志位和夫 日本共産党

力をあわせて一緒に政治を変えましょう

党の会議での報告

2023年10月6日(金)

第9回中央委員会総会 志位委員長のあいさつ


 日本共産党の志位和夫委員長が5日、第9回中央委員会総会の冒頭に行ったあいさつは次の通りです。


写真

(写真)あいさつする志位和夫委員長=5日、党本部

 中央役員のみなさん、全国のみなさん、こんにちは。連日のご奮闘に心からの敬意と連帯のメッセージを送ります。私は、幹部会を代表してあいさつを行います。

 第9回中央委員会総会の任務は、8中総決定にもとづいてとりくんできた「第29回党大会成功、総選挙躍進をめざす党勢拡大・世代的継承の大運動」を、文字通りの全支部運動、全党員運動に発展させ、「130%の党」という目標を達成するための全党の深い意思統一をはかることにあります。そのために9中総として、全国の支部・グループのみなさんにあてて総決起を訴える「第二の手紙」を送ることを提案したいと思います。

 私のあいさつでは、8中総決定を前提にして、内外情勢と日本共産党の値打ち、「大運動」の到達点と強化方向について、若干の点をのべ、第29回党大会の招集についての提案を行います。

「経済再生プラン」――岸田政権の「経済無策」と対照をなす先駆的提案

 まず、内外情勢と日本共産党の値打ちについて、8中総以降の動きにかかわって、いくつかの点をのべます。

 内政でも外交でも、岸田政権の政治的行き詰まりはいよいよ深刻であり、国民の不信と怒りが渦巻いています。こうしたもとで、異常な対米従属と財界中心という日本の政治の二つのゆがみを「もとから変える」――日本共産党の値打ちが光っています。来たるべき総選挙での躍進にむけ、また「大運動」の推進のうえでも、その値打ちを深くつかみ、国民に希望を届ける活動にとりくみたいと思います。

 内政にかかわって、日本共産党が9月28日に発表した「経済再生プラン」は、「失われた30年」を打開し、暮らしに希望を届ける抜本的改革の道を明らかにした、わが党ならではの先駆的かつ現実的提案であります。

 なぜ物価高騰のもとでこうも暮らしが苦しいのか。「経済再生プラン」は、物価高騰に暮らしの悲鳴があがっている根本に、長期にわたって賃金が上がらない、重すぎる税金と貧しすぎる社会保障・教育、食料とエネルギーが自給できないという、30年におよぶ経済停滞と暮らしの困難――「失われた30年」があることを告発しています。そして、それらをつくりだしたのが、財界の目先の利益最優先の政治であることを明らかにし、三つの柱で経済政策の抜本的転換の提案を行っています。

 第一は、政治の責任で賃上げと待遇改善をすすめる――人間を大切にする働き方への改革です。第二は、消費税減税、社会保障充実、教育費負担軽減――暮らしを支え格差をただす税・財政の改革です。第三は、気候危機の打開、エネルギーと食料自給率の向上――持続可能な経済社会への改革であります。

 この30年、日本経済が深刻な停滞と衰退のなかにあり、暮らしの困難が続いていることは、誰もが否定できない事実であります。この点では、岸田首相も、9月25日の経済対策についての会見で、「長年続いてきたコストカット型の経済」が、賃金や設備投資までコストカットの対象として削ってきたことで、「消費と投資の停滞」を招いてきたことを指摘し、「30年ぶりに歴史的転換を図る」と強調せざるを得ませんでした。ところが首相は、「コストカット経済」にしたのは誰か、責任はどこにあるのか、どうすればそこから抜け出すことができるのかについては、何一つ語ることはできませんでした。

 しかし、原因と責任がどこにあるかは明瞭であります。賃金コストの削減のために非正規雇用労働者を増やし続けてきた、社会保険料コストの削減のために年金・医療・介護の連続改悪を進めてきた、税コストの削減のために法人税を連続減税し、その穴埋めに消費税の連続増税を強行してきた――「コストカット経済」なるものは、財界の目先の利益最優先の自民党政治がつくりだしたものであり、その結果が「失われた30年」となったことは明らかではありませんか。

 日本共産党の「経済再生プラン」は、政治のこのゆがみを「もとから変える」立場にたってこそ、「失われた30年」から抜け出し、暮らしに希望がもてる日本をつくれることを、太く明らかにしています。それは「経済無策」の岸田政権と鮮やかな対照をなす、力ある先駆的提案であります。みなさん、この内容を大いに語り、その実現のための国民運動をあらゆる分野で大いに起こしていこうではありませんか。

