志位和夫 日本共産党

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演説・あいさつ

2017年4月30日(日)

沖縄の基地問題は、日本のあり方が問われる大問題

全国の連帯したたたかいをよびかける

4・29沖縄連帯のつどい 志位委員長の報告


 29日に全国革新懇などが東京都内で開いた「沖縄連帯のつどい」で、日本共産党の志位和夫委員長が行った報告は次の通りです。


写真

(写真)政党報告をする志位和夫委員長

 みなさん、こんにちは(「こんにちは」の声)。日本共産党の志位和夫でございます(拍手)。私は、沖縄でたたかっている仲間のみなさん、沖縄のたたかいに連帯して全国でたたかっている仲間のみなさんに、心からの敬意をこめて、連帯のあいさつを送ります。(大きな拍手)

「勝つ方法はあきらめないこと」――沖縄県民の決意に全国が連帯してたたかおう

 安倍政権は、25日、名護市辺野古の新基地建設にむけた護岸工事に着手しました。私は、まず、この無法に対して、みなさんとともに強い憤りをもって抗議するとともに、違法な工事をただちに中止することを強く求めるものです。(大きな拍手)

 沖縄でたたかっているみなさんから二つの声が聞こえてきます。一つは、「決してあきらめない」という決意です。もう一つは、「決して海が後戻りできない状況になったわけではない。これからが正念場だ」という、これも決意であります。

 私は、3月上旬、3日間かけて沖縄を訪問し、辺野古のテント村にうかがい、美しいサンゴの海を視察し、稲嶺名護市長、翁長県知事と会談する機会がありました。辺野古のテント村には、「勝つ方法はあきらめないこと」と書かれた看板が掲げられていました。名護市内のあちこちで同じ看板が見られました。私は、これが県民のたたかいの合言葉になっていることを、強い感動をもって受け止めました。

 沖縄県民の繰り返しの選挙による「ノー」の審判に追い詰められた安倍政権がすがっている作戦は、ともかく工事をすすめ既成事実をつくれば、県民はあきらめるだろう。この一点にかけた卑劣な打算です。それに対する沖縄県民の回答は「勝つ方法はあきらめないこと」。私は、沖縄県民があきらめない限り、新基地は決してつくれないと思います(拍手)。万万万が一、基地をつくったとしてもそんな基地を維持することはできません。(「そうだ」の声、大きな拍手)

 琉球新報の社長の富田詢一さんが、今年2月、「全国革新懇ニュース」でインタビューにこたえて次のように語っています。

 「翁長知事は、辺野古に新基地は絶対に造らせないし、造れないと繰り返し言っています。私もそう思います。さらにいうなら万が一、強行されたとしても、それで終わらないのです。高江でもオスプレイの配備撤回を求めて声をあげ続けています。押し付けられた基地は日本政府と米軍の横暴の象徴、人権蹂躙(じゅうりん)の象徴、民主主義と自治の圧殺の象徴としてあり続けるのです。そんな基地はいつまでも持ちません。政府が辺野古の海に砂利を入れ、埋め立てたとしても沖縄人の魂までを水底に沈めることはできない(拍手)。何十年かかってもあきらめない。それが沖縄県民のたたかいです」(拍手)

 「勝つ方法はあきらめないこと」。私は、この合言葉のなかに、歴史の試練を経た沖縄県民のたたかいの強さ、不屈さを感じます。

 みなさん。翁長知事、稲嶺市長を先頭とした沖縄県民の決意に、全国が連帯したたたかいを起こそうではありませんか。(大きな拍手)

問われているのは、日本の民主主義、地方自治、法治主義

 みなさん。沖縄の基地問題は、もとより沖縄だけの問題ではありません。日本という国のあり方が問われる大問題であり、すべての日本国民にとっての大問題です。私は、そのことを三つの角度から訴えたいと思います。

 第一は、問われているのは、日本という国の民主主義だということです。

 4月25日、朝日新聞、沖縄タイムス、琉球朝日放送の3社合同世論調査の結果が発表されました。普天間飛行場の辺野古への移設は、「反対」が61%、「賛成」が23%。埋め立てを始めようとしている安倍政権の姿勢について「妥当ではない」が65%、「妥当だ」は23%にとどまりました。この結果について、沖縄タイムスは社説で、「県知事選、名護市長選、衆院選、参院選で示された辺野古反対の民意は、一点の曇りもなく明白だ」(拍手)とのべました。

