2012年9月8日(土)

日本共産党国会議員団総会での

志位委員長のあいさつ


 日本共産党の志位和夫委員長が7日、党国会議員団総会でおこなったあいさつは次の通りです。


写真

(写真)あいさつする志位和夫委員長=7日、衆院第1議員会館

 国会閉会にあたって、ごあいさつをいたします。

 まず、229日間にわたる長丁場の国会、衆参の議員団と秘書団のみなさんの奮闘に対して心からの敬意を表したいと思います。(拍手)

「大義」を明らかにし、「展望」を示した論戦 

 1月24日の国会開会にさいしての議員団総会で、私たちは、あらゆる分野の国民のたたかいの発展に貢献する論戦をおこなおう、とりわけ、たたかいの「大義」を明らかにし、「展望」を指し示す論戦をおこなおうということを誓い合いました。国会を振り返ってみまして、この点で大きな成果をあげることができたと思います。

 とくに、それぞれの国民運動が、国民多数派になっていくうえで、私たちのたたかいは貢献を果たしたといえると思います。

消費税増税問題――総選挙で「二重の審判」下し、増税実施を阻止しよう

 まず、消費税増税問題ですが、私たちは、これを、「社会保障のため」、「財政再建のため」などとする増税推進勢力の根拠をことごとく突き崩す論戦にとりくみ、増税反対にこそ「大義」があるということを明らかにしていきました。同時に、「消費税に頼らない別の道がある」という「経済提言」を提唱して、たたかいの「展望」を明らかにしていきました。そういうなかで、消費税増税反対は揺るがない国民的多数派になっていきました。

 民自公3党談合によって増税法案は強行されましたが、たたかいはこれからだということを強調したいと思います(拍手)。「毎日」の世論調査でも、消費税が増税されたら、「暮らしに影響が出る」と答えた方が92%に及んでいますが、増税の実施が迫るにつれて、国民の不安と怒りは高まらざるをえないでしょう。

 国民運動をさらに発展させるとともに、来るべき総選挙で「二重の審判」――“民自公増税連合”に「ノー」の審判を下すとともに、日本共産党躍進という結果を出して、増税の実施を何としても阻止しようではありませんか。(拍手)

「原発ゼロ」――国民世論の変化にこたえ、すみやかな原発からの撤退を

 「原発ゼロの日本」をめざすたたかいでは、毎週金曜日の官邸前抗議行動、「さようなら原発10万人集会」など、空前の規模で国民的たたかいがわきおこり、広がっています。私たちは、そのたたかいと連帯し、再稼働反対、「原発ゼロの日本」への政治的決断を求める論陣をはってきました。

 このたたかいと論戦は、この間、政府がおこなった「国民的議論」の取りまとめで、政府自身が、「過半数の国民が原発ゼロを望んでいる」と認めざるをえなくなるなどの、国民世論の大きな変化をつくり出してきました。

 ただ、昨日、民主党がまとめた方針は、“2030年代までに稼働原発ゼロをめざす”とするもので、あまりにも遅く、あまりにも曖昧(あいまい)で、早期の原発ゼロを求める国民世論とかけ離れているといわなければなりません。

 私たちは、すみやかな原発からの撤退、再稼働方針の撤回、再生可能エネルギーへの抜本的転換を求めて引き続き奮闘するものです。(拍手)

TPP――広がる反対の世論と運動、参加断念まで力をつくす

 TPP(環太平洋連携協定)問題でも、私たちは、国会内外で、一貫して参加阻止のために力をつくしてきました。

 この問題でも世論の変化がおこっています。最近の「朝日」の世論調査では、6割の人が「TPPに参加すれば農業に悪影響」が出ると答え、「経済に悪影響が出る」と答えた人が多数となり、TPP参加の賛否が4割前後で拮抗(きっこう)するところまで、国民世論が変わってきました。JA全中とともに日本医師会も「全面的反対」を決め、反対の戦線が広がってきたこともうれしいことであります。

 政府は、4月の日米首脳会談、6月のG20サミット(主要国首脳会議)につづいて、9月のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会談でも、参加表明を先送りせざるをえなくなっています。

