志位和夫 日本共産党

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国会質問

2024年2月2日(金)

政治腐敗ただし くらしと平和守る

国民の願い込めた抜本提案

志位議長の代表質問


 日本共産党の志位和夫議長は1日の衆院本会議で岸田文雄首相に対する代表質問を行い、能登半島地震への対応や、自民党の裏金問題など国政の根本にかかわる重大課題をとりあげ、問題点と対案を示すとともに、破綻に陥っている経済や外交政策を根本から転換するよう迫りました。


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(写真)質問する志位和夫議長=1日、衆院本会議

従来超す支援で希望届けよ

被災者支援

 志位氏は、地震から1カ月たっても避難所に温かい食事が届いていないなど劣悪な状況を告発。被災者の実態をつかみ、求められている支援を現場に届け切るため、いつまでにどうするか具体的に示すよう迫りました。岸田首相は被災者の苦難に何ら言及せず「必要な支援が現場に届くよう、適切に取り組む」と述べるにとどめました。

 「能登に住み続けることができる希望がほしい」―。被災者の痛切な願いを紹介した志位氏は、政府が希望のメッセージを発信することが必要だと指摘。政府の「支援パッケージ」は、住宅再建のための被災者生活再建支援金が最大でも従来と同額の300万円であり、資材高騰、高齢化率の高さを考えるなら、住宅再建の希望は持てないと批判し、「半壊」「一部損壊」に支援対象を広げるとともに、少なくとも600万円以上に支援額を引き上げるべきだと求めました。岸田首相は「能登の実情に合わせて追加的な支援策を検討している」と答弁したものの、具体策には触れませんでした。

 志位氏は、2点の政策の緊急の見直しを提起しました。一つは深刻なトラブルが発生した志賀原発、柏崎刈羽原発の廃炉の決断です。志賀原発の避難計画はいたるところで道路網が寸断されるもとで実行不可能な計画で「原発事故が起きたら住民は避難することさえできない」と指摘しました。

 二つ目は大阪・関西万博中止の決断です。来年4月予定の大阪・関西万博に建設資材やマンパワーなど限られた資源を使うのではなく、住宅やインフラ被害が極めて甚大な能登半島地震の復旧・復興こそ最優先でという声が広がっていると指摘し、中止を求めました。

 岸田首相はいずれの問題も「原発の安全確保に影響する問題は生じていない」「万博が復興に具体的な支障が生じるとの情報に接していない」などと強弁するだけで問題点の指摘には答えられませんでした。

組織的犯罪の全容の解明を

裏金

 志位氏は、「自民党の政治資金パーティーをめぐる裏金問題に、国民の深い批判と怒りが沸き起こっている」として岸田首相の基本的な認識と対応を三つの点で問いただしました。

 第1は、問題の性格をどう認識しているのかです。志位氏は、岸田首相の施政方針演説は、「国民から疑惑の目が注がれる事態を招いた」ことへの「おわび」を言うだけで反省のかけらもないと批判。「政治資金規正法の根本精神をじゅうりんし、『民主政治の健全な発達』を妨害する組織的犯罪行為だという認識と反省はあるか」と迫りました。

 第2は、自民党内でシステム化していた裏金づくりの全容解明の意思があるのかです。志位氏は、岸田首相が同演説でも「裏金」という言葉を一切使わず、「裏金づくりの実態の解明」を明言できていないと指摘。自民党の責任者として過去にさかのぼって洗いざらい明らかにすべきであり、「裏金問題の全容解明にふたをしたまま、いくら口先で『政治刷新』を言っても何の意味もない」と批判しました。

 第3は、金権腐敗政治の根本にある企業・団体献金禁止に背を向けていることです。志位氏は、歴史的な経過に触れながら、1999年の法改定では、(1)政党と政党支部に対する企業・団体献金(2)企業・団体によるパーティー券購入―という「二つの抜け穴」がつくられたと指摘。「このごまかしのツケがいま巨額の裏金問題として噴き出している」と指摘し、「経済的に圧倒的な力がある企業が献金することは、金の力で政治をゆがめ、一人ひとりの国民の参政権を侵害することになる」と強調しました。さらに、自民党が企業・団体献金と政党助成金の「二重取り」を続けることは、「国民を愚弄(ぐろう)する公約違反だ」と批判しました。