日本共産党の外交政策こそ世界の本流にたったもの――二つの国際会議について

 安保・外交にかかわっては、岸田政権の進める敵基地攻撃能力保有と大軍拡の正体が、米国が主導し、先制攻撃を基本原則とする「統合防空ミサイル防衛」(IAMD)に参加するためのものであり、「日本を守る」という名目とは反対に、日本を危険にさらすものとなることが、政府の来年度予算概算要求などでも、いよいよ明らかになっています。この危険な暴走を許さないたたかいに全力をあげてとりくみたいと思います。

 同時に、私が、強調したいのは、日本共産党が訴えてきた国際的道理にたった外交によって平和を創造するという道こそが世界の本流であることが、この間の国際政治の動きをつうじても浮き彫りになっているということです。二つの国際会議に注目したいと思います。

 一つは、9月9日~10日にインドで行われたG20首脳会議であります。今年のG20首脳会議は、ウクライナ問題をめぐる厳しい対立を抱えながらも、困難と見られていた首脳宣言の発出にこぎつけました。G20首脳宣言は、ロシアに対する直接の名指しの批判は避けつつも、2022年と23年の2回の国連総会決議――ロシアの侵略を国連憲章違反と批判し、ロシア軍の即時無条件撤退を求め、世界の140カ国以上が賛成した国連総会決議を「再確認」すると明記し、国連憲章に沿ったとりくみの重要性を強調するものとなりました。インド、ブラジル、南アフリカをはじめとする新興国がイニシアチブを発揮してまとめあげた首脳宣言を、アメリカ、ロシアともに受け入れたのです。これは注目すべき出来事であります。

 日本共産党は、ウクライナ問題の解決の道として、「国連憲章を守れ」という一点で世界が団結することが何よりも重要であると一貫して主張するとともに、「民主主義対専制主義」などの図式で世界を二分する主張に対して、国際社会の団結に障害を持ち込むとして批判してきました。インドでのG20首脳会議の結果は、日本共産党の立場こそが国際政治の本流に立ったものであることを示すものとなりました。

 こうした動きの根底には、植民地体制の崩壊という20世紀の世界の構造変化の生きた力が働いていることを、私は、強調したいと思います。改定綱領が明らかにしているように、今日の世界は、一握りの大国が思いのままに動かせる世界ではなく、「グローバルサウス」とも呼ばれる新興国・途上国が、国際政治の有力なプレーヤーとなる世界となっているのであります。

 日本政府は、首脳宣言をつくる過程で「カヤの外」に置かれていたことが報じられましたが、これは日米同盟を「基軸」と絶対視する硬直した立場にしがみついていては、世界のダイナミックな動きに対応できないことを示すものにほかなりません。

 いま一つは、9月5日~7日、インドネシアで開かれたASEAN(東南アジア諸国連合)首脳会議と東アジアサミット(EAS)で示された平和の国際秩序づくりの着実な前進であります。ASEANは今回の首脳会議で、米国、中国、韓国との間で「ASEANインド太平洋構想」(AOIP)協力に関する共同声明を採択し、これで東アジアサミットに参加するほとんどの国とAOIP協力を推進する共同声明を持つことになりました。さらに、東アジアサミット首脳声明に、「ASEANインド太平洋構想(AOIP)を主流化し実践するASEANのとりくみを支持する」ことが明記されたことは重要であります。

 AOIPは2019年のASEAN首脳会議で採択されたさいには構想だったものが、いまや関係諸国の合意をえて実践する事業となっているのであります。日本共産党は、AOIPの実現を共通の目標にすえ、東アジアを戦争の心配のない平和な地域にしていくための「外交ビジョン」を推進していくことを一貫して訴えてきましたが、この方向にこそ未来があることを、一連の動きははっきりと示しています。

 世界には厳しい対立、複雑な逆行も存在しますが、同時に、平和への希望ある流れの確かな広がりも生まれています。みなさん、日本共産党が提唱してきた外交政策が、世界の本流と響きあっていることに確信をもって、平和の対案を大いに訴えていこうではありませんか。

「大運動」の到達点――運動の飛躍をつくりだすための重要な土台を築いてきた

 「大運動」の到達点と強化方向についてのべます。

 8中総が呼びかけた「党勢拡大・世代的継承の大運動」は、折り返し地点を迎えました。その到達点をどうみるか。私たちの運動の到達点は、「130%の党」という目標にてらせば、大きな距離を残しています。同時に、この3カ月間のとりくみによって、党大会までの残り3カ月間の頑張りいかんでは運動の飛躍をつくりだすための重要な土台を築いてきたことを、みんなの共通の確信にして、ここで飛躍に転じることを訴えたいと思います。

