志位和夫 日本共産党

力をあわせて一緒に政治を変えましょう

党の会議での報告

2014年9月5日(金)

「攻めの姿勢」で打って出て強く大きな党を

全国都道府県委員長会議 志位委員長の発言


 日本共産党が開いた全国都道府県委員長会議(3日)での志位和夫委員長の発言を紹介します。


今の情勢にどういう根本姿勢でのぞむか

 連日のご奮闘に敬意を申し上げます。みなさんの1回目の発言を聞きまして、埼玉の荻原初男県委員長が発言した情勢に対する構えの問題――今の情勢にどういう根本姿勢でのぞむかという問題が、とても大事だと思いました。

 発言でものべられたように、この8月度、なかなか難しい条件のなかで、党勢拡大で前進を勝ち取った地区委員会に共通しているのは、いっせい地方選挙勝利を正面にすえ、「攻めの姿勢」でどんどん国民の中に打って出ているということです。そこで変化をつかんで党が元気になって、党勢も増やすし、いっせい地方選挙勝利のための取り組みも進める。「攻めの姿勢」で情勢にのぞんでいることがとても大事だと思いました。

 東京都の北地区委員会では、7千カ所の街頭宣伝、40日間連続のバス停宣伝に取り組み、そういうなかで党勢拡大で前進を勝ち取ったとのことでした。埼玉県のさいたま地区委員会では、8月31日に、演説会を1600人という画期的な成功をおさめていますが、ここでも情勢に「攻めの姿勢」で働きかけて変化をつくり、党勢で前進を勝ち取ったとの報告でした。北海道の十勝地区委員会では、「十勝毎日」の世論調査を見て、自民党離れが急激に進んでいる、同時に無党派が圧倒的多数というなかで、どんどん足を踏み出して状況を変えようと、そういう姿勢で取り組む中で党勢で前進している。情勢に対する「攻めの姿勢」ということが、今とても私は大事だと思います。

安倍「亡国政治」に対して大攻勢をかけるべき歴史的情勢

 7月15日の党創立記念講演では、四つの問題で安倍政権と国民との対決の焦点を明らかにし、安倍政権打倒の国民的大運動をよびかけるとともに、緊急の政治の転換の方向を示しました。

 その後の約1カ月半の情勢の進展、さらに今年後半からいっせい地方選挙に向けた今後の情勢を考えてみますと、どの問題でも安倍政権と国民との矛盾が激化し、大局的に見れば、安倍政権の側が一歩一歩追いつめられていくという劇的な展開となっていると思います。とくに秋から来年にかけての情勢の進展は、これまでにない大激動が起こるという強い予感がする状況です。

 一言で言うと、日本共産党が、安倍「亡国政治」に対して、大攻勢をかけるべき歴史的情勢に、いま私たちは立っているということをしっかり自覚して、今年後半から来年にかけてがんばりぬく必要があります。

集団的自衛権――秋のたたかいで攻めに攻め「閣議決定」を撤回に

 集団的自衛権の問題について言うと、7月1日に行使容認の「閣議決定」を強行したわけですが、「閣議決定」以降も批判の世論が広がっています。どんな世論調査でも5割から6割が反対という声をあげ、しかも調査ごとに反対の声が広がっています。共同通信の調査では、若い層の中でも反対の声が広がっています。安倍政権がどんなゴマカシをやっても、国民世論では健全な声が広がっていく。広島、長崎の平和式典にさいしては、被爆者から「断固反対」「撤回」の声が突き付けられました。そういう声が出されたときに、首相は「見解の違い」としか言えない。ここにも追いつめられた状況があらわれています。

 国民の怒りの広がりを前にして、安倍政権は、「閣議決定」を具体化する法案の提出については、来年に先送りし、怒りの「沈静化」を待つという作戦です。これはいわば逃げの姿勢であるわけですが、相手が逃げるというのなら、この秋のたたかいで攻めに攻め、「閣議決定」撤回の世論を圧倒的なものにしていくことが必要です。

