志位和夫 日本共産党

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党の会議での報告

2023年11月14日(火)

日本共産党第10回中央委員会総会

志位委員長のあいさつ


 日本共産党の志位和夫委員長が13日開かれた第10回中央委員会総会の冒頭で行ったあいさつは次の通りです。


 みなさん、おはようございます。中央役員のみなさん、全国の同志のみなさんの連日のご奮闘にたいして、心からの敬意と連帯のメッセージを送ります。私は、幹部会を代表して、総会へのあいさつを行います。

第10回中央委員会総会の任務

写真

(写真)あいさつする志位和夫委員長=13日、党本部

 第10回中央委員会総会の主要な任務は、来年1月15日から開催される第29回党大会の決議案を提案することにあります。この間、常任幹部会として、田村智子副委員長を責任者として大会決議案起草委員会を設置し、大会決議案作成の作業にあたってきました。昨日の幹部会で常任幹部会が提案した大会決議案が審議され、修正のうえ決定されました。幹部会を代表しての大会決議案の提案報告は、田村副委員長が行います。

 党大会まで2カ月という時点で、「党勢拡大・世代的継承の大運動」の到達点と方針を明確にし、全国の経験を学びあって、目標総達成に向けて最後まで奮闘しぬくための固い意思統一をはかることも、この中央委員会の重要な任務であります。幹部会を代表しての「大運動」推進の訴えは、小池晃書記局長・「大運動」推進本部長が行います。

 この中央委員会総会が、大会決議案を中央委員会の英知を集めて練り上げ、発表し、全党討論の開始を呼びかけるという大仕事をやりとげるとともに、「大運動」成功のための突っ込んだ議論を行い、この運動の一大跳躍台となるよう、中央役員のみなさんの率直で活発な討論を心から訴えるものであります。

声明「ガザでのジェノサイドを許すな」にもとづくとりくみ

 緊急に国際社会が対応を迫られている問題について、一言述べておきたいと思います。

 イスラエルの大規模攻撃によって、パレスチナ・ガザ地区できわめて深刻な人道的危機が起こっています。日本共産党は、11月6日、声明「ガザでのジェノサイドを許すな――ガザ攻撃中止と即時停戦に向けての各国政府への要請」を発表し、各国政府と国際機関などに送付し、申し入れと懇談の活動を始めています。

 わが党がこうした行動をとったのは、ガザの人道的危機がジェノサイドの重大な危険という一刻の猶予も許されない事態に陥っていること、にもかかわらず日本政府が、米国の顔色をうかがい、イスラエルの国際法違反の無法行為を批判せず、国際社会の多数が求める「即時停戦」「休戦」に背を向ける情けない態度をとっているという現状を踏まえてのものであります。こうしたもとで、世界で最も進んだ恒久平和主義を明記した憲法を持つ国の一政党として、直接、国際社会に働きかける責任があると考えました。

 わが党の声明に対して、各国大使館、国連の人権部門、国際NGO、国内の専門家・知識人から、現在の危機の性格を的確に分析し、その歴史的背景を明らかにし、打開にむけた理性的な方策を示した内容だとして、歓迎と連帯の声が寄せられています。ある著名な知識人からは、わが党の声明に対して、「正しい歴史認識、正しい現状認識で、この世界的歴史的不幸を解決する唯一の道」を示しているとして「全面的に賛成」という評価も寄せられたことを報告しておきたいと思います。

 全国のみなさん。100年余の歴史を通じて、一貫して平和と人権を守り抜いてきた党として、ガザでのジェノサイドを止めるために、国内外であらゆる力を尽くす決意を、総会の意思として確認しようではありませんか。

改定綱領の生命力を明らかにし、綱領路線をさらに豊かに発展させる大会に

 みなさん。来たるべき第29回党大会は、日本と世界の進路にとって、またわが党の未来にとって、歴史的意義をもつ大会となります。

 私は、それを三つの角度から強調したいと思います。

 第一に、第28回党大会で行った綱領の一部改定が、この4年間の情勢の激動のもとで、どういう生命力を発揮しているかを明らかにし、綱領にもとづく世界論、日本改革論、未来社会論をさらに豊かに発展させる大会となるようにしたいと思います。

 この間、世界では、ロシアのウクライナ侵略と、パレスチナ・ガザ危機という二つの重大な逆流が起こりましたが、改定綱領に明記した「どんな国であれ覇権主義は許さない」「国連憲章にもとづく平和の国際秩序を築く」という立場は、わが党がこれらの逆流に的確に対応し、理性的な打開策を示す確かな土台となっています。

