志位和夫 日本共産党

力をあわせて一緒に政治を変えましょう

党の会議での報告

2024年2月8日(木)

全国都道府県委員長会議

志位議長の中間発言


写真

(写真)発言する志位和夫議長=6日、党本部

 全国のみなさん、連日の奮闘、お疲れさまです。

 先ほどの幹部会で、私は、田村委員長の問題提起を深めるうえで大事だと思う点について、中間で発言を行いました。この発言も幹部会の決定として確認しましたので、そういうものとして発言をしたいと思います。

幹部会決定の二つの中心点

 今度の幹部会決定の中心点というのは、端的に言って二つであります。

 第一は、党大会決定を2月中に全支部で討議・具体化を始めること、3月中に党員の5割以上が読了すること、これを掛け値なしにやり抜く腹を固めようということです。

 第二は、この2月から読者拡大で前進に転じるとともに、党勢拡大の根幹である党員拡大で必ず現勢で前進に転ずることです。そのためには、2月に1万人以上の入党の働きかけを行い、1000人以上の新しい入党者を迎えることが必要であり、それをやるためには1月の党員拡大の運動の約3倍から4倍の規模の運動へと一気に飛躍させる必要があります。世代的継承についても確かな前向きの変化をつくる、党員拡大の6割から7割は、50代以下の方々で迎えていくことも追求しよう、この二つが中心点であります。

 都道府県委員長会議では、この二つをやりきるために何が必要か、このことを討論で深め、本気でやり抜く意思統一をはかっていきたいと思います。

党大会決定の新しい理論的・政治的突破点について

多面的で豊かで充実した決定――「綱領路線を発展させた社会科学の文献」

 中身に立ち入って話したいと思います。

 まず第一の中心点――党大会決定を全党のものにするということについてです。田村委員長の問題提起では、今回の党大会決定について、次のような規定づけを行いました。「非常に内容の充実したまさに歴史的決定であり、綱領路線をふまえ、それを発展させた社会科学の文献」という規定づけです。

 私は、1990年の第19回党大会以降、数えてみましたら11回の党大会の決議案の作成にかかわってきました。そういう経験に照らしても、私は、今回の党大会決定ほど、多面的で豊かで充実した決定はそうはない、と言っても過言ではないと思います。今度の党大会決定をうけた全党的な受け止めで、「読めば読むほど面白い」という感想がたくさん寄せられております。それだけの中身が今回の党大会決定には詰まっているのです。

 大会決定というのは二つの面がありまして、一つの面は、その大会期に党が切り開いてきたことの総括的な意義づけを大会決定としてきちんと明記するということです。同時に、もう一つの面は、大会決定そのもののなかで新しい理論的・政治的な突破をはかる。この両面があると思います。

 この点で、今度の党大会決定というのは、新しい理論的・政治的な突破という点でも、たいへんに豊かな内容を含んでおります。私は、少なくとも五つぐらいの点があると言いたいと思います。

党の世界論・外交論の発展――「外交ビジョン」の「二つの発展方向」

 第一は、党の世界論・外交論の発展です。党大会決定では、東アジアの平和構築をはかる党の「外交ビジョン」について、昨年末の東南アジア3カ国の歴訪(インドネシア、ラオス、ベトナム)をふまえて、その生命力を豊かに解明するとともに、「二つの発展方向」を明らかにしました。

 すなわち、東南アジア諸国連合(ASEAN)と協力してASEANインド太平洋構想(AOIP)を成功させる努力とともに、北東アジアの諸問題を外交的に解決していく独自の努力を行っていく――「二重の努力」が必要だという提起を行いました。もう一つ、このとりくみを成功させるためには、政府間のとりくみだけではなく、国民的・市民的な運動が必要だということを党大会として内外に呼びかけました。今後、これを具体化していきたいと思いますが、そういう「二つの発展方向」を明らかにしました。