 集団的自衛権行使の本質が「海外で戦争する国」づくりにあることを広く明らかにしていく。集団的自衛権の行使を前提に、日米が肩を並べて戦争する軍事計画をつくる「日米ガイドライン」見直しに断固反対するたたかいも重要です。自衛隊を「海外で戦争する軍隊」につくり変えるための5兆円を超える軍拡予算を許さないたたかいも重要になってきます。相手がこの問題で国民の怒りを何とかやり過ごそうとするのに対して、「攻めの姿勢」で大攻勢をかけるべき時期が、この秋から来年にかけての時期になってくると思います。

消費税増税の打撃が日本経済に――増税路線ストップのたたかいを

 暮らしと経済の問題では、私は、現在の日本経済の大問題は、4月の消費税増税の打撃が経済にはっきり表れてきたということにあると思います。「経済の好循環」どころか悪循環の危険水域にはっきり入ってきたということが言えます。

 4~6月期の国内総生産(GDP)が年率換算でマイナス6・8%と出ました。なぜここまで下がったかといったら、家計消費が年率換算でマイナス18・7%という空前に近い落ち込みをした。なぜ消費が落ち込んでいるかといえば、勤労者の実質賃金が4月、5月、6月と前年比でマイナス3%以上も減っている。実質所得が減り、消費が落ち込み、GDPが落ち込むという典型的な増税不況がはじまるという事態に立ち至っているのです。

 ではその時に安倍政権に何か方策があるかというと、ないわけです。「成長戦略」ということで「企業の稼ぐ力」を増やすという掛け声でいろいろとメニューを出していますが、そうした「トリクルダウン」(おこぼれ経済学)はすでに失敗し、今の事態を招いているわけで、方策なしなのです。

 そうした経済情勢の下で、消費税10%でいいのかという問題が、今年秋から年末にかけて、国政の大争点になります。

 これは私たちが争点にするだけでなくて、支配勢力の中でも「このまま増税して大丈夫か」という声があれだけ上がっているわけですから、ここでも私たちが大いに攻めに攻めて、世論をつくり、相手を追いつめ、増税路線をストップさせていくという「攻めの姿勢」での大闘争が必要です。

原発問題――国民の世論と運動が相手を追いつめている

 原発の問題でも、先日、国会前大集会がありまして、7千人が集まってたいへんに意気さかんでした。そこでも訴えたのですが、この問題でも国民の世論と運動が相手を追いつめているということが言えるわけです。

 今年は「稼働原発ゼロ」の夏になったわけですが、これは、1966年7月に最初の商業原発が稼働してから数えると、実に48年ぶりの出来事です。安倍政権は、なんとか原発ゼロの夏は避けたかった。夏の前に再稼働させたかった。しかし、できなかった。ここには、国民の世論と運動の力が働いている。その力で、「稼働原発ゼロ」の夏となった。相手を追いつめている状況をつくり出している。

 それから、大飯原発運転差し止めを命じた福井地裁の判決(5月21日)に続いて、避難中に自ら死を選んだ女性への賠償命令を下した福島地裁の判決(8月26日)は、たいへん重要な判決となりました。避難を強いられて家族がバラバラにされる。地域のコミュニティーもバラバラにされる。そういうもとで多大なストレスにさらされた。原発事故と自殺との因果関係をはっきり認めました。

 この二つの判決というのは、根本的に言えば、「人類と原発は共存できない」ということを示すものとなったと思います。

 こうして原発固執路線、再稼働暴走路線は大きな矛盾に直面している。ここでも大いに相手を攻めに攻める時だと思います。

沖縄問題――「県民の怒りの天井が抜けた」

 さらに沖縄の問題を言いますと、強権をもって新基地建設を進める政治が、県民の怒りの火に油を注いでいます。赤嶺政賢衆院議員は「県民の怒りの天井が抜けた」と言いましたが、まさにそういう事態が沖縄では進行しています。

 いま沖縄では二つの歴史的記憶が共通して言われているといいます。一つは、「60年前の銃剣とブルドーザーによる土地強奪を思い出す」。もう一つは、「69年前の沖縄戦で、米艦隊が海を埋め尽くしたのと同じ光景が、海上保安庁によってつくられている」。この二つの歴史的記憶、沖縄県民の心の痛みをえぐるような暴挙を日本政府がやっている。これに対する怒りが沸騰して、限界点を超えている状況です。