 岸田首相は、問題の認識にはまともに答えず。調査については、「不記載の実態の把握に努める」と答え、事実上“裏金”の実態を把握をすると認めました。企業・団体献金と政党助成金は議論を積み重ねた結果だと強弁し、「(志位氏の指摘は)論理の飛躍だ」などと居直りました。

失敗認めるなら根本転換を

経済政策

 自民党が昨年12月に決定した「税制改正大綱」では、「近年の累次の法人税改革は意図した成果を上げてこなかった」と、法人税減税の失敗を認めています。志位氏は岸田政権が2024年度予算案で、相変わらず大企業・富裕層向け減税のバラマキを続けるのは、失敗の繰り返しになるだけだとして、「富裕層と大企業に応分の負担を求め、消費税を5%に緊急に減税し、インボイス増税を中止することこそ、失敗から学ぶ道だ」と指摘しました。

 同大綱では、「賃上げ減税」についても、中小企業の多数が赤字企業で、賃上げに向けた「税制措置のインセンティブが必ずしも効かない構造となっている」としています。

 志位氏は「赤字企業も含めてすべての中小企業への支援になる社会保険料減免などの直接支援が必要だ」と迫るなど経済政策の破綻の中心部分を追及しました。

 岸田首相は消費税減税もインボイス中止も拒否。社会保険料減免は「事業者の利益に資することから、事業主負担が求められている」などと、厳しい環境にある中小企業を突き放しました。

 政府は介護保険について、「利用料の原則1割負担から2割負担への引き上げ」「要介護1・2の在宅サービスの保険給付外し」などの制度改悪を検討しています。

 志位氏は、すでに保険給付から外された要支援1・2に続いて、要介護1・2の在宅サービスまで保険給付を外せば、要支援・要介護と認定された人たちの65%が保険給付の対象外となると指摘。経済にも社会にも悪循環をもたらす介護保険大改悪の検討をただちに中止するよう強く要求し、民主党政権時代に自民、公明も公約に掲げた公費負担割合の引き上げを求めました。

 岸田首相は、質問にまともに答えず、「制度の持続可能性を維持することは重要な課題だ」と述べるにとどめました。

「税制改正大綱」抜粋

生産性向上・供給力強化に向けた国内投資の促進

 「わが国の法人税率は、これまで約40年間にわたって段階的に引き下げられ、現在の法人税率は、最高時より20%ポイント程度低い23.2%となっている」

 「企業経営者がマインドを変え、内部留保を活用して投資拡大や賃上げに取り組むことが期待された」

 「しかしながら、わが国においては、長引くデフレの中での『コストカット型経済』の下で、賃金や国内投資は低迷してきた」

 「企業の内部留保は555兆円と名目GDPに匹敵する水準まで増加しており」

 「こうした状況に鑑みれば…近年の累次の法人税改革は意図した成果を上げてこなかったと言わざるを得ない」

構造的な賃上げの実現

 「中小企業においては、いまだその6割が欠損法人となっており、税制措置のインセンティブが必ずしも効かない構造となっている」

自主自立外交で平和つくれ

日本の進路

 志位氏は「米国と中国の対立が強まるもとで日本の進路はどうあるべきか」と問い、徹底した対話の積み重ねで平和の共同体をつくりだしている東南アジア諸国連合(ASEAN)の国々と協力して、東アジアを戦争の心配のない地域にする平和外交こそが「未来ある道だ」と迫りました。

 志位氏は、昨年末にASEAN本部を訪問した際、成功の秘訣(ひけつ)を尋ねると、事務局次長が「ASEANの中心性が重要だ」と述べたと紹介。大国の関与を歓迎しつつ、大国のどちら側にも立たない中立と自主独立の立場を貫いているとして、「ここに日本外交が学ぶべき英知が示されている」と述べ、ASEANの中心性についての見解をただしました。岸田首相は「ASEANの中心性を支持している」と述べました。

 一方、志位氏は、敵基地攻撃能力の保有や殺傷兵器の輸出解禁、「代執行」による沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設の強行など政府が進める米国言いなりの「戦争国家づくり」全てが「『平和国家・日本』の評価をおとしめ、北東アジアによる軍事対軍事の悪循環を加速させている自覚があるのか」と追及。「ASEANが実践する自主自立の外交で平和をつくる道に転換することこそ日本に求められている」と迫りました。

 岸田首相は「防衛力の抜本的な強化や日米同盟の深化が必要だ」と述べ、軍拡路線に固執する姿勢を示しました。