 ただし、政府は、国民に隠れて実質的協議をすすめ、なしくずし的にTPPへの参加をはかろうと画策しており、たたかいは引き続き重大な正念場となっています。参加断念に追い込むまで、JAや医師会や多くの方々とスクラムを組んで、頑張りぬく決意を固めたいと思います。(拍手)

オスプレイ――沖縄と本土の連帯で、配備計画を撤回させよう

 オスプレイ問題でも、私たちは、国会内外で配備の危険性を明らかにし、反対の論陣とたたかいにとりくんできました。反対は「オール沖縄」の声となり、9日には県民大会が開催されます。日本全土での低空飛行訓練の計画が明らかになるなかで、全国知事会も緊急の反対声明を出すなどの動きもおこっています。

 私は、この問題は、米軍基地問題を、日本国民全体の問題に押し上げたと思います。最近、8月の世論調査を見ましても、時事通信の世論調査では58%が配備に反対、共同通信の世論調査では70%が配備に反対と答えています。それは圧倒的多数の国民の声となりつつあります。

 沖縄と本土の連帯した力で、オスプレイ配備の方針を撤回させ、普天間基地は無条件撤去せよ――この声をあげていこうではありませんか。(拍手)

「国民の多数派」に自信をもって、たたかいの発展に力をつくそう

 消費税、原発、TPP、オスプレイ――日本共産党は、どの「一点共闘」でも重要な役割を果たし、その発展のために誠実に力をつくしてきました。たたかいの「大義」を明らかにするとともに、たたかいの「展望」が、「アメリカいいなり、財界中心」という政治を断ち切る改革をおこなうことにあることを示してきました。

 このもとで、国民運動のどの分野でも、私たちの主張は国民の多数派になっている。みなさん。ここに大いに自信を持って、たたかいのいっそうの発展に力をつくそうではありませんか。(拍手)

国民の声にこたえた国会対応――筋をつらぬきつつ柔軟に

 この国会では、国民の声にこたえた国会対応という点でも、重要な教訓をつくったといえると思います。

衆院の不信任案、参院の問責可決――増税勢力に痛打を与えた

 この国会の最大の焦点となった消費税増税問題をめぐって、民自公3党が密室談合によって増税連合をつくり、数の暴力で国会を壟断(ろうだん)するという動きがおこりました。それにたいして日本共産党は、「消費税増税法案反対」の一点で野党共闘を呼びかけ、増税勢力を衆参ともに追い詰めるという状況をつくり出しました。

 衆議院では、7野党の党首会談で、内閣不信任案の提出と増税法案を廃案に追い込むという画期的な合意が成立し、一時は、自民党も不信任案の提出を検討せざるを得なくなるところまで、増税勢力を断崖絶壁まで追い詰める状況をつくりだしました。

 そして、参議院では、野田内閣と民自公3党を断罪する問責決議案を可決し、民自公増税勢力に痛打を与える画期的成果をつくり出しました。(拍手)

 これは、私は、非常に大きな意義を持つものだと考えます。

 何よりもこの行動は、「消費税増税をやめてほしい」という国民の多数の声にこたえた、国民的大義を持つものであったということを強調したいと思います。

 同時に、消費税にたいする考え方の違いはあっても、国民の声にこたえて消費税増税法案阻止の一点で共闘をおこなう。これはわが党が、筋を通しながら柔軟な国会対応をおこなうということを示した点で、国民の共感を広げたと思います。

 私は、先日あるラジオ番組に出たところ、司会者から、“共産党も他の党とまとまって一緒になって国会を動かしている姿を見てうれしくなった”という声が聞かれましたが、この取り組みというのは、わが党の国会対応の幅を広げ、今後につながるものになったということを、強調しておきたいと思います。

選挙制度――民主案は廃案に、比例削減反対・民意を反映する選挙制度実現めざす

 それから、選挙制度問題でも、わが党は、各党協議会で、「比例定数削減反対、民意を反映する抜本的選挙制度改革」を主張し、奮闘しました。

 民主党は、小選挙区制の固定化と「定数80削減」に固執し、一方的に協議会を打ち切り、一方的に法案を提出し、一方的に衆院での採決を強行しましたが、野党11党が「憲政史上かつてない暴挙」と反対するもとで、参院では廃案となりました。(拍手)