 第一は、党建設の根幹である党員拡大で、ほぼ止まってしまっていた運動を起動させ、入党の働きかけの自覚化・日常化がはかられつつあることであります。

 全党の奮闘によって、3カ月間で2万1653人の方々に入党の働きかけを行い、1870人の新しい同志を党に迎えいれました。党員拡大運動は、党員現勢で毎月前進するという水準にいたっていませんが、働きかけ数でも、入党者数でも、「大運動」前の3倍~4倍の規模の運動に前進させてきたことは重要であります。全党のみなさんの奮闘に敬意と感謝をのべるとともに、新しく入党されたみなさんに対して、第9回中央委員会総会として、心からの歓迎のあいさつを送ります。

 「しんぶん赤旗」の読者拡大では、7月は日刊紙、日曜版とも前進をかちとりましたが、8月、9月は、わずかに届かない結果となりました。党勢拡大の根幹である党員拡大で前進をつくりながら、読者拡大でも前進をはかることは、突破すべき重要な課題となっています。

 8中総で「特別決議」を採択し、「ここから党の未来をつくっていく」と党の総力をあげたとりくみを呼びかけた青年・学生分野で、この間、新たな前進をつくりだしている民青同盟が、今年はさらに昨年の年間拡大数をすでに突破し、2000人の拡大目標を達成する流れをつくりだしていることは、大きな希望であります。

 第二は、8中総が支部からの「返事」に学んで提起した「六つの法則的活動」の方向を、中央と支部が双方向で学びあいながら、さらに開拓してきたことであります。

 この間、中央として、7月の「要求運動・車の両輪オンライン交流会」、8月の「若い世代・真ん中世代の地方議員の学習交流会」、9月の「職場支部学習・交流講座」、「全国都道府県・地区青年学生担当者会議」、「配達・集金・読者との結びつき交流会」などの一連の会議にとりくんできました。

 これらの会議にあたって、私たちが貫いてきた基本姿勢は、8中総決定の核心を深く学び、中央決定で確固とした団結をつくりだすとともに、中央と支部が双方向で学びあい、全国の支部が互いに学びあうなかで、ともに前進の道を見つけ出していこうというものでした。どの会議でも共通した特徴は、「明るさ」がはじけた会議になったことです。進んだ党組織からの経験が報告されるとともに、困難に直面している党組織からそれを打開して奮闘する決意が語られたことも感動を呼びました。

 一連の会議の成功は、すでに党勢拡大運動でも力を発揮しつつありますが、今後、「大運動」のとりくみを飛躍させるうえで、深いところから力を発揮する共通の財産となるし、またそうしていかなければならないと思います。「若い世代・真ん中世代の地方議員の学習・交流会」をはじめ、双方向での学びあいのとりくみは、都道府県段階でも大いにすすめていただくことを訴えるものです。

 第三は、党史『日本共産党の百年』と、党創立101周年記念講演が、党づくりのうえでも強力な推進力となりはじめていることであります。

 大分県・北部地区・別府市の南立石支部は、記念講演を、支部長を含む数人でリアルタイムで視聴し、「よし、やろう」とその場から党員拡大に踏み出す決意を固め、4~5年かけて信頼関係を深めてきた男性と入党懇談会を行い、党に迎えています。支部長の同志は、記念講演を視聴して、自身が18歳で就職した大手企業で党員としてさまざまな嫌がらせを受けながら、権利を主張するだけでなく仕事も誠実にとりくんできたこと、退職時に上司から「あなたの仕事への姿勢はすばらしい」と定年延長を言われたさい、「共産党員としての生き方を大切にしてこそ会社の利益にもなります」と語ったことも思い起こし、「自分の54年の党員人生と、どんな困難にも負けずに歩んできた党の百年史は相通じる。党員でよかった」と語り、この党を大きくする新たな決意を固めたと聞きました。

 私は、先日、鳥取県で行った対話集会で、「共産党の人は、どんな小さな悩みも親切に聞いてくれる。みなさん、苦労してきて、いろんなことを悩んで、それを乗り越えてきたからだ。それは共産党の100年の歴史と同じだと思う。苦労してきたから、それを乗り越えてきたから、人の痛みがわかる。そういう共産党に入って良かった」という発言を聞き、とても感動しました。

