志位和夫 日本共産党

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演説・あいさつ

2023年4月3日(月)

憲法9条を持つ国として外交の力で日中を平和と友好の関係に

志位委員長が訴え


 日本共産党の志位和夫委員長が1日の横浜と川崎両市で行った演説で、3月30日に日中両政府に申し入れた提言「日中両国関係の前向きの打開のために」について話した内容は次の通りです。


 ここで一つお話ししたいのは、日本と中国の関係で、どうやったら平和と友好の関係を確かなものにしていくことができるか。日本共産党は一昨日、日中両政府に対する提言を行い、岸田総理と会談いたしました。そのご報告をさせていただきたいと思います。

 日中の関係は歴史的にも深い関係があり、経済的にも、人的交流でも、密接な関係にあり、両国の友好を願わない方はいないと思うのです。

 ただ現状は、いろいろな紛争や緊張や対立がある。どうしたらこの現状を前向きに打開して平和と友好を確かなものにすることができるか―。私たちは、いろいろな角度から検討を重ねてきましたが、実は日中両政府の間には、現状の打開のうえで重要な意義をもつ、共通する立場が三つの点であります。それならばそれに着目して、それを生かした外交で前に進もうというのが私たちの提案なのです。

「日中は互いに脅威とならない」 

 具体的に申しますと第一に、日中両政府は2008年の日中首脳会談でこういう合意を確認しています。「双方は、互いに協力のパートナーであり、互いに脅威とならない」

 「互いに脅威とならない」。これはいいじゃないですか(拍手)。だったら、脅威になるようなことを日本もしないし、中国もしない。軍事対軍事を双方とも慎む。そして平和と友好の方向に進むための外交こそとりくむべきではないでしょうか。(拍手)

 私は、岸田首相との会談で日中のこの合意についてお話ししたところ、首相は、「大事な合意です。日本政府としては現在でも維持しています」と明言しました。ならば「脅威とならない」ようにお互いに努力することが必要ではないでしょうか。(拍手)

尖閣問題――「対話と協議で」

 第二は、尖閣諸島の問題です。この問題では、日本共産党は日本の尖閣諸島の領有の正当性は歴史的にも国際法上も明らかだということを詳しく解明する見解をだしております。同時に、その解決方法は、力ずくでやっていくことには反対です。力を背景にした現状変更の動きに強く反対しています。外交交渉で解決すべきだということを一貫して主張してきました。

 この点でも、実は、2014年に、日中両政府の間で大事な合意があります。尖閣諸島など東シナ海の緊張状態を「対話と協議」を通じて解決するという合意があるのです。これもいいじゃないですか。これが日中の合意になっているのだから、ここでもお互いに情勢を悪化させるような行動をとらないで「対話と協議」で解決すべきです。私はそれを具体化する外交努力を強く求めたいと思います。(拍手)

「ASEANインド太平洋構想」(AOIP)への支持 

 第三に、もう一つ大事な一致点があります。さきほど、ASEAN(東南アジア諸国連合)が呼びかけている「ASEANインド太平洋構想」――AOIPの重要性をお話ししました。あれこれの国を排除するのではなくて、地域のすべての国を包み込む――包摂する平和の枠組みを発展させて、東アジアを戦争の心配のない平和な地域にしようという構想ですが、実は、日本政府も中国政府もAOIPに対して賛成と言っているのです。一昨日、岸田首相と会談したさいにも、首相は「日本政府はAOIPを支持しています。大事な考え方です」と明言しました。

 日本も中国も、ASEANのこの構想に賛成なのです。だったらASEANと協力して、「ASEANインド太平洋構想」――AOIPを推進し、東アジアを戦争の心配のない平和な地域にするために、日中協力して外交活動を進めるべきではないでしょうか。(拍手)

 この3点を提案したのですが、いかがでしょうか。(拍手)

 この3点は、日中両政府ですでに合意した内容、あるいは共通して表明している内容です。ですから、両国政府にとって受け入れ可能であり、同時に、それを実行するならば実効あるものとなる。このように考えるものであります。

外交の力で東アジアの平和を 

 私が、この提言を説明したところ、岸田首相もうなずきながら聞き、最後にこう応じました。「重要な課題を指摘していただき、ありがとうございます。よく読ませていただき、建設的で安定的な日中関係をつくるための外交にとりくんでいきます」

 外交にとりくむと約束した。ならば本気でそれにとりくんでもらおうじゃないですか(拍手)。軍事じゃなく外交でやってもらおうじゃないですか(拍手)。外交の力で、憲法9条を持っている国なのですから、日本の平和を確保していく、東アジアの平和をつくっていく。そのとりくみに本腰を入れることを求めていこうではありませんか。(拍手)