 先日、琉球新報などが世論調査をやったら、現在の強権的な基地建設に反対と答えた人が80%を超えた。安倍政権の強権姿勢への不支持が81%を超えた。8割を超えるというのは、世論調査では「絶対多数」です。県民全体が声をそろえて言っているという状況になっているわけです。

 そういうもとで知事選がせまっているわけですけれども、この知事選はもとより大激戦となるでしょう。ただ、この知事選に勝利することができれば、政府のもくろみは根底からひっくり返ることになります。それは沖縄から日本の政治に対して巨大な衝撃をもたらすという事態になるでしょう。これは何としても勝ちたい。「オール沖縄」の声を総結集し、全国の力を結集して、勝利のためにがんばりぬきたいと思います。これも、まさにたたかいは文字通りの正念場、攻めどころになっています。

 こうして、記念講演で提起した四つのテーマそれぞれで、相手の側が、大局的には追いつめられている。そういうもとで、日本共産党が、「攻めの姿勢」に立って、国民の中に打って出て、情勢を切り開く変革者としての立場でがんばれるかどうかが、いま問われています。いっせい地方選挙勝利を正面に立てながら、宣伝でも対話でも支持拡大でも、そして党勢拡大でも、そういう「攻めの姿勢」に立ってがんばりぬく必要があると、発言を聞いて本当に感じました。

政党関係――安倍「亡国政治」への怒りを託せる唯一の党

 「攻めの姿勢」ということは、政党関係でもいえることです。

 安倍「亡国政治」のもとで、またその「亡国政治」と国民との矛盾が激化するもとで、国民の怒りや不安を託すことができる政党は日本共産党しかなくなっていることは、発言でもこもごも語られました。

 民主党が、対抗する足場を持たず、いっせい地方選挙でも各地で名前を隠して活動するような状況もあることが報告されました。

 「第三極」といわれてきた勢力のちょう落ぶりも、各地から報告がありました。この勢力は、ちょうど前回のいっせい地方選挙時が最盛期でした。維新の会、減税日本、みんなの党などは、この時期が最盛期でした。それがすっかり“賞味期限”が切れて、四分五裂となっている。減税日本は九つに分裂しているという報告もありました。

 そういう政党状況のなかで、安倍「亡国政治」への怒りや不安を託せるのは日本共産党しかないというのが、今の情勢の特徴ですし、政党間の力関係、組み合わせという点で見ても、躍進の条件が目の前に広がっているのです。その条件を現実のものとするためには、選挙勝利の独自の活動でも、そして何といっても党勢拡大で、「攻めの姿勢」での活動を貫けるかどうかにかかっています。ここを肝に銘じて奮闘したい。

「攻めの姿勢」を確立し、前進のための具体的手だてを

 いっせい地方選挙で勝利するためには、また、党勢拡大で前進するためには、そのための独自の手だてが必要になってきます。その点では、8月の活動には弱点もあった。それも教訓にして、この9月には、党勢拡大をはじめとする具体的諸課題で、必ず前進に転じるための手だてをとりきる必要があります。

 あらゆる活動をすすめるうえで、情勢にのぞむ根本姿勢が大切です。どの問題に対しても、「攻めの姿勢」を貫くということが大切になっている。それは8月に前進した地区委員会に共通する教訓でもある。そのことを、発言を聞いて感じました。

幹部会決議の全面実践、党員拡大を「根幹」にすえて

 方針は明確です。8月の幹部会決議の全面実践をすすめたい。

 一言だけ、付け加えますと、発言を聞いても、やはり党員拡大を党勢拡大の「根幹」にすえることを、大方針としてしっかり貫くことが大切だと思います。この間の「躍進月間」の取り組みをふりかえってみても、さらに党創立90周年をめざす「党勢拡大大運動」の経験をふりかえってみても、党員拡大を本格的に「根幹」にすえ、本腰を入れて取り組んだ時には、例外なく、「しんぶん赤旗」の読者拡大でも前進しているわけです。党員拡大を「根幹」という大方針を月はじめからしっかりすえ、それと一体に読者拡大での前進のための独自の手だてをとっていきたい。

 9月から大きな前進に転じられるよう、知恵と力をつくしてがんばりぬきましょう。