 また、改定綱領は、「植民地体制の崩壊と百を超える主権国家の誕生という、二〇世紀に起こった世界の構造変化は、二一世紀の今日、平和と社会進歩を促進する生きた力を発揮しはじめている」ことを明らかにしていますが、この4年間は、逆流との激しいせめぎあいのなかで、そうした「生きた力」がさまざまな形で発揮された4年間となりました。

 核兵器禁止条約の発効、東南アジア諸国連合(ASEAN)を中心とした平和の地域協力の前進、人権問題の前進と植民地支配・奴隷制の歴史的責任を明らかにする動きなど、複雑な逆流のなかでも、人類史を前に進める未来ある流れが発展しています。こうしたなかで、日本共産党が、綱領を力に、東アジアに平和を創出する「外交ビジョン」の提唱など、未来ある流れを促進する積極的役割を果たしていることは重要であります。

 また、改定綱領が、世界的規模での「ジェンダー平等を求める国際的潮流」の大きな発展に注目するとともに、「ジェンダー平等社会をつくる」ことを、「日本社会が必要とする民主的改革」の主要な項目の一つとして明記したことは、きわめて重要な意義をもつ改定となりました。それは、この4年間、国内外で、「女性の世界史的復権」とも呼べる歴史的な大激動が起こっているもとで、わが党が、この流れに連帯し、この流れを促進する役割を果たすうえで、大きな力を発揮しています。

 いま一つ、改定綱領は、「発達した資本主義国での社会変革は、社会主義・共産主義への大道」という命題を書き込み、人類が誰も歩んだことのないこの道の開拓が、はかりしれない豊かな可能性をもつことを明らかにしました。この改定は、「人間の自由で全面的な発展」を未来社会論の核心にすえた2004年の綱領改定を土台に、わが党綱領の未来社会の展望を、国民にさらに分かりやすく示していくうえで、重要な改定となっています。

 全国のみなさん。来たるべき党大会を、改定綱領の生命力、それにもとづく活動を全面的に明らかにし、私たちの綱領路線を豊かに発展させる大会にしていこうではありませんか。

直面する総選挙での躍進をはじめ日本共産党の反転攻勢の狼煙をあげていく大会に

 第二に、来たるべき党大会を、「アメリカいいなり」「財界中心」という二つのゆがみをもつ自民党政治と国民との矛盾が極限に達していることを明らかにするとともに、このゆがみに正面からメスを入れる日本改革の展望を、綱領を土台にして太く指し示し、直面する総選挙での躍進をはじめ日本共産党の反転攻勢の狼煙(のろし)をあげていく大会としていきたいと思います。

 岸田・自公政権への国民の批判と不信の声が日増しに高まり、政権末期に近い様相を呈しています。

 物価高騰のもとでの国民の生活苦になすすべがない「経済無策」、平和も暮らしも押しつぶしての大軍拡への暴走をはじめとする「問答無用」の政治にたいして、国民の怒りが集中していますが、これらは、岸田首相個人だけの問題ではありません。「アメリカいいなり」「財界中心」という古い政治にしがみついたままでは、外交でも経済でも日本政治のかじ取りを行うことがもはや不可能となっている――自民党政治が丸ごと深い矛盾と破綻に陥っていることをまざまざと示すものにほかなりません。

 こうした状況のもとで、外交でも、経済でも、国民が希望がもてる抜本的打開策を示している党は、日本共産党をおいて他にありません。

 来たるべき党大会では、わが党が、こうした希望ある提案を示すことのできる根本に、異常な対米従属・財界中心の政治を打破し、「国民が主人公」の日本をめざす綱領路線の生命力が脈打っていることを、全面的に明らかにし、新たな躍進の時代への道を開く大会にしていきたいと思います。

 わが党は、この4年間、前党大会の決定を踏まえ、「市民と野党の共闘」の成功、野党連合政権の実現に向けて、力いっぱいたたかってきました。私は、この挑戦は、「政治を変えたい」という国民の声にこたえた大義ある挑戦だったと確信するものであります。

 支配勢力の妨害や抵抗によって、共闘には困難も持ち込まれていますが、日本の政治を変える道は共闘しかないというわが党の立場にいささかも変わりはありません。党大会では、わが党が「市民と野党の共闘」の道に踏み出した2015年から今日までの8年余の中間総括に立って、今後の展望を明らかにしたいと思います。

 同時に、自民党政治の行き詰まりを打開し、日本の情勢を前向きに打開する最大の力となるのは、政治を「もとから変える」変革の党――日本共産党の躍進であり、総選挙では、その実現を最優先の課題とし、最大の力を集中したたたかいを展開します。

