志位和夫 日本共産党

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演説・あいさつ

2023年12月14日(木)

日本共産党国会議員団総会

志位委員長のあいさつ


 日本共産党の志位和夫委員長が13日の党国会議員団総会で、臨時国会閉会にあたって行ったあいさつは次の通りです。


写真

(写真)あいさつする志位和夫委員長=13日、衆院第2議員会館

 衆参の国会議員団と事務局のみなさんの連日のご奮闘に心からの敬意と感謝を申し上げます。国会閉会にあたりまして、ごあいさつをいたします。

ガザ紛争での即時停戦決議を歓迎する――停戦実現に引き続き全力

 まず、けさ入ってきたニュースにかかわって、発言いたします。

 国連総会は、本日未明、緊急特別会合を開いて、ガザ紛争について、即時の人道的停戦(シースファイア)を求める決議案を賛成153カ国という圧倒的多数で採択しました(拍手)。反対はアメリカとイスラエルなど10カ国、孤立ぶりが際立ちました。日本政府は前回の「人道的休戦(トゥルース)」を求めた国連総会決議には棄権しましたが、今回は賛成に転じました。国連総会の結果は、この問題の人道的・理性的解決を求める世界の世論と運動の結果であって、日本共産党は心から歓迎するものです。(拍手)

 この間、日本共産党は、ガザでのジェノサイド(集団殺害)の中止、「即時停戦」を求める声明を発表して、国際的な働きかけを行い、国会論戦でも議員団をあげて政府の姿勢を厳しくただしてきましたが、わが党のこうした行動も国連総会での前進への貢献となったといえるのではないでしょうか(「そうだ」の声)。日本政府は総会決議に賛成したわけですから、これまでのアメリカの顔色をうかがうような情けない態度を改めて、アメリカに対して国連総会の決定に従えと強く求めるべきであります。(拍手)

 国連総会決議を力に、即時停戦が実現するまで、引き続き全力をあげようではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)

日本の政治のかじ取りをする資格も能力も失った自民党

 さて、この臨時国会は、自民党が日本の政治のかじ取りをする資格もなければ、能力もない、このことをまざまざと示した国会となりました。私は、三つの点を述べておきたいと思います。

「腐敗政治」――根本には自民党の歴史的な腐敗構造がある

 第一は、底知れない「腐敗政治」であります。

 昨年11月の「しんぶん赤旗」のスクープが契機となって、自民党の主要5派閥のパーティー券・裏金疑惑が政界を揺るがす一大疑惑に発展しています。

 岸田首相は「安倍派切り」で乗り切ろうとしています。しかし、安倍派の数名の閣僚を交代させたとして、「切ればすむ」というものではない。何よりも徹底的な真相究明が必要です。裏金の全貌――誰が、裏金をいくら得て、何に使ったかなどを洗いざらい明らかにすることが必要です。そして、裏金疑惑は安倍派だけではありません。岸田派、二階派、さらに「しんぶん赤旗」日曜版がスクープしたように、麻生派でも「派閥幹部が茶封筒に札束を入れて渡していた」という生々しいシーンも含めて、深刻な疑惑が明らかとなっています。まさに自民党の全体を覆う一大疑惑であります。徹底的な真相究明のために、閉会中審査を行い、関係者の証人喚問を行い、「政治とカネ」の闇をとことん明らかにすることを強く求めて、たたかおうではありませんか。(「よし」の声、拍手)

 いま一つ、この問題の根本に、歴史的な腐敗構造があるということを指摘したいと思います。1990年代初め、リクルート事件とゼネコン汚職など金権腐敗政治が噴き出す中で、「政治改革」が唱えられました。しかし、1994年、当時の細川政権と自民党との談合によって、「政治改革」は、「小選挙区制の導入」にすり替えられました。政治腐敗の根源である企業・団体献金は、政治家個人に対するものだけは禁止になりましたが、二つの大きな抜け穴がつくられました。第一に、政党や政党支部への企業・団体献金は容認されました。そして第二に、企業・団体によるパーティー券購入という事実上の企業・団体献金の大穴が残されました。この大穴を使って、パーティー券購入による巨額の裏金づくりがシステム化され、底知れない腐敗の構造をつくりだしている――これが現状であります。ですから私は、ニセの「政治改革」によって金権腐敗の根を維持し、拡大してきた、その勢力の責任は極めて重いということをいいたいと思うのであります。(「そうだ」の声、拍手)