 この方針の発展は、党の野党外交の積み重ねをふまえた発展だということを強調したいと思います。この点は、大会の中央委員会報告でも強調されている点です。歴史的経過のあらましを言いますと、1999年に党としての野党外交の新しい方針を確立した直後に、その最初の実践として行ったのが東南アジア諸国の歴訪でした(マレーシア、シンガポール、ベトナム、香港)。その訪問をふまえて、翌年の2000年に開催された第22回党大会で、東南アジア諸国連合(ASEAN)の動きについてまとまって言及し、「平和の激動」が起こっている、「平和と進歩の流れの強力な国際的源泉を形成している」という認識を明記しました。次の重要な節目となったのは、2013年の東南アジア諸国の訪問ですが(ベトナム、インドネシア)、その訪問をふまえて、翌年の2014年に開催された第26回党大会で、「北東アジア平和協力構想」を提唱しました。そして昨年末の東南アジア3カ国の歴訪をふまえて、今回の第29回党大会で東アジアの平和構築をめざす「外交ビジョン」をさらに豊かにする「二つの発展方向」を提起したわけであります。そういう野党外交の積み重ねのうえに、国際政治との生きた切り結びのなかで、新たに突破点を明らかにしたのが今回の党大会決定だということをつかんでいただければと思います。

 同時にこの提起は、4年前の第28回党大会での改定一部綱領で明らかにした党の世界論の発展をふまえ、それをさらに発展させたものでもあります。4年前の綱領の一部改定では、20世紀に起こった世界の構造変化として、植民地体制の崩壊と100を超える国ぐにが独立国家として誕生したことをあげ、この流れが21世紀に平和と社会進歩を促す力として働いていることを明らかにしました。そして、そういう世界の構造変化が見事な形であらわれている地域として東南アジア諸国連合(ASEAN)に注目し、それを綱領にも明記したわけです。こういう改定綱領の理論的発展を土台にして、今回の大会決定がつくられているということも強調したい点であります。

日本の政治の行き詰まりの性格をどうとらえ、どう打開するか――太い答えを出した

 第二に、日本の政治の行き詰まりの性格をどうとらえ、どう打開するか――これに対して太い答えを出したのが今回の党大会決定です。

 大会決定では、「自公政権と国民との矛盾が極限に達している」、「自民党政治の全体が末期的状況におちいっている」、こういう規定づけが述べられています。そして、いま目の前で展開している腐敗政治、経済無策、戦争国家づくり、人権後進国、あらゆる面で見て、外交でも内政でも、自民党政治が深い矛盾と政策破綻におちいっていることを全面的に暴き出しています。

 たとえば経済政策の破綻はきわめて深刻であります。その象徴は、自民党政治が、これまでの政策の「失敗」を自ら認めながら、「失敗」した道を転換する立場も能力もない、文字通りの政策破綻に陥っていることです。「コストカット型経済の脱却」を口ではいいながら、破綻した同じ道を進む。法人税減税路線が「成果を上げてこなかった」と認めながら、同じ道を繰り返す。「賃上げ税制」が中小企業の賃上げには「効かない」と認めながら、同じ道を繰り返す。もう経済政策の手がなくなっているのです。そういう自民党政治の行き詰まりとの対比で、日本共産党の「経済再生プラン」の生命力が、あらゆる分野で輝いているということも大会決定が太く明らかにした内容です。

 そうしたもとで現状を打開するために何が必要なのか。党大会でのあいさつでも、中央委員会報告でも、「二つのカギ」という提起を行いました。すなわち、自民党政治を終わらせる国民的大運動を起こすことと、総選挙での日本共産党の躍進――これが現状打破のカギであり、ここに全党が力を結集してとりくもうということを訴えました。

 こうして、今日の日本の政治の行き詰まりの性格を明らかにし、その打開の道を太く明らかにする提起を行ったのが、党大会決定であります。

「多数者革命と日本共産党の役割」という角度から日本共産党論を明らかにした

 第三は、社会進歩の事業のなかでの日本共産党の存在意義を明らかにする日本共産党論をまとまって明らかにしたということです。

 大会決議と中央委員会報告では、「多数者革命と日本共産党の役割」という角度から、この問題について明らかにしています。とくに中央委員会報告では、全党討論を踏まえて、多数者革命を進める主体が主権者・国民であること、「国民の自覚と成長」は自然成長には進まないこと、そのためには不屈性と先見性を発揮して奮闘する党が不可欠だということ、この仕事をやり抜くためには民主集中制が必要であることなどを、一つひとつ太い論を組み立てて明らかにしています。