 これまで安倍政権は、「抑止力のため」「負担軽減のため」など、あらゆるごまかしを弄(ろう)して新基地建設を押し付けようとしてきましたが、沖縄県民を「説得」することも、その「理解」を得ることもついにできなかったのであります。これは安倍政権にとっての大きな敗北にほかならないと、私は考えます。(拍手)

 にもかかわらず、繰り返し突き付けられた圧倒的な民意を踏みつけにして、新基地建設にしがみつく。このようなことが民主主義の国で許されるでしょうか。許される道理はありません(拍手)。民主主義も地方自治も破壊する暴挙というほかありません。(「そうだ」の声、拍手)

 そのうえ法治国家では許されない違法行為が横行しています。沖縄県が政府に出した岩礁破砕許可の期限は3月末に切れています。政府は無許可で工事を強行したのであります。運転免許の期限が切れているのに車をのりまわしたら、違法な無免許運転です。それと同じ無免許工事を政府がやるとは言語道断ではありませんか。(拍手)

 政府は、「辺野古漁協が漁業権を放棄したから岩礁破砕許可の更新は必要ない」といいますが、そういう場合にも漁業権が消滅するわけではないという立場を、30年以上もとってきたのは政府自身ではありませんか。自分自身の長年にわたる見解を平気で覆し、新基地建設に突き進む。法治主義の乱暴な破壊そのものではありませんか。

 沖縄で問われているのは、日本という国の民主主義であり、地方自治であり、法治主義そのものであります。それを国家権力による無法な破壊から守ることは、日本国民すべての問題であることを、私は、心から訴えたいと思うのであります。(大きな拍手)

基地があるがゆえの人権蹂躙を一掃し、個人の尊厳を擁護しよう

 第二に、いま、沖縄で問われているのは、日本国憲法が保障した個人の尊厳そのものだということです。

 昨年4月28日、元米海兵隊員の軍属によって女性暴行殺害事件が引き起こされました。悲しみと怒りが島を覆いました。6月、6万5千人が集って行われた抗議の県民大会で、被害女性と同世代の若い女性――玉城愛さんは、声を震わせて訴えました。

 「同じ世代の女性の命が奪われる。もしかしたら、私だったかもしれない。私の友人だったかもしれない。信頼している社会に裏切られる。何かわからないものが私をつぶそうとしている感覚は、絶対に忘れません。生きる尊厳と生きる時間が、軍隊によって否定される。命を奪うことが正当化される。こんなばかばかしい社会を、誰がつくったの」。そして訴えをこう結びました。「もう絶対に繰り返さない。沖縄から人間の生きる時間、人間の生きる時間の価値、命には深くて誇るべき価値があるのだという沖縄の精神を、声高々と上げていきましょう」

 沖縄の人々が何よりも求めているのは、人間らしく尊厳をもって生きることであり、命には深くて誇るべき価値があるという「命(ぬち)どぅ宝」ということだと思います。(拍手)

 今年は日本国憲法施行70年、沖縄を本土から切り離したサンフランシスコ講和条約の発効から65年、沖縄の施政権返還から45年の節目の年です。苛酷な米軍統治下で、人権と財産を奪われ、虫けらのように扱われた沖縄県民が祖国復帰にあたって希求したのは、人間の尊厳の回復ということでした。

 1971年、当時の琉球政府・屋良(やら)主席は、県民が望む復帰の姿を訴えようと「復帰措置に関する建議書」という歴史的文書をまとめています。「建議書」では、「異民族による軍事優先政策の下で、政治的諸権利がいちじるしく制限され、基本的人権すら侵害されてきた」ことを告発し、次のように訴えています。

 「県民が復帰を願った心情には、結局は国の平和憲法の下で基本的人権の保障を願望していたからに外なりません」「復帰に当っては、やはり従来通りの基地の島としてではなく、基地のない平和の島としての復帰を強く望んでおります」

 基本的人権の保障と、基地のない平和の島――これが、沖縄県民が強く求めた復帰の原点だったと思います。

 ところが、米軍基地の重圧は続き、相次ぐ事件・事故による人権侵害が続いています。1972年に沖縄が日本に復帰してから2015年までの43年間の米軍関係者による犯罪検挙件数は5896件。うち、殺人、強盗、強姦(ごうかん)などの凶悪犯罪は、表に出ているものだけでも574件も発生しています。