 解決の方法はただ一つです。企業・団体によるパーティー券購入も含めて、企業・団体献金を全面的に禁止することであります。日本共産党はそのための法案を国会に提出しております。NHKの先日の世論調査で81%の方が「政治資金のルールを厳しくすべき」だと答えております。わが党の提案が、国民の絶対多数の声となっていることに確信をもって、腐敗政治の根を断つまで、引き続き頑張りぬこうではありませんか。(拍手)

「経済無策」――「コストカット型経済からの『脱却』」をいうも中身は空っぽ

 第二は、国民の暮らしの苦しみそっちのけの「経済無策」であります。

 岸田首相は、この国会の初めに、日本経済の停滞の原因として、30年来の「コストカット型経済」を挙げ、そこからの「脱却」が必要だと語りました。しかし、「コストカット型経済」にしてしまった原因と責任はどこにあるのか、どうやって脱却をはかるのか――わが党が国会でただしても、首相からは何の答えも返ってきませんでした。「コストカット型経済」からの「脱却」と言うが、中身は空っぽ。それがすっかり明らかになったのではないでしょうか。

 私が重要だと思うのは、このなかで国民世論の大きな変化が生まれているということです。日本共産党国会議員団は、「経済再生プラン」を力にして、「失われた30年」を打開する抜本的具体策を掲げて奮闘をしてきましたけれども、世論の大きな変化がいろいろな分野で起こっております。

 たとえば消費税の問題です。わが党は、衆参本会議と予算委員会で、消費税減税を求める連続追及を行ってきました。そういうなかで、いよいよ消費税減税を拒む政権の理不尽さが浮き彫りになってきているのではないでしょうか。

 山添拓議員が参院予算委員会で、「消費税の減税が、消費の喚起という面でも、所得の少ない方への支援という面でも、最も効果的であることは明らかだ。その効果について検討したんですか」、こうただしたのに対して、首相の答弁がひどかった。これはひどかった(笑い)。「減税をやることを考えていないので、効果についての検討もしておりません」というものでした。効果について検討した上で、効果がないからやらないというのだったら、まだわかる。しかし検討すらしないで門前払い。国民の声をまったく無視する。この理不尽さがいよいよ明らかになったのではないでしょうか。

 そういうなかで、世論調査でも57%が消費税減税を求めるという結果が出てまいりました。わが党は一貫して、消費税の廃止、消費税の減税を求め続けてきましたが、それがついに多数の声になったのは、画期的変化といえるのではないでしょうか(拍手)。「経済再生プラン」の実現にむけて、引き続き頑張ろうではありませんか。(拍手)

「アメリカいいなり」――異常を異常と感じない、独立国の自覚も誇りもない

 第三に、異常な「アメリカいいなり」の害悪が噴き出しました。

 アメリカいいなりで開始された敵基地攻撃能力保有と大軍拡は、国会論戦をつうじて自衛隊が米軍の指揮下に丸ごと組み込まれるという事実が明らかにされ、憲法との矛盾、平和との矛盾、国民生活との矛盾をいよいよ深刻なものとしています。大軍拡ストップ、東アジアに平和をつくる「外交ビジョン」を掲げて、引き続き平和の党として頑張ろうではありませんか。