 こうした角度でまとまった日本共産党論を述べたのは、大会決定としては初めてのことだと思います。これまでも折にふれて日本共産党論をさまざまな形で明らかにしておりますが、大会決定において、多数者革命という角度からここまでまとまって明らかにしたのは今回の決定が初めてといっていいと思います。日本共産党論においても、たいへんに豊かで新鮮な中身が、そこでは解明されています。

「党建設の歴史的教訓と大局的展望」――党大会準備の過程で模索し、答えを出した

 第四は、「党建設の歴史的教訓と大局的展望」について明らかにしたということです。

 「なぜ長期にわたって党勢の後退が続いてきたのか」、「なぜ私たちはこの問題でこれだけ苦労しているのか」、「現状を打開する展望はどこにあるのか」――これは全党のみなさんが答えを求めていた問いだったと思います。この問いに対して、自己分析のメスを入れて答えを出した。これが今度の党大会であります。

 とくに、1990年代に、およそ10年にわたって党員拡大の「空白の期間」ともいうべき時期が生まれたこと、2000年の22回党大会で方針上の是正をはかったけれども、なお「空白の期間」のマイナスの影響を払拭するだけのイニシアチブが中央の活動として十分であったとはいえなかったこと、などをつっこんで明らかにしました。同時に、いま客観的にも主体的にも強く大きな党をつくる歴史的チャンスの時期であることも、明らかにしました。

 実は、私自身も、この問題については、十分な回答が持てないでいた問題でした。党創立100年、101年の記念講演の準備の過程で、そして党史『日本共産党の百年』をまとめる作業のなかで、私自身も、この問題をいろいろな角度から考えました。

 党の理論的・政治的路線、政治的対応で誤りがあったのか。大局においては、そうした誤りはないどころか、逆に先駆的な理論的・政治的路線を発展させてきたということが間違いなく言える。組織路線と組織方針の面でも、私たちが、しっかり立ち、発展させてきた民主集中制にもとづく団結というのは、支配勢力とのたたかいをつうじて党を発展させるうえでかけがえのない大方針だということも間違いなく言える。政治路線も組織路線も間違いはない。それでは客観的情勢の問題か。それは確かに影響がありました。しかしそれだけでは説明がつかない。私自身もこの問題については、党史の準備の過程で、また党大会準備の過程で、模索した問題でした。そして、常任幹部会、幹部会、中央委員会総会での議論を踏まえて、出した答えが、党大会での中央委員会を代表してのあいさつで述べた内容なのです。

 私たちは、これまで党員の現状をみるさいに、おもに、党員の現勢がどう推移したかで見ていくという傾向がありました。しかし、その角度からだけでは問題点がはっきりと見えてきません。角度を変えて、その年に新しい党員を何人増やしたかという目で見てみると、はっきりと弱点が浮かび上がってきました。それと、昨年の8月1日の現勢調査の結果をすべてつきあわせて、党建設部門のみなさんとも協議をかさね、さらに集団的検討を経て明らかにした答えが、大会のあいさつで述べた内容であります。

 これも初めての重要な解明となったと思います。ぜひこれを、党建設を進める実践の力にしていきたいと、私たちは強く決意しています。全党のみなさんに、過去の弱点の解釈にとどまるのではなく、今後の党建設を前進させる文字通り生きた教訓、生きた力にしてほしいということを、強く願うものであります。

社会主義・共産主義論――綱領路線の発展に道を開く新しい解明

 最後に、第五の理論的・政治的突破点は、社会主義・共産主義論の新しい発展です。大会決定では、綱領のめざす未来社会について、三つの角度から「人間の自由」の花開く社会という特徴づけを行いました。その理論的な内容については、決議と中央委員会報告で述べられており、こうした社会主義・共産主義論を明らかにした意義については、大会のあいさつで解明しています。

 内容は繰り返しませんが、ここには新しい理論的な提起が行われています。この解明は、わが党の綱領路線の発展に道を開く、新しい解明といって過言ではないと思います。

科学である以上は学ぶことが必要――時間がかかっても最優先で学ぼう

 こうして党大会決定には、新しい理論的・政治的突破点が、少なくとも五つはあるということができます。こうした、きわめて豊かで新鮮な内容が凝縮されたのが今度の党大会決定であります。