 私は、これは議会制民主主義を守るたたかいの重要な勝利だと考えるものです(拍手)。同時に、たたかいは引き続くわけで、比例削減反対、民意を反映する選挙制度の実現をもとめる院内外のたたかいを、さらに発展させることを呼びかけるものです。

総選挙での躍進へ――政党のあり方の根本を問う論戦を

 国会は閉会となりますが、政局は、秋の臨時国会での解散・総選挙の可能性を色濃くはらみながら展開することになります。

 きたるべき総選挙で日本共産党は、政党のあり方を根本から大きく問う論戦を展開し、必ず躍進を果たす決意であります。今日は、政党のあり方の根本ということにかかわって、二つの点を強調したいと思います。

古い政治を断ち切る本当の改革をすすめる党を

 第一は、「アメリカいいなり、財界中心」という古い政治を断ち切る本当の改革をすすめるのか、それとも行き詰まった古い政治の延命を、形だけ変え、顔だけ変えて、はかるのか。これを根本から問う選挙にしていきたいということです。

 なぜ、民主党政権が失敗に終わったのか。それは、この政権が、古い行き詰まった政治から一歩も抜け出すことができなかったからであります。これこそ、この3年間の日本の政治の最大の教訓であります。そして、この古い政治を、形だけ変え、顔だけ変えて、延命させようとしても、それは必ず破たんせざるをえないということは、この3年間の政治が証明していることを、私は強調したいと思います。

 「経済提言」や「外交ビジョン」など縦横に駆使し、日本改革のビジョンを大いに語り、新しい社会への改革者・建設者としての姿をきわだたせて、必ず総選挙での躍進を勝ち取ろうではありませんか。

「政党らしい政党」とは何かが問われる

 第二は、政党らしい政党とは何かが問われるということです。この問題では、元総務大臣の片山善博氏がある雑誌での対談で、「政党には党員がいて、党員たちの願いをかなえるための政策があり、その政策を実現するために候補者を選定して当選させる」、「日本には共産党などを除くと、政党らしい政党は事実上ない」とのべました。これは見識だと思います。片山氏は同じ対談のなかで、大阪維新の会について、「この政党も草の根で党員を集めて、政策を考えるという地道な基礎工事なしに、次の選挙に出せそうな人を見つけて、促成栽培している。既存の政党とまるで変わらない」と批判していますが、これもその通りだと思います。

 いま、わが党以外のどの党も、国民から遊離して、「浮き草」化するという状況があります。選挙目当てに離合・集散を繰り返し、新しい党をつくり、「新しい顔」は誰なのかということで右往左往しています。そういうなかで、「草の根」で国民としっかり結びつき、「草の根」の声をくみ上げて国政に反映させ、そして綱領と政策にもとづいて、堂々とした政治活動をおこなう、政党らしい政党としての日本共産党の姿というのは、誇りに考えてよいのではないでしょうか。(拍手)

党勢拡大目標の総達成で、総選挙躍進への道を開こう

 いま、8月3日の「幹部会声明」にそって、全党は、この9月中に、党員と「しんぶん赤旗」の党勢拡大目標を総達成し、党勢の高揚のなかで総選挙にのぞもうと奮闘しているさなかにあります。

 党勢拡大では、この間、全党の大きな努力が重ねられていますが、まだ、いまの自力では、選挙に勝つ保障はないということを、冷厳に直視する必要があります。いま、本当に党の自力をつけて、その自力をもって、どんな状況になっても選挙で前進・躍進をかちとる。この取り組みを必ず成功させる必要があります。

 ぜひ、全党のみなさんと力をあわせて、この9月に、党勢拡大の高揚をつくりだして、総選挙の躍進への道を切り開きたい。その点でも、議員団と秘書団のみなさんが、その成功のために力をつくされることを訴えて、閉会にあたってのあいさつといたします。(拍手)