 オスプレイ墜落事故が起こりました。この問題への日本政府の対応は、「これが独立国といえるのか」というべき恥ずべきものでありました。事故が起きても米側に「飛行停止」すら求めない。その結果、1週間にわたって、事故後、米軍のオスプレイが日本の空を勝手に飛び回るという異常な事態が起こりました。その後、米国防総省は、機体そのものに問題があったとして、全世界のオスプレイの飛行停止を決定しましたが、これはオスプレイについて「構造的欠陥機」だと指摘して、その撤去を求め続けてきた日本共産党の主張の正しさを、米軍自身が証明したものではないでしょうか(拍手)。ぜひ、この問題の決着をつけていきましょう。米軍と自衛隊のオスプレイを直ちに撤去せよ。このたたかいを全国で起こそうではありませんか。(拍手)

 名護市辺野古の新基地建設は、いよいよ深刻な破綻につきあたっています。赤嶺政賢(衆院)議員が明らかにしたように、埋め立ての土砂投入は14%にすぎないのに、予算は47%も使ってしまっている。この面でも、もはや破綻は明瞭です。辺野古新基地は絶対に造らせてはならないし、絶対に造れない――このことをこの場でもいま一度確認して、沖縄への連帯を強めようではありませんか。(拍手)

 11月に核兵器禁止条約第2回締約国会議がニューヨークで開催され、日本共産党は笠井亮(衆院)議員が参加して成功に貢献しましたが、日本政府は締約国会議にまたも背を向ける態度をとりました。日本政府の不在に、会議参加者からも、「日本がいないのはおかしい。不思議な国だ」といった失望が広がりました。これも恥ずべきことであります。唯一の戦争被爆国日本が核兵器禁止条約に一日も早く参加するよう、引き続き力をつくす決意を固めあおうではありませんか。(拍手)

 みなさん。4点ほど述べました。大軍拡の問題、オスプレイの問題、辺野古新基地の問題、核兵器禁止条約の問題、どの問題でも、根っこには異常な「アメリカいいなり政治」がある。ところが異常な「アメリカいいなり」を異常と思っていない。独立国としての自覚もなければ誇りもない。このような政権に、日本の政治を任せるわけにいかないことは、もはや明々白々ではないでしょうか。(「そうだ」の声、拍手)

自民党政治を終わらせるための国民的大運動を起こそう

 底知れない「腐敗政治」、国民の暮らしの苦しみそっちのけの「経済無策」、そして異常な「アメリカいいなり」――岸田政権に一刻たりとも日本の政治のかじ取りは任せられないのは当然であります。内閣打倒のために頑張りぬこうではありませんか。(拍手)

 ただ、同時に、私が強調したいのは、問われているのは、岸田政権という一つの政権の問題ではないということです。問われているのは、自民党政治をこのまま続けていいのかどうかにあるということを、私はいいたいと思います。

 私はこの場で心から訴えたい。自民党政治を終わらせるための国民的大運動を起こそうではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)

 「腐敗政治」「経済無策」「アメリカいいなり」――これらを転換する国民的大運動をあらゆる分野で起こし、それを一つに合流させ、自民党政治を終わらせて、国民が希望を持って暮らせる新しい日本をつくっていこうではありませんか。

 わが党は市民と野党の共闘の再構築に力をつくしていますが、こうした国民的大運動を発展させてこそ、共闘の再構築の道も開かれるのではないでしょうか。

 そして、国民が希望を持って暮らせる新しい日本をつくる最大の力は、来たるべき総選挙での日本共産党の躍進にあります。そのためにも、あと1カ月に迫った第29回党大会に向けて、「党勢拡大・世代的継承の大運動」の目標を総達成し、強く大きな党をつくって、党大会を大成功させ、総選挙では必ず躍進を勝ち取ろうではありませんか(拍手)。そのために衆参議員団、事務局が、全党のみなさんと心一つに頑張りぬくことを誓いあいまして、閉会団総会というより、なんか始まるような(笑い)あいさつになってしまいましたが、ともにたたかいぬくことを誓いあいまして、ごあいさつといたします。頑張りましょう。(大きな拍手)