 こうした新しい理論的・政治的突破点の根本には科学的社会主義の理論があります。そして党綱領路線があります。ですから、田村委員長の問題提起で述べたように、今度の党大会決定は「綱領路線をふまえ、それを発展させた社会科学の文献」なのだということを、私も強調したいと思います。

 そして、科学である以上は、学ばなくてはいけない。時間がかかってもそれを惜しまず最優先で学ばなくてはいけない、ということを強調したいと思います。同時に、学ぶことに全党が成功するならば、その科学的認識を全党が共有することになり、党の発展の確固たる質的土台をつくることになる、やりがいのある大きな事業なんだということをお互いに自覚してこの課題にとりくむことを呼びかけたいと思います。

「全党の英知と実践を結集してつくりあげた集団的認識の到達」――大会決定を語る運動を

 田村委員長の問題提起では、党大会決定について、「全党の英知と実践を結集してつくりあげた集団的認識の到達」という規定づけも行っています。これも大事な点です。私たちは、大会決議案を発表して2カ月に及ぶ全党討論を行いました。1人の意見でも全体に伝わるように、特別の冊子を発行しました。大会での自由な討論も行われました。その過程で決議案を修正する1900件の意見が寄せられ、それらをすべて吟味して決議案を修正し練り上げました。これだけの民主的な手続きを尽くして方針を決定している党は、日本では文字通り日本共産党だけだと言って間違いないと思います。

 ですから若い同志のみなさんが今度の決定について、「自分たちがつくった決定だ」と誇りを持っていることは本当にその通りだと思います。

 田村委員長の問題提起では、「私の党大会――大会決定を語る運動」が呼びかけられましたけれども、党大会の感動、党大会決定の新しい豊かな内容、自らの決意などを、大いに自由闊達(かったつ)に語ってみんなのものにするとりくみを進めようではありませんか。期限を決めて2月中に全支部で討議と具体化を始める、3月末までには5割以上の同志が読む――これをやりきろうではありませんか。

2月から必ず前進に転ずるという課題について

 第二の中心点――この2月から必ず党員でも読者でも前進に転ずるという問題について、問題提起を深める立場で述べたいと思います。私は、この仕事を、二つの角度からとらえ、腹をすえて実践することが大切だと考えます。

「大運動」の結果とのかかわりで、この課題の重要性をとらえる

 第一の角度は、「党勢拡大・世代的継承の大運動」の結果とのかかわりで、この課題の重要性をとらえるということであります。「大運動」の結果をどうとらえるかが、まず大事であります。

 党大会での中央委員会報告、今日の田村委員長の問題提起で、「大運動」のとりくみを通じて得た、前進への三つの「足がかり」に確信を持とうということが呼びかけられました。「党員拡大・入党の働きかけの日常化」、「双方向・循環型の活動の新たな開拓」、「世代的継承のとりくみの意識化」――この三つの点での「足がかり」を得た、どれも本格的に発展させるならば、党の未来を開く土台になるものです。これを全党のみなさんの奮闘の重要な成果として、深い確信をもって今後に生かしていきたいと思います。

 同時に、「大運動」を通じて、私たちは、党員拡大でも、読者拡大でも、残念ながら前進に転ずることに成功していません。これはこれとして直視しなければなりません。読者拡大で、1月に残念な後退をし、「大運動」の通算でも後退となりました。それを見るさいに、読者拡大そのものの手だてがどうだったか自体が問われますけれども、根本の問題として、私たちの党員拡大の運動のレベルが、毎月、毎月、党員の現勢で前進に転ずるというところに至っていない。ここに根本の問題があることを直視しなければなりません。

 「大運動」での新入党者は4405人、たいへんに貴重な成果です。しかし残念ながら、現勢では後退が続いている。つまり党建設の根幹が後退していることが、読者拡大も含めてすべての党活動の隘路(あいろ)となり、制約になっている。これが私たちの運動の現状であります。ここを私たちは直視し、ここをこの2月からどうしても突破しよう、これが今度の方針です。党員拡大で現勢で前進に転ずるには、全国で少なくとも1万人以上に働きかけ、1000人以上の新入党者を迎える必要がある。規模でいえば1月の運動の規模の約3~4倍の規模のとりくみをやろう、というのが今度の提起であります。