 日本国憲法第13条は、「すべて国民は、個人として尊重される」とのべ、生命、自由、幸福追求の権利を保障しています。憲法が保障するこの根源的権利は、憲法が「すべて国民は」とのべているとおり、決して例外があってはなりません(拍手)。いまなお続いている米軍基地があるがゆえの人権蹂躙を一掃し、個人の尊厳を擁護することは、すべての日本国民にとっての課題であるということを、私は、強く訴えたいのであります。(大きな拍手)

「沖縄の新基地を許さないことは、アジアの平和につながっている」

 第三に、沖縄における基地強化は、全国の基地強化と一体のものであります。

 オスプレイは日本全国の重大問題です。沖縄に配備されているオスプレイは、横田、厚木、キャンプ富士、岩国などに飛来し、訓練を繰り返しています。3月には、普天間基地配備のオスプレイ6機が、横田基地に半月以上にわたって居座り、群馬県の相馬原演習場、新潟県の関山演習場で、陸上自衛隊との共同演習を行い、東富士演習場で離着陸訓練を行いました。全国六つの低空飛行ルートで、年間330回もの訓練が計画されていますが、このルート下にある自治体は、21県、約140市町村に及びます。

 そしてやはりオスプレイは危険な軍用機でした。米海兵隊は、MV22オスプレイについて、10万飛行時間当たりの重大事故率が、最近5年間は3・44件となり、海兵隊の全航空機の平均2・66件を大きく上回ったことを明らかにしました。「オスプレイは安全」という政府の説明は崩壊しました(「そうだ」の声)。危険きわまりないオスプレイは、沖縄からも本土からもただちに撤去せよ(拍手)――全国の連帯したたたかいを発展させようではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)

 沖縄・本土一体の基地強化は何のためでしょうか。日本の防衛とは何の関係もありません。海兵隊の海外への「殴り込み」機能を強化するためのものにほかなりません。辺野古のたたかいの現場から、「沖縄の新基地を許さないことは、アジアの平和につながっている」という訴えが聞こえてきます。その通りだと思います。

 辺野古の新基地を許さないたたかいは、日本を米国の戦争の拠点から、アジアの平和の拠点へと変えていくことにもつながっています。みなさん。このたたかいは、アジアと世界の平和をきずく大義あるたたかいです。そこに確信をもってがんばりぬこうではありませんか。(大きな拍手)

野党と市民の共闘の発展は、沖縄問題の解決にとっても大きな展望を開く

 最後に、野党と市民の共闘を発展させることは、沖縄問題を解決するうえでも大きな展望を開くものとなります。これを必ず成功させる決意を申し上げたいと思います。(大きな拍手)

 もともと、この共闘の源流は、2014年、名護市長選、県知事選、総選挙で歴史的勝利を勝ち取った「オール沖縄」のたたかいにあります。私たちは、「オール沖縄」のたたかいから、保守と革新が立場の違いをこえ、また互いの違いを尊重しあい、相互に敬意をもって、リスペクトの精神で、国民的大義のもとに連帯してたたかうことの大切さを学び、全国の野党と市民の共闘を発展させてきました。

 野党と市民の共闘は、「安保法制廃止、立憲主義回復」を土台として発展してきましたが、私たちは、沖縄問題についても、昨年の4野党の党首会談で、「沖縄問題など、国民の声に耳を傾けない強権政治を許さない」ことを確認しました。先日、4月26日の4野党の書記局長・幹事長会談では、辺野古の新基地建設について、「沖縄の民意を踏みにじって強引に進める政府の姿勢に反対する」ことを確認しました(大きな拍手)。大切な確認となったと思います。沖縄問題でも、4野党の一致点をさらに豊かに発展させるために力をつくすことをお約束したいと思います。(大きな拍手)

 来たるべき総選挙で、野党と市民の共闘を成功させて、安倍政権を退陣に追い込み、野党連合政権への道をひらく。そうした新しい政治の流れをつくることができれば、沖縄問題の解決にとっても大きな展望が開けてきます。そのために力をつくす決意を表明して発言といたします。

 みなさん。沖縄のようにたたかいましょう(拍手)。ともにがんばりましょう。(大きな拍手)