2012年9月21日(金)

外交交渉による尖閣諸島問題の解決を

志位委員長が提言

日本政府に申し入れ


 日本共産党の志位和夫委員長は20日、「外交交渉による尖閣諸島問題の解決を」と題した提言を発表し、日本政府に手渡しました。政府側は藤村修官房長官が応対。志位氏は「『領土問題は存在しない』という立場をあらため、冷静で理性的な外交交渉によって、日本の領有の正当性を堂々と主張し、解決をはかるという立場に立つべきです」と申し入れました。志位氏は21日には程永華中国大使と会談する予定です。

 (提言全文)


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(写真)藤村修官房長官(右)に申し入れる志位和夫委員長(中央)、穀田恵二国会対策委員長=20日、首相官邸

 冒頭、志位氏は、尖閣諸島(中国名・釣魚島)問題をめぐって日中間の対立と緊張が深刻になっていることについて、「日本への批判を暴力で表す行動は、いかなる理由であれ許されない」と述べ、中国側に自制を促す対応と在中邦人、企業、大使館の安全確保に万全の措置をとることを求めるとの立場を表明。同時に、藤村氏に対して、「(日中双方が)物理的対応の強化や軍事的対応論は、厳に慎むことが必要だ」と伝えました。

 そのうえで、志位氏は、尖閣諸島について、日本の領有が歴史的にも国際法上も正当だとする党の「見解」(2010年10月)を説明するとともに、歴代日本政府の対応には「領土問題は存在しない」という立場を棒をのんだように繰り返すだけで、中国との外交交渉によって領有の正当性を理をつくして主張する努力を避け続けてきたという重大な問題点があると指摘しました。

 第一は、1972年の日中国交正常化交渉、78年の日中平和友好条約締結のさいに、尖閣の領有権問題を「棚上げ」にする立場をとったことです。志位氏は、これが「だらしない外交態度だった」とのべるとともに、「棚上げ」したということは領土に関する紛争が存在することを認めたものにほかならなかったと指摘しました。

 第二は、にもかかわらず、日本政府は「領土問題は存在しない」という態度をとり続けた結果、日本の主張も中国への反論もできない「自縄自縛」に陥り、問題解決の道を自ら閉ざしてきたという問題点です。

 志位氏は「領土問題は存在しない」という立場について、「一見『強い』ようにみえても、そのことによって日本の立場を主張できず、中国側の主張への反論もできないという点で、日本の立場を弱いものにしている」と指摘。そのうえで、「尖閣諸島の問題を解決するためには、『領土問題は存在しない』という立場をあらため、領土に関わる紛争問題が存在することを正面から認め、冷静で理性的な外交交渉によって、日本の領有の正当性を堂々と主張し、解決をはかるという立場に立つべきです」と提起しました。

官房長官「『自縄自縛』との疑問は検討」

 これに対し藤村氏は、「領土問題は存在しない」との政府の見解を繰り返しつつも、「『領土に関わる日中間の問題がある』と(志位氏が)いうならその通りだと思う」と表明。「国内でのデモなど日中間の問題はきちんと平和的に、話し合いで解決する労力を(日中)双方惜しみなくやる」と述べました。

 志位氏は、「政府は、『領土問題は存在しない』といっているために、首脳間の会談などで正面から主張するうえで自縄自縛になっている」と指摘。「中国の国民を説得するぐらいのつもりで日本が発信しないと解決への道は開かれない」と強調しました。

 藤村氏は「『自縄自縛』ではないかという疑問は当然、われわれも検討すべき疑問だと思う。検討していきたい」と応じました。

 志位氏は「日本政府が、竹島については外交交渉を呼びかけながら、尖閣問題では『領土問題は存在しない』というのは、ダブルスタンダード(二重の基準)になる。尖閣問題で踏み切ることは竹島問題(の解決)もプラスになります」と語りました。藤村氏は「(ダブルスタンダードというのは)そうみえますね、確かに」と語りました。