 これをいかにしてやるか。全支部運動にしていく。ここに唯一の大道があります。全支部運動へのとりくみをいかにして広げていくか。その根本は党大会決定を力にする、ここにあります。党大会決定こそ、あらゆる活動を推進する巨大な推進力になります。

 ですから、幹部会決定の二つの中心点と言いましたが、これは文字通り一体のものです。党大会決定の全支部での討議・具体化の開始、それと一体に党員拡大を全支部運動にしていく。ここに挑戦しようというのが、今度の幹部会の提起であります。

 重ねてになりますけれども、この2月、党員拡大で、全国で少なくとも1万人以上に働きかけ、1000人以上の入党者を迎える、1月の約3~4倍の規模の運動にする、この目標を、掛け値なしにやり抜くということを、私たち中央も、都道府県委員長のみなさんも、ともに腹を固め合いたい。

 この目標をやりきるという立場に立ってこそ、知恵も出てくるし力も出てきます。持続的な拡大を続けていくためには、「量とともに質を」ということを探求・開拓していくことも大切になってくるでしょう。目標をやりきるという立場で、党活動をあらゆる面で発展させていく。そこに掛け値なしに挑戦する月にしたいと思います。

「党建設の歴史的教訓と大局的展望」――この解明を2月から「実践の指針」に

 2月を前進の月にしていくうえでの第二の角度として強調したいのが、「党建設の歴史的教訓と大局的展望」――党大会決定が明らかにしたこの解明を、2月からの「実践の指針」として生かしていくということであります。

 党大会では、1990年代に、党員拡大の「空白の10年間」とも呼ぶべき期間があったことを明らかにし、いま、そのマイナスの影響を全党の力で打開しよう、その教訓を今後の活動に生かそうと呼びかけました。同時に、いまが後退から前進に転ずるうえでの歴史的チャンスだということ、客観的条件でも主体的条件でも歴史的チャンスだということを明らかにしました。この提起が、大会後の討論できわめて強く受け止められ、深められていることは、うれしいことであります。

 今日の午前中の幹部会の討論でも、党大会決定のこの解明を議論したところ、ベテランの同志が、「なるほどそうだったのか、やっぱり活動しよう」とその場から立ち上がって、新たな党員を増やしたという経験が報告されました。

 また、今日の午前中の討論では、この弱点の“名残”がいまだに残っているということも率直に語られました。ある同志からは、「『しんぶん赤旗』の読者については、毎月、『増か、減か』が大きな問題になり、執念をもって何とか増勢をというとりくみになる。しかし、党員拡大の現勢で、毎月、『増か、減か』ということが問題になり、追求されているかといえば、そうなっていない。読者拡大と比べても党員拡大は目的意識性が弱い。党員拡大を後景に追いやってきた誤りの“名残”がいまだに残っている。ここは根本から克服しなければならない」という発言もありました。

 このように、この党大会での解明を、「解釈」だけではなく、「実践の指針」にしていくことが重要だと思います。

2020年代がどうなっているか――党大会決定の目標の意味について

 この点で、こういう場ですから、率直に報告したいことがあります。それは、2020年代がどうなっているかということです。

 党大会のあいさつでは、2020年代の党員拡大の状況は、現在進行形ですので、触れなかったのですが、このままでは再び、「空白の期間」になりかねない到達点にあるということを、私は、率直に報告したいと思います。

 2020年から23年の4年間で見ますと、年平均の新入党員の数は約4300人となっています。第28回党大会――4年前の党大会では、「第二決議(党建設)」を採択し、それをうけて何としても現勢で党員を増やす運動をつくろうと、大会直後の一連の全国会議で意思統一し、奮闘を開始しました。ところがその春に、新型コロナ・パンデミックがやってきました。その影響は率直に言って大きなものがありました。人と人との接触自体を制約することが避けられないというもとで、そうしたやむを得ない事情もあって党員拡大が弱まったということが事実だと思います。

 数字を紹介しますと、2021年は新規入党者が3000人、22年は3500人となっています。相当落ち込みました。昨年――23年は、「大運動」での全党のみなさんの奮闘もあって5600人まで盛り返しました。それでも、1990年代の「空白の10年間」とも呼ぶべき期間の年平均6000人と比べて、昨年の運動の水準はそれにも及んでいないのが、私たちの運動の到達点なのです。