 『百年』史と記念講演が大きな感動を広げているのは、100年余の歴史で、この党を支えた誠実で勇気ある人間のたたかい――試練を乗り越えて成長する生きた人間のたたかいを描いているからだと思います。多くの同志が、党史を深く学ぶなかで、それを自身の党員人生と重ね合わせて、明日へのたたかいの新たな勇気を得ていることは、たいへんにうれしいことであります。

 『百年』史と記念講演の大学習運動にとりくみ、「大運動」の一大推進力にしていくことを心から訴えるものであります。

いまこそ「大運動」の飛躍を――支部・グループへの「第二の手紙」を力に

 全国のみなさん、いよいよ党大会まで3カ月です。

 いまこそ「大運動」の飛躍をつくりだすときであります。

 どうやって飛躍をつくるか。その最大のカギは、「大運動」を全支部、全党員の運動にしていくためにあらゆる知恵と力をそそぐことにあります。ここに徹したとりくみで必ずや飛躍をつくりだしていこうではありませんか。

 「大運動」で入党の働きかけに踏み出した支部は毎月約2割程度です。読者拡大で成果をあげた支部は毎月約2~3割程度です。半数以上の支部がこの運動に立ち上がれば大きな飛躍が起こります。全支部の運動にすれば目標達成の展望が一挙に見えてきます。支部のもつ自発的エネルギーにトコトン依拠し、全支部の運動にしていくために、ブレずに、うまずたゆまず力をそそぐことこそ、飛躍をつくる最大のカギであります。

 そのために、第9回中央委員会総会として、すべての支部・グループのみなさんにあてて、「大運動」への総決起を訴える「第二の手紙」を送ることを提案します。「第二の手紙」(案)では、直面する内外情勢と党の政治任務に照らしても、日本共産党の100年余の歴史的発展段階に照らしても、「130%の党」づくりを成功させることの意義が、いよいよ切実で重大なものとなっていることを踏み込んで解明しています。この間とりくんできた双方向・循環型のとりくみをさらに発展させるとともに、支部がさまざまな躊躇(ちゅうちょ)をのりこえて党勢拡大に「踏み切る」うえでその「背中を押す」内容になっています。そして7中総の「手紙」への「返事」を寄せてくれた支部に対して、「返事」に記された内容をともに実践していくとりくみを訴えるとともに、「返事」をまだ寄せるにいたっていない支部に対して、いまからでも「返事」を寄せていただき、この歴史的事業をともにとりくむことを心から呼びかけています。

 「第二の手紙」(案)の具体的内容は、小池書記局長・「大運動」推進本部長が提案します。9中総の英知を結集して、この手紙を仕上げ、全国1万7千の支部・グループにそれを発信し、お届けし、「第二の手紙」を力に、「大運動」をすべての支部・グループが参加する運動へと一挙にギアチェンジをはかっていくことを心から訴えるものであります。

党機関がどういうイニシアチブを発揮するか――三つの点について

 全支部、全党員の運動にしていくうえで、党機関がどういうイニシアチブを果たすか。私は、問題提起として三つの点を訴えたいと思います。ぜひ討論で深めていただきたい。

 その第一は、目標達成への決意と構えを繰り返し議論し、法則的活動の推進と一体に、拡大を推進していく独自の具体的手だてをとりきるということであります。

 福岡県では、「大運動」通算で1786人に入党を働きかけ、207人を党に迎え、大会時現勢回復まであと103人に迫っています。内田県委員長は、「一番重視したのは、なぜ130%の党づくりか、目標をやり抜く構えを、『手紙』に立ち返って何度も何度も議論し、固めていったことです。とりわけ党勢拡大が今日の階級闘争の焦点になっていることを明らかにし、『絶対に攻撃に負けられない』と繰り返し議論してきたことです」と語っています。こうした県委員会とその長の姿勢が、地区委員会に広がり、県党全体のものとなっていったとの報告であります。

 党機関の目標達成への決意と構え、具体的手だてがどうだったか。率直で自己分析的な議論を行い、深い決意を固めあう総会としていこうではありませんか。

 第二は、8中総決定と記念講演を深くつかみ、党の綱領と組織のあり方への攻撃を断固として打ち破り、「わが党に対する攻撃を前進の力に転化する」「党勢拡大こそ反共攻撃に対する最大の回答」という攻勢的立場で奮闘することであります。

 福岡県の経験はそのことがいかに重要かを教えています。

 東京・新宿地区委員会は、9月に3割をこえる支部が入党働きかけに踏み出し10人を党に迎えていますが、とりわけあいまいにしないように努力してきたのが、反共攻撃を打ち破る構えをつくることだったとの報告が寄せられています。党の組織のあり方、指導部のあり方にかかわる攻撃が党内にも一定の影響をおよぼしていることを直視し、繰り返しニュースを発行して8中総決定の核心を深く全体のものにし、攻撃を正面から打ち破る政治的な構えをつくってきたことが前進の決定的な力になったとのことであります。

