ目は、中小企業・地場産業・商店街支援で地域経済の活性化をはかることです。

 志位氏は「日本の雇用の7割を支える中小企業と商店街が元気にならなければ内需主導の経済危機打開はできない」と述べました。

 五つ目は、「『二つの聖域』にメスを入れ、財源を確保する」ことです。

 志位氏は、まず緊急に大企業・大資産家優遇税制をやめ、軍事費やムダな大規模開発にもメスを入れることで約3兆円の財源をつくりだせると指摘。これだけでもさまざまな諸施策を講じられると述べ、「暮らしを良くする明るいメッセージ、展望となって国民に伝わり、これが重要な一歩になる」と強調しました。