 ですからいま私たちに求められているのは、1990年代の「空白の10年間」のマイナスの影響を一挙に打開しつつ、2020年代に入っての立ち遅れも一挙に打開する。二重の意味で立ち遅れを打開するとりくみをやろうというのが今度の党大会が決めた目標であります。これを5年間でやろうというのが党大会の目標であります。5年間で第28回党大会比で「3割増」の党をつくろう、そのためにもまずは2年間で第28回党大会時の回復・突破を必ずやろうというのが大方針を決めたわけですが、それはこうした事情もすべてふまえてのものだということをお互い腹にすえて頑張りたいと思います。

 私は大会でのあいさつで、党建設の歴史的教訓を今後の党建設にどう生かすかについて、次のように表明しました。

 「いついかなる時でも党員拡大の自覚的なとりくみを継続的に発展させ、絶対に『空白の期間』をつくらないこと、かりに何らかの事情で『空白の期間』が生まれた時には、それをただちに打開する特別のとりくみを行うこと、党員拡大を10年先、20年先の党の将来を展望しての戦略的課題として位置づけることを、今後の党建設に生かすべき最大の教訓としたい」

 この3点を教訓とすることを訴えました。

 ここで、「いついかなる時でも党員拡大の自覚的とりくみを継続的に発展」させることとともに、「かりに何らかの事情で『空白の期間』が生まれた時には、それをただちに打開する」とあります。これは明示しておりませんが、実は2020年代にもそういう危険があることを念頭においてのものなのです。2020年代の、とくに21年、22年、党員拡大でかなり落ち込んでいるわけです。それを取り戻しながら、一挙にこの問題で前進の上げ潮に向かおうというのが党大会で確認した方針であります。

 党大会決定では、24年、25年の2年間で、第28回党大会現勢の回復・突破をはかることを確認したわけですが、そのイメージを言いますと、党員拡大で言えば、2年間で、全国的に現勢で2万3千人を増やす必要があります。2年間・24カ月の単純計算で割れば、月平均で、現勢で1000人を増やし続ける運動にしていく必要があります。そのためには、毎月2万人以上に働きかけ、2000人以上を新たに党に迎える運動の水準をつくる必要があります。これは容易でない一大事業です。しかしやり抜けば、党の明るい未来が洋々と開かれるでしょう。それに向かう第一歩として、この2月には少なくとも1万人以上に働きかけ、1000人以上の新入党者を迎え入れ、現勢での前進の軌道にのせる。この決意を固めてやり抜こうというのが、今回の提起であります。

 ぜひ、党大会決定での「党建設の歴史的教訓と大局的展望」という提起を、2月からの実践にお互いに生かしていきたい。党大会で決定した目標をやり抜く大局的な展望に立ち、新たな一歩を踏み出す月として2月を位置付けて奮闘しようではありませんか。

全国のみなさんと心一つに、強く大きな党をつくる決意

 最後に私は、一つの決意を申し上げたいと思います。私は、今度の大会で中央委員会議長に選出されました。閉会のあいさつで、「新しい体制のなかで、党を代表をするものの一人として、ひきつづき党の活動のあらゆる分野で必要とされる責任を果たす決意であります」と申し上げました。そのなかでも、とりわけ力を込めて、みなさんと一緒に打開したいのが党建設であります。私は、書記局長と幹部会委員長をあわせますと、33年半ほどやってまいりました。この期間に行った、さまざまな政治的・理論的な対応については、振り返ってみても悔いはないのですけれども、党建設でさまざまな努力は続けてきたものの、結果として前進に転ずることに成功していない。この期間に、指導部の一員であったものとして、その責任を感じております。党大会でのあいさつで、党建設の歴史的教訓について自己分析を行ったのも、この立場からのものであります。

 これはやはり私たちの世代の責任として、若い世代の方々とも協力して、何としても未来を開く強く大きな党をつくって、次の世代にしっかり引き渡すというのは、中央委員会議長としての最大の責任と心得て、奮闘していく決意であります。そういう決意で、一緒に党をつくっていくために、全国にもうかがうこともあろうかと思いますので、ぜひその時にはよろしくお願いしたいと思います。

 全国のみなさんと心一つに、強く大きな党をつくるために力をつくす決意を申し上げまして、私の発言とさせていただきます。ともに頑張りましょう。