 総選挙に向けた方針では、共闘の再構築に可能な努力をはらいつつ、「比例を軸に」に徹し、いかにして日本共産党の躍進を実現するかを、前面に打ち出した方針を明らかにしていきたいと思います。

 全国のみなさん。来たるべき党大会を、日本共産党の「第四の躍進」に道を開く大会として、大成功させようではありませんか。

党勢の後退傾向にピリオドを打ち、新しい上げ潮に転ずる歴史的大会に

 第三に、来たるべき党大会を、長期にわたる党勢の後退傾向にピリオドを打ち、新しい党勢拡大の上げ潮へと転ずる、歴史的大会にしていきましょう。ここにこそ、第29回党大会の最大の歴史的意義、歴史的使命があるということを、私は強調したいと思います。

 そして、そうした歴史的大会にすることができるかどうかは、これから党大会までの2カ月間の「党勢拡大・世代的継承の大運動」にかかっていることを心から訴えたいと思います。

 今大会期の党建設の評価と教訓は、党大会までの全党の奮闘によって決まることになりますが、現時点で「前進をつくりだす足掛かり」としてみんなの確信にし、党大会にむけて大きく発展させていきたいこととして、二つの点を強調しておきたいと思います。

 第一は、双方向・循環型の活動の発展であります。

 今年1月の7中総は、全党の支部・グループにあてて「130%の党」をつくることを呼びかけた「手紙」を送り、半数以上の支部・グループから「返事」が寄せられています。それを踏まえて10月の9中総では、「第二の手紙」を送りましたが、この手紙もたいへん真剣に受け止められ、大きな威力を発揮し、「第二の手紙」を力にした前進が、全国各地の支部から広がりつつあります。このとりくみを徹底的に推し進めることにこそ強く大きな党をつくる唯一最大の活路があります。

 双方向・循環型の党建設の努力を、党大会にむけて広げに広げようではありませんか。

 「大運動」の目標という点では、昨日、福岡県から党員拡大の拡大数で前回大会時を回復、突破したといううれしい報告があったことをお伝えしたいと思います。すべての党組織が、「130%の党」をつくるという目標を最後まで掛け値なしに追求し、前回大会時の回復・突破というハードルを一刻も早く越えるために力をつくそうではありませんか。目標達成の確固たる構えと一体に、「第二の手紙」を文字通り全支部で討議・具体化し、大会に向けた「大運動」を文字通りの全支部・全党員の運動に発展させるためにあらゆる手だてをつくそうではありませんか。

 第二は、世代的継承のとりくみの意識化であります。

 第28回党大会の第二決議(党建設)を受けて、この4年間、党の現在と未来にとって死活的なこの課題での意識的なとりくみが強まり、さまざまな前進の萌芽がつくりだされています。民青同盟が力強い組織的前進を開始していることは、私たちの大きな希望であります。世代的継承のとりくみの意識的なとりくみの強まりは、8月から9月に開催した、若い世代、職場支部、真ん中世代などを対象にした一連の会議にも生き生きと反映されました。

 全国のみなさん。この前進の萌芽を、党大会に向けて大きな流れへと発展させ、来たるべき党大会を、若い、新鮮な息吹であふれた大会にしていくために、全力をあげようではありませんか。

 「大運動」のとりくみは現在進行形であり、大会決議案の党建設の章は、一部、未完の章となっています。

 大会決議案のこの章では、「多数者革命と日本共産党の役割」と題する最初の項で、社会進歩の事業のなかで共産党が果たすべき役割は何か、それを実行するためにはどういう組織をつくることが求められるかを、「そもそも論」に立ち返って明らかにする重要な内容が提起されています。

 そのうえで決議案は、この4年間の党づくりの到達点と強化方向を明らかにしていますが、この章は、「大運動」の到達と成果を踏まえて、さらに充実させられることになるでしょう。次の党大会期に、私たちが、どういう党建設の目標にいどむか、それを達成するためにどういう方針を重視していくかは、「大運動」の到達と成果を踏まえて、党大会で決定していくようにしたいと思います。

党大会の成功は、一にも二にも「大運動」の成功にかかっている

 全国のみなさん。来たるべき党大会の成功は、一にも二にも、「大運動」の成功にかかっています。

 「大運動」を必ず成功させ、党大会を、わが党の党勢を、党員拡大でも、「しんぶん赤旗」読者拡大でも、党の質的建設の強化という点でも、新しい本格的前進に転ずる歴史的大会とするよう、全力をあげて奮闘しようではありませんか。

 第29回党大会を、日本共産党の100年余の誇りある歴史を踏まえ、次の100年に向かう最初の大会として大成功させることを呼びかけまして、あいさつといたします。