 8中総決定の全党員の読了・徹底を引き続き最優先課題にすえ、どんな反共攻撃に対しても、ひるまず攻勢的に打ち破る構えをつくることは、現局面で党機関に求められるもっとも大切な仕事の一つであることを強調したいと思います。

 第三は、党機関の体制が弱いもとで、いかにして支部に指導と援助を届けるかという問題であります。

 私は、この間、いくつかの県を訪問して、党機関の同志と懇談する機会がありましたが、共通して出されたのは、「支部を援助する体制が弱い」といった悩みでした。ある県での懇談では、地区委員長の同志が、地方議員を兼任し、週5回の早朝配達にもとりくみ、専従の常任委員がいないという実情も語られました。

 こうした現状も少なくないもとで、全支部参加の運動をどうつくるか。総会での率直な討論をお願いしたいと思いますが、ここで強調したいのは、「支部は大きな力を持っている」ということに深い信頼をおいて、支部の意欲と力をいかにして引き出し、結集するかという立場でとりくみの開拓をはかることであります。

 京都・南地区委員会は、常勤者は地区委員長と出張所長のみですが、支部長会議を重視し、毎週さまざまな形で定期的に開催し、それが支部が学びあう場、生まれた変化を持ち寄る場になり、9月は32%の支部が入党の働きかけにふみ出し、6人を新しく党に迎えています。河合地区委員長は、「生きた実例ほど説得力をもつものはありません。そのために、毎週毎週、新しく党員を迎えた経験をつくり、それをみんなで学びあうことが、前進をつくる鉄則であり、地区委員長の仕事だと考えています。毎回の支部長会議で『新・綱領教室』を学習してきたことも、会議を楽しく元気の出るものにするうえで力となっています」と語っています。

 こうした活動ならば、地区の体制の弱いところでも、決意と工夫いかんではできるのではないでしょうか。党機関から支部に対してともに「大運動」を推進していこうとの真剣な提起を行うとともに、支部長会議など支部同士の交流と学びあいの機会をつくることで、支部の「踏み切り」を後押ししていくというとりくみも大切ではないでしょうか。

 「大運動」を全支部、全党員の運動にしていくための党機関のイニシアチブについても、この総会での率直な討論によって深めていただくことをお願いしたいと思います。

第29回党大会の招集と任務について

 最後に、第29回党大会の招集と任務について提案します。

 党規約にもとづき、招集の提案を行います。

 招集日は2024年1月15日(月)、会期は18日までの4日間とします。議題は、(1)大会決議と中央委員会報告、(2)新中央委員会の選出、(3)その他――とします。場所は伊豆学習会館であります。

 第28回党大会が決定した綱領一部改定、政治任務と党建設についての二つの決議は、この4年間、大きな生命力を発揮しています。来たるべき党大会での大会決議と中央委員会報告は、改定綱領が発揮している生命力を明らかにするとともに、党の政治任務と党建設という二つの大問題について、4年間の実践を踏まえて、新しい発展方向を打ち出すものとなるようにしたいと考えています。

 「長い経験と豊かな知恵をもつ試されずみの幹部」と「将来性のある若い新しい幹部」の結合というわが党の幹部政策の原則を踏まえて、新中央委員会と新指導部を選出していくことも、大会の重要な任務であります。

 一部に早期の解散・総選挙の可能性が取りざたされています。総選挙の方針は、すでに8中総決定で全面的に明らかにされており、候補者擁立の加速、予定候補者を先頭にしたとりくみの強化、大量宣伝の強化など、いついかなる時に解散が行われたとしても躍進をかちとるための準備を行うことが重要であります。わが党は、野党共闘の再構築のために可能な努力を払います。連携・協力の明確な意思が示されれば、前に進むことができることを強調しておきたいと思います。

 同時に、私が、何よりも強調したいのは、「大運動」を飛躍させることこそが、総選挙躍進のうえでも最大の力となるということであります。この点を揺るがずに貫くことを訴えたいと思います。

 第29回党大会は、100年を超える試練に耐えて路線と活動を発展させてきた日本共産党が、新たな躍進の時代を開くための歴史的大会となります。「大運動」の目標を総達成し、全党の力で大会を歴史的成功に導くことを心から訴えて、あいさつといたします。