志位和夫 日本共産党

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演説・あいさつ

2015年11月7日(土)

『検証安倍談話』出版記念会

志位委員長のあいさつ


 日本共産党の志位和夫委員長は5日夜、「村山首相談話を継承し発展させる会」が憲政記念館(東京都千代田区)で開いた『検証安倍談話 戦後七〇年 村山談話の歴史的意義』出版記念会に出席し、野党各党や各界代表とともにあいさつしました。あいさつの要旨は次の通りです。


訪韓で感じた「村山談話」の国際的意義

写真

(写真)あいさつする志位和夫委員長=5日、憲政記念館

 日本共産党の志位和夫でございます。一言ごあいさつを申し上げます。

 私は、先月、韓国・ソウルの建国大学から招待を受けて、「戦後70年 北東アジアの平和」というテーマで講演をする機会がありました。日韓関係について、戦前、戦後、未来という三つの角度からお話をいたしました。そのさいに「村山談話」が日本とアジア諸国との和解と友好のうえできわめて大きな役割を果たしてきたことをあらためて痛感いたしました。

 たとえば「植民地支配」の問題です。日本政府が「植民地支配」という言葉を用いて謝罪したのは、「村山談話」が初めてだと思います。この「村山談話」の内容は、1998年の小渕恵三首相と金大中大統領の「日韓パートナーシップ宣言」に受け継がれ、「日本が韓国に植民地支配を行ったことへの痛切な反省とお詫(わ)び」が明記されました。韓国でもあらためて痛感したことですが、この「宣言」は、日韓両国の歴史問題での合意文書としては最高の到達を示したものとされています。

 このように「村山談話」は、それが安倍内閣までは、歴代内閣の公式見解として踏襲されてきたのみならず、日韓、日中、日朝間の政府合意文書にも取り入れられ、国際的合意文書となっています。これを継承し、発展させることは、日本政府の国際的責任であり、そうしてこそ、アジア諸国との本当の和解と友好の道は開かれると考えるものです。

「安倍談話」――歴史への無反省を欺瞞の言葉でくるんだ「見本」

 「安倍談話」については、「植民地支配」「侵略」「反省」「お詫び」などの言葉がちりばめられていますが、一体だれが「植民地支配」「侵略」をやったのか、主語がありません。一体だれが「反省」「お詫び」をしたのか、過去の歴代内閣がやったことを引用しているだけで、安倍首相自身の言葉ではありません。事実上、「村山談話」を投げ捨てるにひとしいものといわなければなりません。

 私が、とりわけ強い憤りをもって聞いたのは、「日露戦争が、植民地支配のもとにあった、多くのアジアやアフリカの人々を勇気づけました」という一節です。日露戦争とは、何よりも韓国植民地化戦争でした。この戦争によって日本は韓国への覇権を手に入れ、不法・不当な韓国併合に突き進みました。いったいこの戦争が、韓国の人々にどういう「勇気」をあたえたというのか。韓国は「アジア・アフリカ」に入らないとでもいうのか。あからさまな植民地支配正当化論を許すわけにいきません。

 「安倍談話」は、歴史の検証に到底耐えうるものではありません。もしも歴史に残るとしたら、歴史への無反省を欺瞞(ぎまん)の言葉でくるんだ「見本」としてでしかないでしょう。このような談話で「村山談話」を「上書き」することは決してできません。

戦争法廃止の「国民連合政府」を実らせるために

 最後に、安保法=戦争法の強行のもとで、私たちは、「提案」を発表し、この違憲立法は廃止しなければならない、そのために「国民連合政府」をつくろう、野党は選挙協力を行おうということをよびかけています。私は、この方向は、「平和の理念と民主主義」をうたった「村山談話」の精神にも合致していると信じています。ぜひ実らせるために力をつくしたいと決意しております。(拍手)